ピーター・ミラー 白石ちえこ

10月22日sat―30日sun

vol. 508
作家在廊予定日:白石 10/22・30 / ミラー 10/22

 ピーター・ミラーと白石ちえこの仕事を、去年、相前後して識った。
2人展を思いついたのは、印象が、私の中で身を寄せ合ったからであり、相似形ながら違う世界の、合わせ鏡に挟まれる心地に、好奇心をかきたてられたからでもある。
写真銅版画(ミラー)も、ぞうきんがけ(白石)も、撮影した画像を一枚の紙に移すところで、かたや版画のプロセス、かたや印画紙に絵の具を塗り擦る、と手の「作業」がぞんぶんに加わる。どちらも一昔、あるいはそれ以上前に行われた技法だ。コンピュータによる画像処理との違いは、インク、絵の具、紙というモノの次元が大きく関わっていることで、実際に見るとそれが強く感じられる。
現代の超鮮明画像のまばゆい空間が、人から奪っていくもの――あいまいな感覚や感情、心の薄暮の状態。ふたりの黒い、暗い画面は、それらを不鮮明に照らしだそうとするサーチライトかも知れない。(企画 大倉 宏)

▶みるものとよいところ 会場のようす

白石 「Ichihara, Chiba」

白石 ちえこ (しらいし ちえこ)
神奈川県生まれ。アジアを巡る旅の中で写真を撮りはじめ、千葉県船橋市主催のワークショップで暗室を学ぶ。写真集に『サボテンとしっぽ』(冬青社)、『島影』(蒼穹舎)、共著に『海に沈んだ町』(小説・三崎亜記/朝日文庫)がある。

ミラー「ガーリック星雲」

ピーター・ミラー (Peter Miller)
アメリカペンシルバニア州フィラデルフィア生まれ。米国、東京で経営コンサルタントの仕事に携わり、1991年に美術家に転身。写真銅版画制作に専心するため、鎌倉に拠点を移し、浄明寺にアトリエ「鎌倉版画コレクション」を構える。

PHOTO 上: 白石 「Ichihara, Chiba」 2015年 ゼラチンシルバープリント+ぞうきんがけ 20.3×25.4cm

PHOTO 下: ミラー「ガーリック星雲」1994年 フォトグラビュール銅版画 30.0×25.0cm

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■ 同時期開催 展覧会情報
10/12[水]〜30[日] *10/23[日] 14:00〜 ギャラリートーク
会場: 砂丘館 (新潟市中央区西大畑町5218-1)