Report 「清五郎に住む  ふしぎな生物をつくろう」

 11/18[土] ▶新潟市こども創造センター

講師:藤井芳則

今年藤井さんが台湾でも行った、空想の生き物創作と影絵遊び体験。「清五郎」は、会場の施設が立地する地名です。付近には、鳥屋野潟から通じる清五郎潟があります。5歳〜11歳までの参加者たちは、そこに暮らす生き物を想像して、プラスチック板に絵を描き、切り取り、ストローや専用ハトメで動く細工をし、清五郎潟の水中に見立てた幕に生き物を映し出して遊びました。そこでは、明るいラオスの民族音楽が流れ、影絵は幻想的でした。細工を手伝う藤井さんの手業を見て、目を輝かせるこどもたちの姿も印象的でした。 (新潟絵屋・新潟市こども創造センターの連携企画)

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どんな生き物をつくろうか、紙に描いてみます。
プラスチックの板を紙に当て、上からなぞったり、下絵を描かずに板に描き始めたり、藤井さんが切り取ったものからイメージを膨らませたり・・・。
すこし厚いのでハサミが難しく、みんな奮闘。
ひとりでがんばって、ときどき手伝ってもらって。
同伴の方の関わりが考えどころ。
手を出しすぎず、じっくり見守ってくださっていました。
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からだを連結させて、動く細工をします。
お子さんたちは、藤井さん(左)の作業をじっと見つめていました。
藤井さんは、「プラスチックの板は、細かくカットしなくても、影絵では絵の輪郭が見えれば大丈夫」、とアドバイス。
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ステージの下に水草をイメージした藤井さんの造形を置きました。
スポンジ状の棒に切り込みを入れ、別なパーツを差し込んだりしてできていました。
潟に見立てた紙に、いくつもの影絵が映ると、幻想的な景色に。
白い紙になにか背景的なものが描かれていなくても、白いことで自由に想像できたのかもしれません。
同伴の方と参加者、参加者同士、作家と参加者、生き物を泳がせて自然な交流が生まれていました。
光に透かすと絵が映る、当たり前だけど面白い!
遊びのスイッチをひとつお分けしたようなひとときでした。
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ギャラリー&ミュージアムマップ 12/20 2017~1/25 2018

私たちは、画廊や美術館を巡るひとが増えるにはどんな環境が必要か、考えています。
2008年創刊、毎月無料配布の情報冊子です。

新潟島とその周辺のギャラリー&ミュージアムマップ | gallery & Museum Schedule 2017.12-2018.1

2017年12月20日(水)- 2018年1月25日(木)

Erika’s Room yamatani hideaki

12月12日tue―20日wed

vol.545 作家在廊予定日:12/12.15〜17.20

 絵屋の一角に、銅製のシェードランプがある。ごつい金具の下に細いコイルが巻かれ、渦は部分的にハンダづけされ少々危うい感じでひと塊りを維持している。「処理をしない方針」と聞いた。溶接やハンダづけの工程で、肉が盛り上がったようになる溶加材が美しいのだと。日が暮れると、ささやき声のような明かりが灯る。2014年のheya展でBOTTEGA GIRASOLE_山谷秀昭が発表した作品のひとつだ。
 今回の個展では、山谷が同居している架空の女性Erikaのある日の部屋を形にし、そこへみなさまをお迎えする。Erikaは1960年代にヘルシンキに生まれたフィンランド系イタリア人。5歳から12歳まで祖母の郷里青森で育つ。両親離婚。母の故郷イタリア、ミラノに移住。19歳で結婚。女の子を出産。23歳で離婚。仕事はキャバレーダンサー、秘書、演劇役者、トラック運転手、ファッション誌エディター、ウエイトレス、レストラン経営、会計士などの経験がある。現在、パリ郊外に暮らしている。もっといろいろ聞きたい気はするが、作品を見て、Erika像をおもいたい。作品は明かりの形態が主。「FRAGILE」と書かれたテープも材料のひとつだ。
(企画 井上美雪)

山谷秀昭

山谷秀昭(やまたに ひであき)
1954年三条市(旧下田村)生まれ。東京デザインスクール卒業。95年「BOTTEGA GIRASOLE(ボッテーガ・ジラソーレ)」ブランド設立。鉄とガラスの可能性をコンセプトに照明を主体とするデザインアートの制作を始める。ミラノフォーリサローネ出展、東京国際家具見本市出展、ミラノと新潟を拠点に作品を発表。新潟での個展は2003・12年新潟絵屋、06・08年画廊Full Moonなど。新潟絵屋でのグループ展、02年「あかり展」、13年 「ナイトエヤ」、14年 「heya展」出品。新潟デザイン専門学校非常勤講師。プロダクトデザイナー。2016年3月には食のブランド 「轍」を立ち上げた。

PHOTO(上): Height: 385cm/B:94cm・W:63cm・H:120cm
PHOTO(下): 2014年 鉄・布帛・ボタン H87cm

▶みるものとよいところ 会場のようす

内田美代子展 Jouer au vent ~風遊ぶ丘~

12月2日sat―10日sun

vol.544 作家在廊予定日:12/2~10(毎日午後)

 新しい内田さんのアトリエの大きな窓からは弥彦山の昼夜、四季が飛び込んでくる。部屋の開口部は開放的で裏山とつながり、生活が自然と一体となっている。創作の場が替わったことで今回はどのような作品に巡り会えるのか楽しみに新作を見に伺った。
 一見抽象画に見える作品、でもそれは浜辺の砂の部分を一部切り取った面だと聞く。砂の上には何処からかたどり着いた流木や色ガラスの破片、打ち上げられた小魚や海草、そこに被る波と流れる風と日差し、それらが絡み合い空気感を作り出す。そんな空気を作り出すそれぞれの素材が、形を削ぎ落とされ、色や線を持ちキャンバスに一体となって現れる。
「これが小魚でね、これが流木でこれらが潮風なの」
 と聞くと確かに抽象画ではない事に納得。
 今までのテーマであった「食」からの変遷も垣間見る事ができる作品「鯖の日」は、作品をじっと見ていると伝わってくる空気感が以前同様私の胃袋を刺激する。同じ感覚に至るのに作品作風の違いがとても興味深い。今回はそんな新作も多数展示。内田さんが見、感じた空気感を、新たなアトリエで創作した作品とそこに至るプロセスともいえる作品の繋がりから感じるのもおもしろい。(企画 伊藤純一)

内田美代子I

内田美代子(うちだ みよこ)
神戸市生まれ。武蔵野美術大学造形学部油絵科卒。在学中フランス、ブザンソンのエコール・デ・ボザールにて人体をテーマとして油彩を学ぶ。1991~93年TEAFOLLIES(パリ)・ギャラリー砂翁(東京)・CHRISTIAN ALEXANDRE(ターンレイ)・エスパスLE MANS ASSURANCE(ブリュッセル)他各地で個展。96~99年MUSEUMNATIONAL D’HISTOIRE NATURELLEに出展他、パリを中心に個展。2001年新潟県弥彦村に移り住み、自然の中で創作をしながら、ギャラリー砂翁等で個展を続ける。新潟絵屋では3回の個展05年 「パリ・新潟の朝市から」、11年「Viva Degustation!」、13年「Source de vie」を開催、そのほか食にまつわるグループ展 「ターフェルアート展」に出品。

PHOTO(上): 「鯖の日 Jour de maquereau」2014年 岩絵具・アクリル絵具・クレヨン・グワッシュ/キャンバス 60.6×102cm
PHOTO(下): 「金麦 〈初夏〉」2014年 岩絵具・アクリル絵具・グワッシュ/キャンバス 60.6×102cm


関連イベント

12.3[日] 18:30〜
◆内田美代子さんを囲むオープニングパーティ
参加費2,000円/定員12人 要申込(新潟絵屋へメールまたは電話にて)

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