小林春規 木版画展

10月17日[土]―30日[金]

niigata eya exhibition 598

 小林春規の「打水」は2000年の個展「新潟下町界隈」後、絵屋に寄贈していただいた版画で、夏になると掛けている。格子の大輪の朝顔が往時の並木町を思い出させる。
 絵屋での個展は3年ぶり6回目。版画家の命の右手首を最近痛めた姿に、今回ばかりは新作は難しいかも知れないと、久々に家を訪ねて思った。それではと、この30年に制作された版画から新潟を描いたものを紹介しようと提案し、選ばせてもらった。
北蒲原に生まれ、京都で表具の技を学んだ小林が、古都から持ち帰ったのは、季節の変化を細やかに愛でる美意識だった。その目が見続けた新潟の幾十の四季は、私たちの目をも染めてきた。
 夕暮れ時、小林の家を辞し蒲原平野に走り出ると、まるで小林の版画に入り込んだような錯覚に襲われる。フェーン現象の酷暑の翌日。風に掃かれた雲には秋の気配があった。移動し、時間がうつろうごとに、これもあれもと記憶の絵があらわれ、日没までそれが続いた。下町シリーズからは「打水」と同時期の小品「茂作小路」を並べる。この界隈が新しい変化を見せ始めた今、新潟の路地にしみじみした風情をいち早く感受した目をもう一度、思い出したい。(企画者:大倉宏)

小林春規(こばやし はるき)
1953年新潟県水原町生まれ。幼年時より木版画を始める。18才で初の個展後、京都の表具師の内弟子となり、表具の仕事を続けながら版画制作を続ける。90年新潟県笹神村(現阿賀野市)に転居。70年より日本アンデパンダン展、平和美術展に出品。個展多数。挿絵は、残熊てるよの詩集 『不安と未来と』、個人伝記 『暗闇の燈火』など。

小林春規「秋空」
「秋空」 2006年 26.5×36.0cm

小林春規「麦秋」
「麦秋」 1993年 20.5×27.2cm


「余寒」 2001年 26.5×36.0cm

小林春規「地蔵様まつり」
「地蔵様まつり」 1999年 20.5×27.2cm


▶ 小林春規展ー京都散見ー
▶ 小林春規展