5/18[水]―31[火]
niigata eya exhibition 629
10代後半から20代にかけて、奈良や京都の仏像を見て歩いた。
飛鳥仏から白鳳、天平、貞観仏と時間軸を追って、ロボットのような顔・形が人に近づいていく。人の形をした神(仏)が感情や欲など人の内面を吸収していくように見えた。それでもどこかある一線で、どの像も人ならざる気配を保ち、向かい合うものの襟を正させる力を持っていた。
そのとらえがたい「一線」の存在を伊津野雄二の女性像にも感じる。美しく、若いという言葉だけではいい表せない、見えない波動が流れ寄せ、目の襟がくきっと立ち、正される。彼女たちは感じている、うつくしく、かがやく、やわらかな、それでいて苦痛や悲しみにあふれる現代、あるいは現世を。そして厭離穢土欣求浄土的な別世界での救済ではなく、それでも今、こうして向かい合い、彼女たちが感じることを感じることの中にこそ光が、救いがあるのだと告げている。(企画者:大倉宏)
伊津野雄二(いづの ゆうじ)
1948年兵庫県生まれ。69年愛知県立芸術大学美術学部彫刻科中退。75年知多工房設立。木彫、家具木工芸を手がける。名古屋画廊(名古屋)、ギャラリー椿(京橋)、ギャラリー島田(神戸)、新潟絵屋で個展開催。作品集に『伊津野雄二作品集 光の井戸』(2013年 芸術新聞社)がある。
PHOTO(上):「都市」 2022年 楠 H37×W22×D15cm
都市の思想をはなれ
田園の思索をたどり
草木自然の思惟によりそう
あたふかぎりのわきまえをもってわたしたちの小舟は漂流する
こずえにうける微風をたよりに記憶の森の
小さな家をのせて
(伊津野雄二)
PHOTO:「ホーラ」 2021年 楠 H48(台座含む)×W20×D16cm
PHOTO:「萌(きざ)し」 2022年 ジェルトン H31×W8×D12cm
▶ 伊津野雄二展 2018
▶ 伊津野雄二 彫刻展 巡回@ギャラリーみつけ
▶ 伊津野雄二展 2018
▶ 伊津野雄二 展 「手しごと 夢おくり」