PHOTO(上):「宮城県伊具郡丸森町」 2016年 アクリル絵の具/紙 38.0×45.5cm
2/15[土]― 29[土]
vol.589
作家在廊予定日:2/15
ギャラリートーク:2/15
沖縄生まれの詩人山之口貘があるエッセイで、旅の画家が描いた沖縄は沖縄生まれの目が見るとどこか、なにかが違うと書いていた。
うまく言えない微妙ななにか。新潟に生き、死んだ佐藤哲三の絵には、風景の外形に内景が織り込まれていると感じる。内景はその風景の中で暮らす人の生活感情である。
自然災害を契機に小森はるかと三陸に移住した瀬尾夏美が書いたテキスト「二重のまち」は津波に襲われた町が町ごと高台に移転することになったとき、町の人に訪れた大きい声では言えない、言いにくい感情を掬いあげている。日々の暮らしのなかで人は環境を、風景としてはあまり意識しない。けれど風景は意識や言葉から遠い心のどこかで見られている。だからこそそれは生活の奥底にある「感情」と強くつながっているのだろう。
小さな声に耳を澄まし続けてきた瀬尾が描く「風景」を、目を「澄まして」見つめたい。(企画 大倉 宏)
「草はらのまち」 2017年 アクリル絵の具/紙 38.0×45.5cm
瀬尾夏美(せお・なつみ)
1988年東京都生まれ。宮城県在住。東京藝術大学大学院修士課程絵画専攻修了。土地の人びとのことばと風景の記録を考えながら、絵や文章をつくっている。2012年より、映像作家の小森はるかとともに岩手県陸前高田市に拠点を移す。以後、地元写真館で働きながら、まちを歩き、地域の中でワークショップや対話の場を運営。2015年、仙台市で、土地との協同を通した記録活動を行う一般社団法人NOOK(のおく)を立ち上げる。陸前高田での制作を継続しながら、戦争体験をした人たちや障害を持つ人たちの話を聞き、展覧会や企画を行っている。
komori-seo.main.jp
「風景」 瀬尾夏美展 関連イベント
ギャラリートーク
2/15[土]18:30〜
・ゲスト:瀬尾夏美
・聞き手:旗野秀人(冥土のみやげ企画)・大倉宏(本展企画者/美術評論家)
・会場:新潟絵屋展示室
・参加費:500円(予約申込みが必要です)
・申込:新潟絵屋へ電話またはメールでお申込みください。
TEL. 025-222-6888
MAIL. info@niigata-eya.jp
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砂丘館での展示の記録
Komori Haruka + Seo Natsumi