久保舎己展 1980-1999

1/26[水]―2/11[金・祝]

niigata eya exhibition 624

 今回見附と新潟で展示するために久保舎己が送ってくれた1980年代から今年までの絵を通観する機会を得て、うまく言葉にできない何かに揺すられ、体が釘付けされるような感覚におちいった。
 久保は一貫して白と黒の木版画を続けてきた。たとえば写真はかつてモノクロだけだった。カラー写真が普及し、デジタルの時代になり、インスタグラムではさまざまなトーンまで用意されている。多様な選択肢に恵まれたように見えて、失ってしまった何かを20世紀初期の写真に気づかされることがある。久保の版画のフラットな黒が語る声、トーン、内容の深さと豊かさにそのことを思い出した。表現は表に現すと書く。与えられたものから選ぶことではない。「はきだす」という印象的な自画像のように、これらのすべては久保の体を通過して、世界に出てきたものなのだ。(企画 大倉 宏)

久保舎己(くぼ すてみ)
1948年三重県津市生まれ。66年東京寛永寺美術研究所に学ぶ。75年木版画を独学ではじめる。三重を中心に、愛知、東京、新潟などで発表。2018年ドイツ・ブッフハイム美術館で企画展。刊行物に『久保舎己 版画集 1977-2012』(ドイツ語/英訳・日本語訳あり)、『ホシヒト ある“個”の軌跡―久保舎己木版画集』(言水制作室)などがある。

PHOTO(上): 「はきだす」 1980年 木版画

久保舎己展 1980-1999
PHOTO:「ふるえる三角」 2021年

久保舎己展 1980-1999

PHOTO:「4人の人とヒコーキとトリ」 2020年

久保舎己展 1980-1999
PHOTO: 「あくび」 1980年


同時開催企画
梅田恭子 久保舎己

久保舎己展 2000 ― 2021
1/8[土]―30[日]

みつけ市民ギャラリー ギャラリーみつけ
新潟県見附市昭和町2-4-1
tel.0258-84-7755

10:00-22:00(入館受付21:30迄・最終日16:00迄)
月曜休館 ※1/10(月・祝)開館、1/11(火)休館

ギャラリートーク
出演:梅田恭子・久保舎己(リモートで三重から参加)
聞き手:大倉 宏
収録日:1/23

https://youtu.be/xad2qDqfc4Y
公開期間2/11まで


▶ 久保舎己 木版画展