周豪展

展示 5/17thu-30wed

vol.554 

 周豪の新潟での個展は、今回が2回目。前回は油絵の新作を展示したのだが、反響があった。初めて見て、惹かれ、購入し、大きい影響も受けた画家もいた。感覚の精度ということを私は感じる。抽象絵画は「名付けられるイメージ」という足場の取り払われた世界だから、一種の無重力空間だ。そこでは筆が、線が、どちらの方向に動く自由も許されている。
 しかし真空の宇宙空間が、ダークマターやダークエネルギーなどで満たされているのが明らかになってきたように、白い絵画空間も、見えないなにかに満たされているのだ。筆や線が動くと、その見えないものに複雑な波紋が生じる。その波紋をまったく感知しない画家もあれば、敏感に感じとる表現者もいる。
 周豪は後者だ。しかも極めて敏感、精妙にキャッチし、感応する稀有な感覚を持っている。その線は筆は、まるで見えない波動と組み合い、ダンスするかのように画面を敏捷に立ち回り、跳ね、動く。ことに今回紹介する版画の作品に溢れる、ほがらかで、溌剌とした、ほのかなユーモアさえふりまく生気と躍動感は、そのような感受性の精度を見事にあかしている。(企画者:大倉 宏)

周豪(Thou HAO/つぉうはう)
1960年中国上海市生まれ。’90年武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻版画コース修了。ポーランド、スロベニア、ノルウェーなどでの国際版画展、2001年CWAJ現代版画展(東京アメリカンクラブ/神保町)出品。’04年早稲田大学芸術学校非常勤講師、’05 ワークショップ特別講師(宇都宮美術館)、2008・’10年Atelier Remy Bucciali(フランス)にて銅版画制作。町田市立国際版画美術館、武蔵野美術大学美術資料図書館、神州版画美術館(中国)、多摩美術大学美術館、フランスポスター美術館、アメリカボストン美術館、アメリカスミス大学美術館、ポーランド国立美術館などに作品収蔵。横浜市在住。http://zh1920.com

周豪展 新潟絵屋

周豪 新潟絵屋
No.180-f(76x57cm)

No.183-f(76x57cm)

No.184-f(76x57cm)