榎本千賀子 写真展 「影を繰る」

9/2[月]―10[火]

vol.582

作家在廊予定日 9/2・3・7~10

 1940年代から今まで、生まれ育った福島県金山町の人々を撮り続けた角田勝之助への関心から、金山に移り住み、3年を暮らした榎本千賀子が、金山で撮った写真を展示する。 榎本の展示は3回目。初回は東京、2回目は新潟の写真だった。彼女が暮らしてきた土地の軌跡でもある。一見何を撮ったかわからない榎本の写真には、しかし一見してそれとわかる「声」がある。福原路草の写真のように。
 声は「階調」と言ってもいい。金山の写真の類まれな美しさに私は打たれるが、それはやや明部よりの階調の独特の豊かさ、奥行きからことに来ているように感じる。写真家はカメラを耳にして、世界を聞く。これらの写真をのぞくとき、角田が暮らす金山の光を、自然を、生活を、榎本の耳が聞いた現実と感性の十字路に私は立っている。(企画:大倉宏)

榎本千賀子(えのもと ちかこ)
1981年生まれ、東京出身。写真家。2016年より金山町に暮らし、金山町臨時職員(2016‐19年)として町の映像遺産の編纂事業に取り組むとともに、町の現在を撮影する。金山町における活動は、2017年「村のひろがり・私の奥行き<新潟編>2017「村の肖像」展IV ふたつのかねやま—角田勝之助と榎本千賀子(砂丘館)、18年「Tsuka」(Centre for Contemporary Photography・メルボルン)をはじめとする展覧会や、19年の写真集『山のさざめき 川のとどろき:かねやま「村の肖像」プロジェクト』(金山町教育委員会)などを通じて発表している。

榎本千賀子 写真展

PHOTO: 2018年 金山町水沼

PHOTO: 2018年 金山町大志