しんぞう展

11月22日tue―30日wed

vol.511

 芽が出た畑のあぜの間に、棺の死者が横たわる新作にはっとした。なんて美しい絵だろう。
「美しくないもの」を除却してできる蒸留水が「美しい」なら、飲みやすく、心地よいかも知れないが、私は好まない…というか、それを「美しい」と感じない。死や、死体や、死体が腐ってうじのごちそうになる様は「美しくないもの」かもしれない。しかし自然界ではごく普通のことだ。蒸留水的飲料の好まれる時代が目をそらしたり、避けたりする事実に、しんぞうはまっすぐ目をさし向け、見、描き、人の心を揺する。
 その絵は、蒸留水的美が幻想だということを、醜や悪や怨という言葉で蓋される事実を排除しない水が、ほんとうは好ましく、真実で、美しいのだと教える。
(企画 大倉 宏)

しんぞう
1974年横浜市生まれ。武蔵野美術大学油絵科卒業。個展は、新宿眼科画廊(東京)、DAMギャラリー(韓国)、福住画廊(大阪)、ギャラリーsfera(京都)、2012年砂丘館 「あなたの心の裏の河」(新潟市)、13~15年新潟絵屋など。そのほか09年 「大地の芸術祭」に出品。芸術道場GP(グランプリ)銀賞、第29回損保ジャパン美術財団選抜奨励展入選、第44回神奈川美術展入選など受賞。装画に 「臨床の詩学」(春日武彦・著/医学書院)がある。新潟市在住。
http://www.sinzow.com

PHOTO:「有機肥料」2016年 アクリル/キャンバス 60.6×72.7cm