斎藤応志 展 3

2/3[水]―14[日]

niigata eya exhibition 604

 斎藤応志が描いた冬の西堀の絵を部屋に掛けている。どこか幻想的で、エリアーデの不条理な物語の舞台のよう。
 平明なのにそんな夢想を刺激する。描くことが、描きながら新潟の町を見ることが、とにかく好きだったのだろう。スケッチ板に描いた風景が数えきれないほど遺されている。前々回はその一部を紹介した。私なりにいいと思った絵を選んだのだが、人によって感想がひどく違うのが面白かった。よみがえる記憶もそうだが、かきたてられる夢想も人それぞれ。そこで、今回はその折の展示作品の一部に、私ではない人たちに選んだもらった絵を加えて紹介する。リアルでファンタスティックな昭和の新潟を、来場者とともに楽しみたい。(企画:大倉宏)

斎藤応志(さいとう おうし)
1903年中条町(現胎内市)生まれ。24年新潟師範学校卒業。戦前の民間主催の洋画公募展「新潟県展」(旧県展)の企画・運営に参画し、自らも同展に出品した。旧県展第1回で3点の作品が入選し、「選外特選」の「船」は市長賞を受賞。第4回で特選。白日会(大正13年創立)へ出品していた時代がある。戦後は中学校美術教師をしながら、新潟の風景や静物画を描き、数多くの個展を開催した。81年没。2019年新潟絵屋で弟との二人展「斎藤応志・鉄臣展」を、2020年個展開催。


PHOTO:「すすけた土蔵」 1959年 油彩/板 22.9×15.4cm


PHOTO:「雪の西堀(七番町)」 1959年 油彩/板 15.4×22.9cm


PHOTO:「二月の阿賀」 1959年 油彩/板 15.4×22.9cm


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