PHOTO(上): 蓮池もも「あか136」2016年
8月2日thu―10日fri
vol.558
昨年のこの時期は、バルセロナの画家カルメン・ラ・グリエガの妖気あふれる魅力的な絵を展示した。熊野古道を歩いた経験を持ち、日本の妖怪に興味を抱く彼女と、妖怪文化を新潟内外に発信する高橋郁丸(たかはしふみまる)との対談をお願いしたが、その時、妖怪の起源は「気配」だったと高橋が語ったのが印象的だった。百鬼夜行絵巻や水木しげるの漫画などのキャラクター化された妖怪の、根っこともいうべき、気配。それを生命=生き、うごめくものの存在の非直接的な感知ととらえてみれば、万物の動きが活発になる夏は、まさに気配の季節だ。
高橋郁丸の制作した妖(あやかし)たちの面とともに、同じ気配を母体に、さまざまな個人のフィルターを通過してあらわれるイメージたちが、真夏の新潟絵屋にやってくる。(企画 大倉宏・井上美雪)
出品作家
上原木呂
美術家、パフォーマー。 uehara-kiro.jimdo.com
加藤 啓
細密画描法による幻想絵画から出発し、インスタレーション、海辺で採集したモノたちで作られた人形オブジェへと変遷する。1991年よりオブジェ‐人形を操るパフォーマンスを始める。youtube 加藤啓/浦邊雅祥パフォーマンス
佐佐木 實
言語、意味、意識などを題材にしたドローイングを制作。「感」「イ」を出品。www.minorusasaki.com
高橋郁丸
絵、執筆、講演等で新潟の民俗学、郷土研究、伝承の普及を試みている。新潟妖怪研究所所長。
蓮池もも
近年は俳誌『白茅』で画とエッセイ「森の奥 湖の底」を連載。今回の出品作品は「あお/あか」シリーズより。
松本健宏
染色と人形を制作。「絵屋の神」を絵にしてくださったことも。前回の個展の様子
村井 勇
新潟絵屋を被写体とした連作「エヤノヨウカイタチ」を出品。前回の個展の様子
渡邊 博
今年2~3月「闇の明るさ 渡邊博展」が記憶に新しい。今回は1990年代の〈気配〉濃い油彩を展示。higenabesen.com
PHOTO: 村井 勇「ガイトウ」2010年 日が沈むころ外灯をつける。外灯は、明かりがともると妖怪度を増す。
PHOTO: 加藤 啓「海の天使」2018年
PHOTO: 佐佐木 實「感」2014年
PHOTO:お面・高橋郁丸 2017年8月新潟絵屋にて