吉田 明 展「土と語る」

PHOTO:「焼締茶碗」 8×12.5×12.5cm

7月17日tue―30日mon

vol.557

 陶工吉田明の作品は多岐にわたる。
 三嶋・唐津といった技法による器は元より、透き通る肌の粉引や青磁、縄文に遡るような土器、彫塑のような造形作品、日用雑器まで様々だ。そのどれもが鍛えられた「手」に裏打ちされた芯の強い造形の上に、長年にわたる古陶・古窯の研究の末に辿り着いた豊かな「土」の表情を覘かせる。
 物言わぬ、それら土の成れの果てはその静謐な佇まいとは裏腹に、向き合う程に何かを雄弁に語りかけてくる。山に入り土を採り、手で捏ね、火に焚べるを繰り返し、無心となって土と火と対話した結果導かれたそれらは「人の手が産み出す以上の何者か」となって人と土の原初の関係を浮かび上がらせる。
 吉田明の遺した往年の土研究のテストピース資料と共に、土と人の関係を感じる機会となれば幸いである。(企画者:ブリコール 桾沢和典)

吉田 明 展
PHOTO:「焼締花生」 27×19×12cm

吉田 明(よしだ あきら)
1948年東京都青海市生まれ。14歳の時独学で窯をつくり、17歳で轆轤の基礎を江崎一生氏に学ぶ。72年八王子市美山町御屋敷に客窯を築き、以後地元の土に取り組み始める。傍ら磁器を学び、唐津、伊万里の古窯跡発掘。94年青梅市沢井に青梅窯を開窯。98年東京都西多摩郡日の出町大久野に日の出窯を開窯、翌年朝鮮式割竹登窯を築窯。04年ニューヨークで茶陶展。2005年新潟県十日町市「大地の芸術祭」招聘参加、妻有の土を調査し松代・海老集落に粘土層を発見。各所で原土を採取し「妻有焼」にむけ研究・焼成テストを重ねる。08年旧野中小学校に登窯と窖窯を設計、築窯。同年、60歳で急逝。

吉田 明 展
PHOTO:「粉引馬上杯」 7×9.5×9.5cm

吉田 明 展
PHOTO:「焼締徳利」 17.5×9×9cm

吉田 明 展
PHOTO:「裸婦像」 32×14×30cm


関連イベント

ギャラリートーク

7/21[土]14:00―15:30

●ゲスト:吉田文子・聞き手:桾沢和典
●参加費:500円 ●申込不要