渡邊 博 展

4月12日tue―20日wed

vol.490

作家在廊予定日:4/12

 渡邊博の絵に闇を感じてきたのは、絵そのものと、洲之内徹の彼の絵に触れたエッセイのせいだったかも知れない。そこには当時、30年以上前に渡邊が親しんでいた今昔物語を、洲之内が読んだ印象が書かれていて、その印象が「夜の暗さ」だった。
 最近出た現代語訳で私もその今昔物語を読んでみた。僧侶が天皇と碁を打ち勝つ。褒美に金の枕をもらう。天皇は帰途、僧をおそわせてそれを奪い返す。それがいつものことなので僧侶は偽の枕を奪わせて本物をせしめ、それを砕いて寺を建てる…という話などを読んでいると、まるでチェーホフの短編みたいな人間味を感じて楽しい。うごめく人間たちが明なら、それを浮かべる物語の時空は暗であり、明暗あい乱れて流れていく、雲のような不定形空間は、まさに今の渡邊の絵のようだ。(企画 大倉 宏)

渡邊 博(わたなべ ひろし)
1938年新潟市生まれ。熊谷喜代治にデッサンを学び、後笹岡了一に師事。日展、光風会に出品し、66年光風会会員となるが、68年退会。以後は紀伊国屋画廊、美術ジャーナル画廊、現代画廊、ギャラリーXepia、ギャラリー汲美、(株)東京現像所、K’sギャラリー、セッションハウス(いずれも東京)、ギャラリーDEN(ドイツ・ベルリン)などで個展により発表。新潟での個展は91年新潟伊勢丹、2002・05・08・12年新潟絵屋。そのほか新潟絵屋で2013年久松温子との二人展開催。千葉県在住。

▶みるものとよいところ 会場のようす

PHOTO: 「乾坤の扉」2015年 水彩・紙 91.0×91.0cm

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