新潟の画家たち[前期] 斎藤応志・鉄臣展

6/1[土]―13[木]

 斎藤応志(おうし)という珍しい名をよく目にしたのは30年以上前、県立図書館で戦前の県展関係の記事を探して閲覧していたときだった。
 昨年絵屋の近くの家で、西堀の柳を描いたしぶいいい絵に出会った。斎藤応志作とあった。ほどなくして新潟大学の展示館に、新潟のカトリック教会を描いた絵が十数点並び、その大半が斎藤応志作と知った。柳の絵よりずっと色鮮やかな絵だった。
応志の弟、鉄臣さんとは、やはり30年以上前、佐藤哲三の話を伺いに訪ねたのが縁で、その後新潟絵屋で2003年に児玉晃との2人展を企画させていただいた。多作で平明な画風の応志、寡作でマチエールにどこまでもこだわった鉄臣。作風は違うが、生涯絵に情熱を持ち続けた兄弟がこの町にいたことを、もう一度、思い出したい。(企画 大倉 宏・小見秀男)

PHOTO: 斎藤応志「カトリック教会」 油彩/キャンバス 45.5×53.0cm


斎藤応志(さいとう おうし)
1903年中条町(現胎内市)生まれ。24年新潟師範学校卒業。戦前の民間主催の洋画公募展「新潟県展」(旧県展)の企画・運営に参画し、自らも同展に出品した。旧県展第1回で3点の作品が入選し、「選外特選」の「船」は市長賞を受賞。第4回で特選。白日会(大正13年創立)へ出品していた時代がある。戦後は中学校美術教師をしながら、新潟の風景や静物画を描き、数多くの個展を開催した。81年没。

斎藤鉄臣(さいとう てつおみ)
1912年中条町生まれ。新潟師範学校で小野末、小柳耕司、山田夏男らと絵を学ぶ。38年から中国で生活し、敗戦後抑留され46年帰国。70年まで教職。73年から同級の小柳、山田両氏と3人展(新潟大和)を始め92年の20回まで続ける。93年以降は新潟の若い画家たちとのグループ展で発表。2003年新潟絵屋で児玉晃との2人展を開催。 2012年没。

斎藤応志 「カトリック教会」
斎藤応志 「船」
斎藤鉄臣 題不詳(けし)
斎藤鉄臣 「雪之街」

PHOTO(上から): 斎藤応志 「カトリック教会」 1955年以前 油彩/板 15.5×22.5cm
斎藤応志 「船」 制作年不明 油彩/板 15.7×22.6cm
斎藤鉄臣 題不詳(けし) 2000年代 油彩/キャンバス 38.0×45.5cm
斎藤鉄臣 「雪之街」 1992年 油彩/キャンバス 45.5×38.0cm


新潟の画家たち 後期 
6/17[月]―30[日]
熊谷喜代治展

新潟の画家たち[後期] 熊谷喜代治展

Report 作品寄贈

    Report

     5月の〈若槻菊枝蔵の「峰村リツ子の裸婦」展〉は、画家の若槻菊枝さんが所蔵されていた峰村リツ子さんの作品(油彩4点、素描8点)をご遺族が新潟絵屋へ寄贈してくださり、絵と人をつなぐ橋渡しの機会として実現した展覧会でした。

    峰村リツ子

    関連記事:若槻菊枝蔵の「峰村リツ子の裸婦」展

     さらに、このほど新潟市在住の方から、喜多村知(油彩画1点/写真下)、原美緒(長岡出身の日本画家/水彩画3点)寄贈をお受けしました。今後、これらは絵のある空間コーディネート事業「eto」*や砂丘館の常設展示で活用させていただきます。
    *「eto」は、空間をより居心地よく、豊かにする美術をみなさまの日常にお届けする新潟絵屋の作品展示サービスです。詳しくはお問い合わせください。

    喜多村知「マドリッド」
    喜多村知「マドリッド」1976 年頃 油彩/キャンバス


TOLEDO 特別展示

5/30[木]まで

NEWS

 八木なぎささんのリトグラフ版画と山下誠一さんの和紙にプリントした写真を、インテリアショップTOLEDO(トレド)さんの店内に展示させていただいております。画廊で出会う作品とは違って、背景みたいに溶け込んでいますが、共感する作品を手元に置いて暮らす、絵のある日常の一例を体感していただけます。

オーダーカーテンと家具・インテリアの店 TOLEDO
新潟市中央区万代3-5-6 tel.025-255-5502
10:30~19:00(水曜日定休、5/2~5休)

関連記事
八木なぎさ展
山下誠一展

TOLEDO 特別展示

暮らしに生きる書 熊木英仁展

5/12[日]―15[水]

OPEN EYA

 営所通の忘時庵さんは、美味しく、店内を飾る書がすてきだと思っていました。書は店主の作品だと後から知りました。このたび忘時庵の熊木さんの、4日間限定の個展を開催します。
 金文、甲骨文字に取り組んでいる近作の書「幻想」「陶然」「聴雨」「雪月花」などを出品。原初の文字の面白さとパワー、墨色の美しさを味わっていただけます。

熊木英仁
1965年新潟市生まれ。
大東文化大学中国語学科卒業、日本書道教育学会書学院卒業、北京師範大学留学。幼少の頃より書に触れ、現在にいたるまで一貫して学習を継続中。
2015年1月より忘時庵を開業。日本酒の普及と暮らしに根付いた書道の在り方について追求している。

PHOTO(上): 作品:「幻想」 2018年 33.5×51.3cm


関連イベント

熊木英仁展 オープニングパーティー

5/11(土)17:00〜20:30

絵屋が小さな忘時庵に。
どなたでもご参加いただけます(ご予約不要)。
熊木英仁 暮らしに生きる書

長岡市無形文化財「寺泊山田の曲物」足立茂久商店

〈新潟絵屋+吉川酒店 2会場特別展示販売〉

SHOP

5/12[日]― 6/13[木]新潟絵屋 ショップスペース

5/11[土]― 6/13[木]地酒防衛軍 吉川酒店(こんぴら通り)
新潟市中央区西厩島町2346
9:00~20:00(土曜10:00~19:00) 定休日:日曜定休、5/6休

 日本海に面した寺泊山田集落で、江戸時代から続く県内唯一の篩屋(ふるいや)として、裏ごし、蒸籠など曲物を製造する足立茂久商店。このたび、新潟絵屋のショップスペースでは11代目足立照久さんが創作した曲物製品を、また近隣の地酒防衛軍・吉川酒店さんでは、匠の技が結集した「ウルトラ警備隊エンブレム オブジェ」を展示・受注販売いたします。2会場で足立さんの新しい曲物世界をお楽しみください。

協力:新潟の伝統工芸と繋がる タクミクラフト www.takumicraft.com

足立茂久商店

PHOTO(上): ウルトラセブンシリーズ第3弾「ウルトラ警備隊エンブレム オブジェ」
PHOTO(下): 11代目 足立照久 足立茂久商店|寺泊山田の曲げ物

Tango写真展『4718/R』

5/17[金]―30[木]

niigata eya exhibition 574

 Tangoさんが撮るのは一見、ごくごく当たり前の『日常』にある風景です。そこには劇的なものはなく、見慣れたものが写っているはずなのになぜか観るものの印象に深く残り、心の中に留まります。なんの変哲も無い日常の中には、確かにその時にしかない特別なものが含まれていて、作家はそれを見出し鋭敏な感覚で切り取ります。
 今回展示を行う作品では、二つの視点が並べられます。誰かと誰かが一緒にいるとき視点は決して重なることはありません。それでも、その時は同じ場所にいてどこかは重なっていたものもある筈――それが何だったかをTangoさん独自の感性で捉えようとする「一緒にいた人」と共有された「時間」と「場所」に取り組んだ写真展となります。(企画者:Bricole 桾沢和典・桾沢厚子)

Tango
1980年生まれ。新潟県在住。シリーズで継続しているZINE「e.o.a」と、グループで発行している「LIGHT」の製作を中心に活動している。
http://hachigatsunoowari.com

作家在廊予定日:5/19・22

Tango写真展

Tango写真展

PHOTO(上から): 作品:「NAGISA」
「4718」
「I Hope Not」


関連イベント

ギャラリートーク

5/19[日]18:00―19:00

会場:新潟絵屋 展示室

500円(要申込/新潟絵屋へ info@niigata-eya.jp)
ブリコール桾沢さんを聞き手に、Tangoさんのお話を伺います。
現在、本展覧会のための特別書き下ろし「インタビュー紙」を、ブリコールさんは製作中とのこと。そちらもどうぞお楽しみに…。