長谷川 徹 展

10月12日wed―20日thu

vol.507

 この夏、ギャラリーみつけの長谷川徹展で展示した、1980年代の、妻貞子や木を描いた素描は、私にとって、新しい発見だった。1983年に新潟に来た私は、ほどなくそれらを、当時長谷川が発表していた画廊で目にしていたかも知れない。しかしその時は見えなかったものが、今回は見えた。というか、漠然としか感じられていなかったものが、くっきりと意識された。
長谷川はこの時代から、絵が、線が、描けないものと向き合っていた。その〈描けないもの〉が大きな石塊のように、そこに、展示空間に在った。新潟絵屋での展示のためだけに、筆に触れるようになった2016年の現在も、彼は、そのとほうもない、かたまりの前に立っている。(企画 大倉 宏)

長谷川 徹 (はせがわ とおる)
1948年新潟市生まれ。69年武蔵野美術大学油絵科中退。以後、新潟で創作活動に入る。78~2001年絵画研究所アート・ノバを主宰。主な個展は、77~01年アトリエ我廊、83・86年羊画廊、94・03・13年たけうち画廊、04・06年楓画廊、05年炎舎、03・10~15年新潟絵屋、13年蔵織(たけうち画廊・新潟絵屋・蔵織 3会場同時開催および画集刊行)、16年ギャラリーみつけなど。92・94年安井賞候補。96年感動創造美術展グランプリ受賞。新潟市在住。

▶みるものとよいところ 会場のようす

PHOTO: テンペラ/キャンバス 未完成 72.6×72.8cm