KIRO展 @ギャラリーみつけ

BOROと水墨抽象とヤブレカブレ
4/1[水]―5/3[日] 4/19[日]
10:00-22:00 (最終入館21:30)

一度は会期が延長になりましたが、その後4/21から臨時休館することになり結果的に4/19までの開催となりました。

会場:ギャラリーみつけ 2階フロア・展示室2
見附市昭和町2-4-1 0258-84-7755
休館日:月曜日/入館無料
www.gallery-mitsuke.com

 私たちがキロさんと呼んでいるこの人は、生名上原誠一郎といい、越後西蒲原、竹野町の造り酒屋の長男だった。
 東京の美校を中退後、イタリアに移動し、日本でいう狂言役者みたいな古典芸能の芸人となって、テレビの人気者になったりしたという俄かに信じがたい話もあるが、どうやら本当のことらしい。かの地で「せいいちろう」の音をなかなか発してもらえず、seiichiroのchiro(キロ)が呼び名となった。
 30年ほど前、故郷の新潟に現れ、エチゴビールの創始者として、当時の巻町福井の山中や萬代橋近くのビルに、おしゃれなビールパブを開いた時分は、西欧の地方文化を運ぶ颯爽とした渡り鳥に見えた。時がたち、酒造業を離れ、不思議な絵やコラージュ(貼り絵)を発表したり、路上や湿地などで踊りともつかない不可思議なふるまいを始めた頃から、これはどうも破格の異なる人物ではないかと思われてきた。その「異」ぶりが年々昂じ、近年は人の姿をした妖怪みたいになってきた。日本名誠一郎も、イタリア風のchiroも、この人が近年好むぼろ布のように穴だらけとなり、その奥にのぞく地肌が、なんともひろやかで、あたたかい。この人はどこかへ、なにかへ、帰っていこうとしている。ぼろアートやら、穴あき(アナーキー)絵画やら、こんにゃく大芸術(こんにゃくを筆にして描く墨絵)やら、ほとけ様やチミー(魑魅)、その大きい体から次々と湧水のように生まれだしたなにもかもが、陽なた水のような、ベトのような、なんか屋や見世物小屋のような、私たちが知っていたのに忘れかけてしまったものや場所の匂いを漂わせて、新しいのに、なつかしい。(大倉宏/新潟絵屋)

上原木呂(うえはら きろ)
1948年巻町(現・新潟市西蒲区)生まれ。美術家、パフォーマー。69年東京芸大中退。瀧口修造と知り合い強い影響を受ける。76年イタリアに渡り演劇活動の後、88年帰国。2010年ドイツでマックス・エルンストと二人展。ヤン・シュヴァンクマイエルとの共同展も多い。作品制作は多産で多彩な展開。
作家ホームページ


上原木呂
上原木呂
上原木呂
上原木呂チラシ裏

ギャラリーみつけは新潟絵屋が指定管理に携わる見附市の文化施設です。


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