八木なぎさ展

12月2日fri―10日sat vol.512

作家在廊予定日: 12/2・3・10
◆ 八木なぎさ展 ギャラリートーク 12.2[金] 19:00~20:00
21:00までオープンします。

 ゆるやかに、そしてすこぶる変化したようにも見える八木なぎさの近作群を見ていたら、遠い時計の音を感じた。その音に沿って、湖のような、朝霧のような、蛇紋岩のようなモノトーンの面に鳥が、飛行機が行き交い、町が燃え、見えない船が水脈を引き、砂嵐に村が沈む。
 むかし謄写版のローラーを押し、黒インクが塗り付けられる瞬間に蝟集した夢想の感覚がよみがえってくる。それらを容れる箱、器のイメージが近作ではより強度と構造の複雑さを持ってきた。
 時計の音は時間の感覚だ。八木の夢想の容れ物に身を浸していると、自分のなかの錆びついた部分、忘れられた記憶や、おおわれた傷と感情の秒針が、ゆっくり動き始めるようだ。 (企画 大倉 宏)

八木なぎさ(やぎ なぎさ)
1961年横浜市生まれ。個展は94年シロタ画廊(銀座)、97・99年三木ギャラリー(銀座)、2000年木の葉画廊(神田)、08・13・16年 NICHE GALLERY(銀座)、12・14年新潟絵屋など。97年トリエンナーレ97’(ポーランド)、04年 「日本の版画展」(グラバド国際美術館/アルゼンチン)、「現代版画 技術と表現」(黒部市美術館/富山)、06年 「ART Shanghai2006」(上海)、07年 「15th International Triennial of Graphic Arts, Sofia」(ブルガリア)、10年 「今日の版画・10」(南魚沼市立今泉博物館/新潟)などに出品。

▶みるものとよいところ 会場のようす

PHOTO: 「Pilgrim」2015年 リトグラフ・紙 18.0×57.0cm

「いい」と 「わからない」とは、画廊でよく耳にする言葉。
12月は、ふたつの展覧会を企画した大倉が聞き手となり、ふたりの作家、八木なぎさ、七里知子にお話を伺います。
ともに聞き手: 大倉宏/500円/申込不要