三瓶初美展

1月12日fri―20日sat

vol.546 作家在廊予定日: 1/12~14、19、20

 東京に住む三瓶初美さんと、銀座で落ち合って、今度の個展に出品をしたいという絵を見せてもらった。
 ルノアールという喫茶店の一角で、絵を広げていたら注文したコーヒーが運ばれてきた。今回の三瓶さんの絵もコーヒーで描いたということで、コーヒーで描くということがどういうことか、詳しく聞きそびれてしまったが、それは私が絵には関心があるが、技法や描き方に、あまり興味がないせいかもしれない。インスタントコーヒーの粉を顔料にしたということだったような気がする。コーヒー色の絵は喫茶店のざわめきと、運ばれてきたコーヒーの香りと味に溶け込んで見えた。
 絵を預かり、新潟で撮影しようとしていたら、窓から朝日が差し、絵を照らした。一瞬、なめらかで艶のある絵肌が生き生きと輝き、コーヒーの香りが匂いたった。日の出とコーヒーの香りが運ぶ幸福の一瞬が、絵の姿でそこにあった。
 作者と絵を親子になぞらえる人があるが、むしろ姉妹や兄弟に近いのではないかという気がする。絵を描く時間の楽しさで、弾むように生きている、三瓶さんの双子の妹があらわれて、澄んだ笑い声をあげたようだった。(企画 大倉 宏)

三瓶初美展

三瓶初美(さんべ はつみ)
東京都生まれ。上野の森美術館大賞展、川の絵画大賞展(加古川)、風の芸術展(枕崎)、熊谷守一大賞展、上海アートフェアに出品。2013・15・17年ギャラリー島田deux(神戸)、2016年新潟絵屋で個展。

PHOTO(上):「風は回転扉」2017年 アクリル・コーヒー/キャンバス S10号
PHOTO(下): 「風は回転扉」2017年 アクリル・コーヒー/キャンバス S10号


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