栗田 宏 展

6月2日thu―10日fri

vol.495

作家在廊予定日: 6/2・5・9

 私の中では、映像や画像と言われるものの対極に絵がある。その意識と感覚を育んでくれたのが栗田宏の絵だった。複製できない、いま、ここ――現在の一刻、この地点に自分がいるという実感を磁石のように吸い寄せる「見えるもの」である、絵。
今回の展示では4年前に村松のギャラリーで発表した2点の白い絵を絵屋の壁に掛ける。図版という画像に変換されるとただの白にしか見えないだろう。けれど実際にそこにある絵は、画像を、画像的な見え方をつきやぶって、そこに在る。それを見る私も、ここに、いる。
数年前から体調をくずした栗田宏は、制作のペースをおそろしく緩めた。私がこの稿を書いている時点(2016年5月)でも、新作をまだ「準備中」だ。それでも新しい絵が1点、あるいは何点か生まれるだろう。そのために、栗田宏の展示を企画し続けたい。
(企画 大倉 宏)

栗田 宏 (くりた ひろし)
1952年白根市(現新潟市南区)生まれ。白根市役所に勤務し、在職中より絵を描き始める。その後、退職し絵に専念。「生成」「気」「密」などのテーマで制作を続ける。84・85年現代画廊(東京)、2000・02・04・14・15年新潟絵屋、04・05・07・08・09・10年画廊Full Moon、07年砂丘館、11年阿彌陀瀬(五泉市)にて個展。11年 「栗田 点 華雪」、13年 「平野充・栗田宏」開催。89年 「新潟の絵画100年展」(新潟市美術館)、新潟の絵画100年展」(新潟市美術館)、00年 「見えない境界 変貌するアジアの美術 光州ビエンナーレ2000(アジアセクション)日本巡回新潟展」(新潟県民ギャラリー)出品など。

▶みるものとよいところ 会場のようす

PHOTO: 「而今」 左/1980年代 右/2000年代

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