吉田淳治 水彩展 W II

6月2日fri―10日sat

vol.527 作家在廊予定日: 6/3・4

 吉田淳治の水彩画展を、新潟絵屋がオープンしてまもない2001年に開いた。2月。大雪の年で会期中画廊の周りは白と灰色の世界だった。そのなかで、あたたかな水の気配を吸い込んだ絵の、色の鮮やかさが目にしみた。
 その後、吉田は油彩に戻って、水彩を描かなくなり、年月が過ぎた。また水彩を始めた、発表していきたいと連絡を受けたのが去年。
「水という物質の不思議な作用。形がないのに他のモノを吸い、走らせ、裂き、衝突させ、まぜあわす。吉田さんの画面のあらゆる場所が、今は蒸発して消えた水の痕跡で、きらめいている」と16年前に私が書いた「きらめき」は、新シリーズでも健在だ。同時にその水の表情が、より深くなった気がする。音楽で言うなら低音部が豊かになった。そのせいか色が目を抜け、腹や体にまでしみてくる。(企画 大倉 宏)

吉田淳治「W II - 174」

吉田淳治(よしだ じゅんじ)
1951年愛媛県宇和島市生まれ。1970~76年東京、以後は宇和島で制作。81年パリに1カ月滞在、イタリアに旅行。宇和島市立伊達博物館、べにばら画廊(宇和島)、松山三越、田都画廊(松山)、マエダ画廊、Gallery芽楽(名古屋)、現代画廊、紀伊國屋画廊、始弘画廊、ギャラリー収納(東京)、ギャラリー小蕪亭(長野)、新潟絵屋、画廊Full Moon(新潟)などで個展。グループ展多数。2011年「絵画のwaltz-吉田淳治展」(町立久万美術館)、12年「絵画風景 吉田淳治展」(砂丘館)が開催される。 http://junji-yoshida.webhop.info/

▶みるものとよいところ 会場のようす

◆ギャラリ―トーク「水彩画について」
2017年6月3日(土)18:00~19:00
会場 :新潟絵屋 展示室
吉田淳治×大倉宏
参加料:500円 

◆吉田淳治さんを囲む日本酒の会
2017年6月3日(土)19:30~21:00
会場 :新潟絵屋 展示室
こんぴら通りの吉川酒店さんが、今回の展覧会に合わせて銘柄をセレクト。
日本酒を発見し、たのしみ、吉田淳治さんと交流する機会に。
参加料:3,000円 
定員15名/要申込→新潟絵屋へ info@niigata-eya.jp

PHOTO(上): 「W II – 33」2016年 水彩/紙
PHOTO(下): 「W II – 174」2017年 水彩/紙 31.6×23.9cm