美術分野における新潟市内組織基盤の形成と新たな可能性に関する調査研究 その1

  この調査は、認定NPO法人新潟絵屋の「美術分野における市内組織基盤の形成と新たな可能性に関する調査研究」の一環として、2018年の1月から3月にかけて行いました。

  この調査研究の目的は、新潟市域の美術をめぐる総合的な現状把握です。もちろん、それは一回の調査で実現できることではありませんので、さらに追加の調査を、今後重ねて行きたいと考えています。

 今回は市内の美術団体・グループと画廊を調査対象としました。
調査はアンケートとヒヤリングによって行いました(ヒヤリングは一部の画廊の責任者にお話を聞く形で実施しました)。
 調査内容は「調査を終えて(アンケート結果と考察)」の「はじめに」に記しましたが、ヒヤリングを行なった理由は、多様な画廊の誕生とその活動が2000年以降の新潟市において、大きな意味を持つのではないかと判断し、それらの画廊の活動の具体的内容と、画廊の方々が考えておられることを、直接伺うことが、調査目的にかなうと考えたためです。

  現状把握の先には、それに基づいての新潟市の美術をめぐる状況の問題と課題の認識、関係者間でのその共有、さらには課題解決に向かうため、美術に関わる人々や、美術(芸術文化)行政に関わる人々の意見交換・議論のための場作りを構想しています。

 その先に調査の表題に掲げた「美術分野における市内組織基盤の形成と新たな可能性」があると考えています。

 調査にご協力いただいた各位に深く感謝申し上げます。

2018年3月 認定NPO法人新潟絵屋

調査を終えて(結果と考察)

はじめに

  本調査はアーツカウンシル新潟 (公益財団法人 新潟市芸術文化振興財団)「文化芸術基盤整備促進支援事業」の助成を得て、認定NPO法人新潟絵屋がおこなった。

 調査の目的は、新潟市域の美術をめぐる総合的で正確な現状把握であるが、その先にその内容の公開が、美術活動に関わる人同士の情報の共有を図り、互いの理解、交流、連携の基盤となることを考えた。またそれぞれの活動の内容、抱えている課題、新潟市の現在の美術をめぐる状況に対し感じたり、考えたりしていることを知ることによって、関係者間で話し合われるべき今後の課題も示唆できればと考えた。

 調査はアンケートとヒヤリングによっておこなった。

 調査の対象は主に美術作品の作り手たちが中心となっている美術団体・グループと、美術作品を展示・販売する場を運営している画廊とした。

 それぞれの団体や店舗の基本的な情報の収集にあわせ、抱えている課題、また新潟市の美術をめぐる状況について感じていることや意見を記述式で回答してもらい、また7つの画廊には直接ヒヤリングをおこなった。

アンケートの質問項目は下記の通り

■美術団体・グループ

基本情報(設立年、活動内容、活動場所など)

抱えている課題

新潟市の美術状況についての意見

■画廊

基本情報(設立年、活動内容、活動場所など)

企画展示と貸し展示の割合

展示における新潟ゆかりの美術家の紹介の割合

美術品販売について

抱えている課題

新潟市の美術状況についての意見

 回答結果と、そこから見えてきた、美術をめぐる新潟市の現在の状況について

( 1 )美術団体・グループ

( 2 )画廊

の順に考察する。

___________________________
●新潟市域の美術団体・グループ
アンケート回答数 17
●新潟市域の画廊
アンケート回答数 19
ヒヤリング協力数 7
__________________________

( 1 )美術団体・グループ

 今回調査は、新潟市の美術団体を十分に網羅する資料と情報の不足から、アーツカウンシル新潟から紹介をいただいた5団体と、各地域の区役所・公民館からつながりのある団体、グループにアンケート用紙をお渡しいただいて回答を集めるという方法に拠った。

 回答のあった団体、グループを活動内容から分類すると

 a 公民館等を拠点にして制作活動を主におこなう団体、グループ

 b 制作活動と自ら主催する発表活動をおこなう団体、グループ

 c 制作活動・啓発活動・鑑賞活動・発表活動などをおこなう団体、グループ

に大別される。

 aには 亀田美術クラブ、北部書道会、陶芸木曜クラブ、ちぎり絵サークル黒埼北部教室、松浜表装・表具クラブ、水彩グループ関屋

 bには 絵画グループ求美会、写游、新水墨画会、にいがたアートサーカス、七宝焼きクラブ、萌木会、楽水会

 cには 新潟市北区美術協会、新津美術協会、日本水彩画会新潟県下越支部、新潟市美術協会

がある。

 これらの団体、グループが抱える課題として非常に多くの回答者が挙げたのが「会員の高齢化」「会員数の 減少」「若い会員の少ないこと」である。この結果に関しては、「若い世代がつくる美術グループ」(例えば2009 年にはじまった「水と土の芸術祭」に関連して活動を始めたグループなど)からの回答が少ないか、得られな かったからという理由が考えられる。しかし、少なくとも回答を得た団体、グループに関しては、共通して次世代への活動の継承が困難な状況に突き当たっていることが浮き彫りになった。特に活動歴が30年以上に及ぶ団体、グループの約7割がこれらを課題に挙げていることから、これまで新潟市域での民間における美術に関わる活動の中心を担ってきたと思われる団体、グループの今後の活動力や影響力の低下が、メンバーの 高齢化によって避けられない、差し迫った課題となっていることが分かる。

 その原因を「新潟市の美術の現状についての意見・要望」の回答に探すとすれば「公民館活動が市民の活動を十分に掘り起こしていない」「既存の団体の刺激的な情報発発信力の不足」「既存の公募展(県展、市展など) の内容のマンネリ化」などが挙げられよう。

 考えさせられるのは、今回は非公開希望の意見(意見の発言者が特定されることを希望しないという意味と解釈し、ここに記述者を伏せて紹介させていただく)の中に「これまでの古い美術でなく、現代アートなども取入れていくべきか、課題は多い」というものがあったことである。今回回答を寄せた団体、グループの大半が「絵画」「写真」「表具」「書道」「水彩画」「水墨画」「陶芸」「ちぎり絵」など、いわゆる「現代アート」が一つの社会的存在としてクローズアップされてくる以前の「美術」のジャンルを基盤に結成されている。

 この非公開希望の意見が示すように、これらの団体、グループの高齢化の背景には若い世代を引きつけている「現代アート」の潮流と、団体やグループの活動内容が、結果的に連続性を持たなくなってしまったことが あることが考えられる。

 一方で「現代アート」の潮流に根ざす美術団体、グループの新潟市域における存在、活動のついては今回のアンケートでは十分に把握することができなかった。

( 2 )画 廊

 現在の新潟市域における美術の状況を考えるとき、画廊の存在は重要である。

  しかし画廊の多くは個人経営であり、経済活動の面から見れば個人商店という性格を持つものでもあるため、その全体像を把握することが、なかなか難しい。

画廊と商店の境はあいまいだが、今回は所有または借用するスペース(商店であれば店舗)において「展覧会」を開催していることを基準にアンケートとヒヤリング調査をおこなった。具体的には認定NPO法人新潟 絵屋が2008年から毎月発行している「新潟島とその周辺 ギャラリー&ミュージアムマップ」に展覧会情報 が掲載されている画廊や店舗を「画廊」と考えアンケートを実施し、そのほとんどから回答を得た。

  回答のあった26の画廊のうち、24が2000年以降の設立であることから伺えるように、新潟市域における画 廊設立の活発化はこの10数年の間に起こったひとつの社会現象と考えられる。画廊はほとんどが個人経営で あり、後継者のない場合には、個人がなんらかの理由で活動が続けられなくなり、休止することが多く、組織 を持つ美術団体より、活動の期間が比較的短くなる傾向があることを考慮しても、2000年以降の新潟の画廊 の全体数の増加は、実際に画廊を営むひとりである筆者も、実感として感じている。

  新潟市は2001~2005年に近隣の14の市町村と合併し、広域市となったが、今回回答を得た画廊のうち旧新潟市に合併された地域(現在の西蒲区、南区、北区、江南区、秋葉区など)に位置する8つ画廊のほとんどが 2010年以降の設立であることが示すように、都市部から離れた、それまで画廊の存在しなかったと思われる 地域にも画廊が誕生してきたことが、近年のもうひとつの新現象として指摘できる。

  一口に画廊と言っても、設立の経緯、動機や活動の内容は多様であり、数値のような客観的指標で実態を把握することが難しい。今回は数値化できる指標として、「展覧会の開催形態̶企画展中心か、貸し会場中心か」「新潟市及び新潟県出身・または在住の作家の展覧会比率」の2つを設定し、またその商業活動の実態の把握 のために「美術品の販売状況」についての質問を加えた。さらには性格や歴史、活動形態の異なると思われる7つの画廊には直接代表者と面談してヒヤリングをおこなった。

数値化された指標から

〈企画展開催形態〉

  「企画展」「貸し会場」は画廊で開かれる展覧会への画廊の主体性の関与度を示す指標と考えられる。「企画展」割合が 多い画廊は、展覧会に主体的に関与する度合いが高く、逆に「貸し会場」が多い場合はそれが低い(画廊以上に借り手の 関与の度合いが大きい)と想定される。

  回答の結果は「企画展中心」が62%、「企画展・貸し会場半々」が19%、「貸し会場中心」が12%だった。「企画展中心」と
「企画展・貸し会場半々」を合わせると81%となり、新潟市の画廊が、開催される展覧会に非常に高い割合で主体的に関与していることが明らかになった。

*別図参照

〈新潟市及び新潟県出身・または在住の作家の展覧会比率〉

  画廊が開催する展覧会が取り上げる作家の新潟(新潟市・新潟県)の関係の度合いを質問した。

  結果は新潟とつながりのある作家の展示開催比率「100%」が15%、「90%以上100%未満」が27%、「50%以上 90%未満」が23%で、これらを合算すると65%となり、過半の画廊が新潟と縁のある作家たちの紹介を主要な 活動としていることが分かった。見方を変えれば、現在新潟で制作活動を行う美術家たちにとっても、発表の場として、画廊が大きな役割を持つようになりつつあると言える。

  この結果を新潟の画廊の企画展の比率の高さと合わせて考えると、もうひとつの美術家の発表の場として存在する公募形式の美術展が、入選や賞の授与などによって「団体の主体性」においておこなう表現に対する「評価」の活動を、現在の新潟市域では画廊経営者たちがそれぞれの「個人の主体性」においておこなうことが 活性化してきていると言えるだろう。

*別図参照

〈美術品の販売状況〉

  画廊が美術品の販売を行う商店としての性格を持つことは、すでに記したが、その実態の公表は画廊の経営自体にもはね返って影響することが考えられるため、具体的に問うことはためらわれたが、今回は個々の実態は非公表とすることを前提に、「これまで」と「現在」にわけ、それぞれ「順調」「困難」「どちらともいえない」の3つの選択肢から選んでいただく形で回答を求めた。

  結果は「これまで」と「現在」に大きい差はなく(「これまで」より「現在」が若干「困難」が増加し「順調」が減少)、「困難」が「順調」を上回った(「現在」は「困難」が「順調」の倍)。「どちらともいえない」はいずれにおいても54%で、これをどう解釈するかは難しいが、さしあたり「経営の休止に追い込まれない程度の販売はある」という意味に捉えるならば、新潟では画廊の商活動はまだ十分に活性化はしていないと見ていいだろう。つまり商活動の面では比較的困難な状況にあるにもかかわらず、画廊の活動そのものは活発になっているのが、今の新潟市のユニークな状況なのである。

*別図参照

ヒヤリングをおこなった画廊について

今回は「羊画廊」(1978)「認定NPO法人新潟絵屋 」(2000)「ギャラリー蔵織」(2007)「あらきギャラリー」(2008) 「ギャラリー浜つばき」(2013)「BOOKS f3」(2015)「ART&COFFEE SHIRONE PRESSO」(2015)の7つの画廊の責任者から直接ヒヤリングをおこなった(*( )は設立年)。ヒヤリング内容は主にアンケートの質問項目に沿ったものとしたが、直接お聞きすることで、アンケート用紙記入の形では十分に知ることのできない具体性のある回答を得ることができた。

  ヒヤリングを行った画廊は、その活動の内容や形状、また立地や設立時期が異なることに配慮して選定し、現在の新潟市域の画廊活動の多様性を示せるのではないかと期待した。

具体的なヒヤリング結果は別紙に記載したが、ここでは7つの画廊の活動内容と特徴を簡単に紹介する。

  「羊画廊」は今回アンケート調査をした画廊の中では40年と、もっとも活動歴が長い画廊である。展覧会は企画展中心で半数以上が新潟の作家。かつては版画を中心とした展示をおこなっていたが、現在は版画以外のジャンル の美術表現も紹介する展示が多い。注目すべき過去の活動として、1990年代に海外(ヨーロッパやロシア東部)の 美術家を多数紹介したことがある。近年の活動としては国外のアートフェアへの積極的な参加がある。今後は国内のアートフェアへの参加も検討している。「海外にでるようになって、地元の作家ともっと一緒に展覧会を開 きたいという気持ちが強くなった。だが、「やりたい」と言ってくる人が少ないし、会場を埋めるだけの力ややる気のある作家も多くないと感じている」という。

  「認定NPO法人新潟絵屋」は集団で経営する珍しい形態の画廊で、展覧会(企画展中心)開催のほか、自治体が所有する芸術文化施設やギャラリーの運営に関わり、また「新潟島とその周辺 ギャラリー&ミュージアムマップ」の発行など新潟市の画廊の活動を広く紹介する活動を続けている。ほか展覧会開催以外にも活動を広げていこうとしているが(今回の調査もそのひとつ)、一方では経営を支える美術品販売の困難という課題も抱えている。

  「ギャラリー蔵織」は新潟の作家を中心に企画展・貸し会場半々の比率で展示を行っているが、そのほかコンサートの開催、美術教室や歴史夜話、勉強会の開催などもおこなってきた。また毎年春に新潟市内の20箇所 以上が連携して開催する「湊にいがた雛人形・町めぐり」の事務局もつとめるなど、新潟という場所に根ざした多方面の文化活動の一環として、画廊の活動があるように思える。今後は「地域で意識を持っている人たち、気持ちのある人たちと連携して取り組みを行いたい」という。

  「あらきギャラリー」は現在の場所で活動を始めて10年。新潟の作家たちに積極的に声をかけ、企画展での紹介を続けてきた。今回のアンケートで美術品販売が順調と回答した数少ない画廊のひとつである。「個展は 作品を発表するための場であると同時に、売れる場であることが大事で、そのための力添えをするのがギャラリーの役目だと考え」「顧客をつくり、作家ともよく話をし、作家の魅力や作品の素敵さをしっかり伝えて、作家と作品を求める方のパイプ役に積極的に取り組んでいる」と語り、作家と鑑賞者(購入者)の橋渡しをするのが画廊の役割という明確な意識をもって経営を行っている。その作家は「新潟県美術家連盟加盟」の作家が 大半であるため、美術団体が抱える「高齢化」の課題も共有している。「今後は30代~40代の若い作家たちを応援し、育てていきたい」という意志も持っている。

  「ギャラリー浜つばき」は美術には素人の、もと教員のご夫婦が自宅の一角に、地域の人との交流の場として作った画廊である。画廊になったきっかけは、住まいがある越前浜に2000年代から画家やクラフトなど多 ジャンルの美術家が住み着くようになり、オープンアトリエ的性格の催し「浜メグリ」が開催されるようになったのがきっかけだった。展覧会は地域に人に足を運んでもらう契機という気持ちで開催している。地域の 交流空間という性格は、ギャラリーに転用された蔵の一階が喫茶スペースで、2階が展示室という空間の造りにも表現されている。

  「BOOKS f3」は写真集の専門店という全国的にも珍しい書店が、店舗の壁面を使って展覧会を行うという形の画廊である。店舗の形態自体が、経営者の強い意識と意志の表現となっていて、そのひとつの表れに展覧 会の開催がある。2年間の活動で「新潟の人は良い展示をみる機会が少ない現状と、その現状に対する諦めの ような空気がある」と感じ「それが残念だ」と言う。新潟に限らずもっとも先鋭的な(「バリバリの活動をしている」)写真表現を紹介していきたいと考えているが「写真を買う文化」が根付いていない状況が深刻な問題 だと感じている。

  「ART&COFFEE SHIRONE PRESSO」は、東京でともにクリエーターとして活動していた夫妻が、余裕あるスペースを確保できることがひとつの理由となって、それまで画廊のなかった小さい町に開いたカフェ ギャラリーである。自分たちの経験を基盤に紹介する作品の質は吟味しながら、人々との交流をより重視しつつカフェ経営と連動した画廊運営をおこなっている。とくに30~40代の表現を志す人々の「ステップアップしたい気持ち」と「自身でオーガナイズする力や術」を見抜いて、彼らの気持ちと実力に応え、それらを巧みに引き出す展覧会を実現してきた。美術品販売が経営維持に直結せずにすむ、比較的余裕のある状況は「ギャラリー浜つばき」と共通だが、より都市的センスの強い場作りに個性が光る画廊である。

  「あらきギャラリー」「ギャラリー浜つばき」「BOOKS f3」「ART&COFFEE SHIRONE PRESSO」は展覧 会開催のほか喫茶もおこなっている(「ギャラリー蔵織」も今は休止しているが、かつては喫茶をおこなって いた)。美術品販売が全般的には困難な状況の中で、喫茶を行うことは、滞在の気分や交流の促進とともに、経営維持の一助ともなっている面があると考えられる。

  また新潟市の画廊に多く見られる特徴のひとつに、歴史的建造物をリノベーションした展示会場の多いことが挙げられるが、ヒヤリングを行った7つの画廊の中でも「認定NPO法人新潟絵屋」「ギャラリー蔵織」「ギャラリー浜つばき」「BOOKS f3」の展示室はいずれも戦前の木造住宅や土蔵を活用したものである。

記述式の回答とヒヤリングから

  「現在抱えている課題」と「新潟市の美術の現状についての意見」の項目には、美術団体、グループから以上にさまざまな内容の回答が寄せられた。

〈現在抱えている課題〉

  新潟の画廊が抱える課題は、回答を大きく分類するならば

  a「ギャラリー訪れる人の少なさやギャラリー自体への認知度の低さ」

  b「販売の困難」

  c「売ることと伝えることのバランス」

  d「紹介したい作家、発表意欲のある美術家 ―特に若い作家― の少なさ」

の4つに集約されるように思われる。

  このうち「販売の困難」に関しては、販売が順調な「あらきギャラリー」の場合、作家も購買者も50代以上が中心であり、かつての美術の状況の遺産を画廊活動が掘り起こしている面があるとするならば、その遺産と50代以下の世 代の美術への意識の連続のなさ(若い購買層が育っていないこと)を、ほかの多くの画廊が共通して感じ取っている ということではないだろうか。かつての世代にあった作り手と鑑賞者の熱が、その後の世代に引き継がれてこな かったことと、新しい世代に美術品購買につながる新たな熱がなかなか独自に生まれてこないという実情があるの かも知れない。一方で画廊の増加は、美術的なものへの関心がこれまで以上に広がっていることも伝えている。しかしそれが「作品を買う」ことにすぐに結びついていないというのが、現時点の状況だと捉えるべきだろう。

  「売ることと伝えることのバランス」という言葉は、現代の表現が「商品」(求める人のニーズに応えるもの)的な価値ではないものに重心を持つものが多く、とくに「芸術祭」の場などで紹介される機会の増えた「現代アート」にそれが顕著であり、画廊が紹介する表現においても、とくに若い世代にはその傾向が強くなりつつあるため、その「表現」を鑑賞者に純粋に「伝えよう」と画廊が努力するほど、展示物の「 商品」的性格を薄める結果になっていくというジレンマが生じていることを指していると思われる。

  しかし商品価値以上に、表現としての質の高さ、強度が、画廊を経営する人々の意欲を刺激し、高めていることもあるであろうと想像すると、優れた表現を紹介したい意志という文化的活動体としての画廊の主体的・精神的 な基盤それ自体が、経営困難の理由にもなっているという実情が浮かび上がってくる。

  そしてそのような画廊が抱えている課題や置かれている状況、ジレンマを、「ギャラリー訪れる人の少なさや ギャラリー自体への認知度の低さ」が壁となって、なかなか地域の共有されるべき課題として意識されることが 難しくなっているのだとも思われる。

〈新潟市の美術の現状についての意見・要望〉

  さまざまな意見があり、集約は難しいが、新潟市が2009年から3年おきに開催し、今年4回目が開かれる「水と土の 芸術祭」に対しては評価する意見がある一方、完全に否定的な意見もある。

  ただ評価する意見においても「芸術祭で招聘される美術家の「美術」と、画廊で扱う「画家」たちの「美術」が、なかなか 連動して地域を動かす力になりえていない」問題点が指摘され、否定的意見でも「上古町で以前あった「春山登山」や越 前浜の「浜メグリ」のように、テーマ性をもって地域をめぐる企画を新潟市全体として考えるべき」という意見が付さ れていて、外部のディレクターやプロデューサーを迎えて開催する行政主導の「芸術祭」のような新しい美術をめぐる 動きや、「春山登山」(若い表現者たちが、上古町の空き店舗などを会場におこなった展示)や「浜メグリ」といった、団体 展や画廊の個展などの既存の形とは異なった発表の有り様への関心や、なんらか連動への意志が、新潟市域の画廊に は潜在的な形ではあるが存在していることが伺われる。

  「若手~中堅作家の発表活動の活性化が急務」「若手の作家が育つ環境が整備できていない」という意見は、10~30代の 新潟の表現者たちへの期待でもあり、同時に現在の画廊の活動だけでは、彼らへのサポートが十分に行えていないと いう気持ちのあらわれである。画廊の増加は、新潟市の美術の状況における好ましい現象だが、その画廊もさまざまな悩みを感じて活動をしている。

  画廊がつきあたっている課題は、美術行政やさまざまな美術団体、グループが抱えている課題とも連動しているが、そのことの認識がまだ相互に共有されているとは言えない。本調査が、そのような共有を促進する一助となれば幸いである。

(考察執筆/大倉 宏)
(調査実施・とりまとめ・ヒヤリング/上田浩子)

アーツカウンシル

新潟市域 画廊・ギャラリー(アンケート及びヒヤリング回答総数:26)

現在抱えている課題

●作家の版画や絵画制作の技術面をサポートしながら育成にと思いつつ、なかなか理解が得られない。
●常連のお客様が多いので、新規の三十代のお客様を増やしたい。
●売ることと伝えることのバランスをよくしたい。売れるし、良いものを伝えたい。
●同じ作家が多くマンネリ化も否めない。
●非営利の任意団体のため、給与を出せないことによるキュレーターの不在。
●賃貸物件で店舗を運営しているが、経費がかかり持ち出しが多くなっている。
優れた作家展を実施しても、売上げに結びつくことが少ない。ギャラリーに足を運ぶ人が少ない。ギャラリーの存在すら知らない人が多い。
アートに関心を持っている人が少ない。
●30~40代の新たな作品購買層の拡大。
●個展と、入館料をいただく企画展をおりまぜてやるが、入館料では運営が成り立たない。
次世代への継承(一応、母家の隣で息子は自分の仕事̶小盆栽づくり) 。
お客さんを迎え接待に時間がかかる。
なかなか市内外のギャラリー、美術館等を訪ねる時間がない。
●なかなか定期的な開催ができていない。
●店舗を維持するための経済的課題が大きい。
書籍の販売利益は低く、作品の売上げが経済的な柱になる。
そのためにも、もっと作品が売れてほしいと思うが、写真作品を購入する文化が根付いていないと感じる。
裾野を広げていかなければと思い、地道に活動しているが、ときどきめげそうになる。
現在は店舗経営と並行し、カメラマンとしての仕事も行っている。
●課題ではないが、立ち止まらず前進し続けることが大事と考えている。
●売上げの減少にともなう資金面の課題。
●新たな作家を捜すのが大変と感じている。地元で作品づくりを行っている人が展覧会をすることで のびていってくれればという想いがある。ギャラリーのスタンダードとはやや異なるかもしれない。
●経済的には厳しい。広報が届きにくく、告知の方法が難しいと感じている。
●作品の販売のむずかしさ。
多くの人たちがまだ「絵を購入し、身近において楽しむ」という習慣をもたないという壁を、画廊として、どのような働きかけで越えてもらうことができるのか、その方法がなかなか見えない。
現代の住宅が絵を飾ることを想定していない(壁に釘等を打てない、貸家では打つことを禁じているなど)ことも問題 だと感じている。
画廊を日常的に訪れ、知らなかった美術家との出会いを楽しむ習慣がないため、知人の少ない県外の美術家の 個展を見にくる人が少ないことも悩み。
絵への関心、好奇心をどう持ってもらえるかがなかなか分からずにいる。
特に40代以下の人々がなかなか画廊へ足を運んでくれないことも、悩ましいことだと感じている。

新潟市の美術の現状についての意見・要望

●話題になるような大型美術展の開催が少ない。
売れる美術作家が減少してきた。
●市内施設でDMやポスターなどの掲示、配置を積極的に行ってほしい。
また、公共施設の作品展示施設を積極的につくって欲しい。
江南区内では駅の施設や公民館での考え方を変えるだけで素晴らしい場所になる。
●少し盛り上がりを感じない。年齢のせいかもしれませんが・・・
●美術は幅が広いので何とも言えないが、決してレベルが高いとは思えない。
●若いクリエーター、アーティストが気軽に使える会場がもっとあると良い。
●大きな市主催の催事と小さなギャラリーの連携が難しい。
「水土」に参加しているギャラリーもあるが一部にすぎない。
地元の作家に目を向けてほしい。
●若手~中堅作家の発表活動の活性化が急務。
また、それを紹介する同世代のギャラリストがでてきてほしい。
●公の資金で運営する美術展は、もっと市民の声をとりあげた方が良い。
新津美術館の来年の企画が予算削減して行われる。
市の考え方がわからない。意見はたくさんあり、書ききれない。
●若手の作家が育つ環境が整備できていない。
世代交代が進んでいない。
各ギャラリーが若手発掘をしていく意 識が低い。
●行政と市民とのあいだの温度差が激しく、乖離があると思う。
「水土」も全然知られていないし否定的な意見も多い。行政には「コレはココに頼む」というような、井の中のカワズ的なルールが決まっている印象もある。
もっと面白い作家や、団体・組織によらない個人のネットワークや人材を活かし、意見を聞きながら動いてほしい。
クオリティの高さを守ってほしいし、良いと思うものをしっかり提供してほしい。
●市は新しい試みを行い、努力していると思う。若い作家が新潟に定着し、育っていける環境づくりが必要。
●ラフォルジュルネや「水土」など、文化芸術面に力をいれているところだと思っていたのに、財政難を理由に削 減されてしまうようで残念。
かつては小学5年生に、りゅーとぴあのコンサートホールで生の演奏会を体験させる授業があったのに、それもなくなってしまった。
いい取り組みだったのに、もったいない。
文化活動や素地を育 てることの方がBRTより大事ではないか。
●「新潟らしさ」を見つけたい。
写真家には多くいるが、「新潟だからこういう絵を描く」という描き手に出会いた い。
作家がSHORONE PRESSOで展覧会を行うことで次のチャンスにつながるような場になりたいと思う。
●「水と土の芸術祭」は不要。技術的なことをおろそかにした、マスコミ受けのいい、かたちばかりのものがもては やされる風潮は何ももたらさないし、残らない。新潟にとって「水と土とは何か」を問うような作品もほとんどない。検証も批判も出て来ない、失敗しても誰も責任をとらない「アートの原発」ではないか。
新潟は、「新潟に行けばこれがある」という特徴づくりができていない。
上古町で以前あった「春山登山」や越前浜 の「浜メグリ」のように、テーマ性をもって地域をめぐる企画を新潟市全体として考えるべき。
外からくるものを待つ(呼ぶ)ばかりでは解決にならない。
地域での当たり前の日常、生活、暮らしの中から出てくるものでなければ意味がないと考える。
●篠田市政になって、行政の文化的な活動への取り組みが以前より積極的になったことは評価している。「水と土の芸術祭」も、批判的な意見は多いが、3回を実施してきたことで、そこから美術への新たな関心を向ける市民や、美術的な取り組みを行う人々が増えてきたことは実感する。
しかしそれが、そのまま画廊という地域の美術の小スペースに活気をもたらしてこなかったのはなぜだろうとも感じる。
芸術祭で招聘される美術家の「美術」と、画廊で扱う「画家」たちとの「美術」が、なかなか連動して地域を動かす力になりえていない。
全国的な動向の風で動くのではない、地域の現状・実情から考える美術行政を地域で活動する民間の立場からは望んでいる。

新潟市域 美術活動団体(アンケート回答総 数:17)

現在抱えている課題

●会員の高齢化で会員数が減少傾向にある。
●会員の高齢化で会員数が減少傾向にある。
●会員数の減少。
●会員の高齢化と減少化への対応。
●会員の高齢化。
●拠点となるべき場所がない。
財政基盤が不安定、イベントごとに補助金を受けなければならない。
●若手の参加が少ない。
●活動にあたって一般の講座室を使っているため採光が不充分で、作品を自然の状態で描くのが困難です。
ほか、アトリエとしての昨日が不充分なため充実した制作環境とはいえない。
●団体構成員の高齢化対策、団体参加希望者の減少傾向への対処。
●大学・高校などとの連携の難しさ、展覧会会場使用料の高額化。
●会員の高齢化、入会希望者の減少、室内での活動のマンネリ化(題材)。
●会員を増やすための対策。
●高齢者の退会、新会員の入会が困難な状態が続いている。
設立当初は19人からスタートしたが、高齢者の退会 と新会員の入会のバランスがうまくいかず、現在はクラブ員が半減状態にある。
●会員の平均年齢が高くなり、若い会員の参加がないこと。
●高齢者が多く人数が少なくなること。また、若い人(60歳くらい)が入ってこない 。

新潟市の美術の現状についての意見・要望

●公民館活動として広く市民活動を掘り起こしていただきたい。
●既存の団体活動だけで、現状を突破する刺激的な情報発進力がない。
そのためにはジャンルの垣根をとりはらい、映像、インスタレーション作家を参画させなければならない。
●江南区内の展示施設が充分に考えられていない。駅(亀田)の地域交流センターをギャラリースペースとして少し手を加えたり、文化会館内の郷土資料室の常設展示の場所を奥にして、手前をギャラリーにするなどして会館内のにぎわいを誘導するなど、現実的な対応をお願いしたい。
●駐車場の充実した美術館を中央区に(鳥屋野潟公園周辺)。
●市展、県展等、選者が同じ、選出される人も同じ、絵も同じの物が多くみうけられる気がする(個人の意見です) 。出品費が高すぎる!
●新潟市美術館行きのバスが少なく、乗り換えバスに間に合わなくて困ります。

▶︎調査結果pdfの印刷はこちらから。A4サイズ10ページ
2018年3月 美術分野における新潟市内組織基盤の形成と新たな可能性に関する調査研究

華雪公開制作と「場について」トークイベント

9/1[土]

◆16:30―17:30 公開制作 (参加料:1,500円・コーヒー付)
◆19:00―20:30 トークイベント「場について」(参加料:2,000円・コーヒー付)
◆公開制作+トーク通し参加料:3,000円・コーヒー付

会場:ツバメコーヒー(燕市吉田2760-1 tel.0256-77-8781 tsubamecoffee.com

 写真が写実的絵画の意味を変え、電子メールが手紙の意味を変え、iPhoneが腕時計の意味を変えたように、オンラインショップがお店の意味を変えようとしています。現代において、わざわざ足を運ぶことでしか得られないもの、見ることができないものとは何なのでしょう?カフェもギャラリーも、商品を買うための場でありながら、そこで過ごすための「場」としても機能しています。店主と話すために、集う友と語らうために、あるいはそこにある作品と対話するために、またあるいは予期せぬ何かと巡り会うために、場に赴くとしたときに、これからの「場」とはどうあるべきでしょうか?書が生まれる光景は、その場の空気を変えてしまうでしょうし、その書が飾られた空間もまたなにかを変えてしまうものです。今回は華雪さんによって書が生まれる場に立ち会うことによって、私たちにとって必要な(ありうべき)「場」とはどうありうるのか?について、体験を通じて探っていこうとする試みです。ご都合がつけば、公開制作とトークイベントを合わせてご参加いただくことをおすすめいたします。

ゲスト:華雪
1975年京都府生まれ。立命館大学文学部哲学科心理学専攻修了、東京都在住。幼い頃に漢文学者・白川静の漢字字典に触れたことで漢字のなりたちや意味に興味を持ち、以来、文字の表現の可能性を探求することを主題に、国内外で展示やワークショップを行っている。刊行物に『石の遊び』(平凡社、2003)、『書の棲処』(赤々舎、2006)、『ATO 跡』(between the books、2009)など。作家活動の他に、『コレクション 戦争×文学』(集英社)など書籍の題字なども手がける。kasetsuws.exblog.jp
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ナビゲーター:阿部ふく子
新潟大学人文学部准教授。専門は近代ドイツ哲学、哲学教育。哲学プラクティスの活動に関心があり、地域のさまざまな人々や小学校と連携して哲学対話を推進している。

主催:つばめの学校+新潟絵屋
「つばめの学校」は、燕市の若者が運営する「つばめ若者会議」のプロジェクトのひとつです。自ら学ぶと共に「学びの場」を提供し、講師・メンバー・参加者のみんなで一緒に「学び」を体験し、交流を深めるため、さまざまなイベントを企画しています。

PHOTO: 花坊

→新潟絵屋「華雪展 文学」2018.9.1-11

カテゴリー: NEWS |

甲斐啓二郎、前田和也写真展 『いとなみと影法師』

写真 甲斐啓二郎「Shrove Tuesday」

niigata eya exhibition 562

10/17[水]―30[火]

 写真には、記録して伝えるという根源的な力があるが、写真作家の視座は、ただこの特色の上に乗っているわけではない。写真表現の多様性は、この下支えの基盤に、どのような次元の表現を盛り付けるかという、作家の存在をかけた戦いから生まれている。それは、ある意味で人間存在の証明でもあるはずだ。意識するしないにかかわらず作家は、常に自己を選び取るのだ。つまり見続けるのである。それがいとなみ。そして、この二人の作家は、ヒトのいとなみの根幹にある情念をすくいあげ続ける。静けさの中、喧騒の最中にも、二人は自己を溶かし込む。観えてくるぞ。なんと物や景色までが、ひそひそ、がやがや、わいわいと蠢いている。静謐な日常に連なる、沸き立つような祭りの日々。そんな単純な構図ではない、ふるふると単振動を永遠につづける、ヒトの影法師が見え隠れしている。 企画・石井仁志(20世紀メディア評論・メディアプロデューサー)

甲斐啓二郎
1974年福岡県生まれ。97年日本大学理工学部卒業。2002年東京綜合写真専門学校卒業。塩竃フォトフェスティバル2016 写真賞特別賞、第28回写真の会賞受賞など。TOTEM POLE PHOTO GALLERY(新宿区四谷)の運営メンバーのひとり。 写真集に『Shrove Tuesday』(2013年)、『手負いの熊/Wounded Bears』(2016年)がある。http://keijirokai.com/

前田和也
1983年新潟県新発田市生まれ。2005年新潟デザイン専門学校卒業。2003年より始まった写真家渡辺さとるが主宰する写真講座ワークショップ2Bを2011年に受講。世界の若手写真家による優れた作品をコレクションする「清里フォトアートミュージアムヤング・ポートフォリオ」2016年コレクション作家。

 

ギャラリートーク

10/27[土] 18:00-18:45

ゲスト:甲斐啓二郎・前田和也・石井仁志/案内人:大倉宏 参加料500円/予約不要/会場:新潟絵屋展示室
終了後、企画者石井仁志の写真講座もございます


関連イベント 石井仁志写真講座

●「実践写真鑑賞講座」
10/19[金]18:00—19:30
講師:石井仁志
参加料3,000円/定員10名/要申込(新潟絵屋へ)
甲斐、前田両氏の写真の魅力、二人展の意義、展示のコンセプト、企画進行、キュレーションの道筋や実行の注意などを解説します。より深い鑑賞、その面白さに迫ります。

●「写真鑑賞 一枚の写真」
10/27[土]19:00—20:30
講師:石井仁志
参加料3,000円/定員10名/要申込(新潟絵屋へ)
両氏の出品作品から一枚づつ選んで徹底解説。鑑賞のポイントや作品理解への道筋、写真の魅力を存分に味わいつくす術とは。ここが鍵という鑑賞視座の構築を語ります。*当日は18:00からギャラリートーク もあります。

企画 石井仁志
1955年宮城県仙台市生まれ。近現代文化史研究、中島健蔵研究、音楽、写真、映像、文学と幅の広い評論活動を展開。元早稲田大学エクステンションセンター講師。清里フォトアートミュージアムのヤングポートフォリオ、新潟大学地域映像アーカイブを支援協力。東京都写真美術館「生誕百年中島健蔵展」2003年監修、『占領期雑誌資料大系大衆文化編全5巻』(岩波書店/2009)編集・執筆。新潟で企画に携わった主な展覧会:2011年細江英公人間写真展「気骨」、2013年 友長勇介 下平竜矢写真展「粒子の景色」、内野雅文写真展「とどまらぬ長き旅の…」、 2014年会田法行 渡辺英明写真展「青き球へ」、2015年有元伸也写真展、西村陽一郎写真展「光の詩(うた)」、2016年 ミーヨン写真展「Alone Together」

甲斐啓二郎
(上)甲斐啓二郎「骨の髄/Down to the Bone」
甲斐啓二郎
(上)甲斐啓二郎「骨の髄/Down to the Bone」
前田和也
(上)前田和也「サンヨーサンヨ」
前田和也
(上)前田和也「サンヨーサンヨ」
前田和也
(上)前田和也「あこがれはいつも遠く」

ギャラリー&ミュージアムマップ 8/20~9/25 2018

展覧会を見に行こう!
2008年創刊、毎月無料配布の展覧会情報紙です。

新潟島とその周辺のギャラリー&ミュージアムマップ | gallery & Museum Schedule 2018.8-9

2018年8月20日(月)- 2018年9月25日(火)

ギャラリー&ミュージアムマップ 2018年8-9月号

チラシのダウンロード(PDF)

ギャラリー&ミュージアムマップ 2018年8-9月号

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新潟島とその周辺
ギャラリーミュージアムマップ
配布場所のご案内

中央区 aigallery、ニカイギャラリー、BOOKS f3、STACK-BOARD、アートギャラリー万代島、ギャラリー長美堂、メディアシップ、kaede+fullmoon、hickory03travelers、蔵織・コンチェルト、にいがた銀花、医学町ビル、新潟美術学園、あらきギャラリー、羊画廊、新潟絵屋、二代目アートサロン環、万代島美術館、敦井美術館、新潟市美術館、砂丘館、NSG美術館、安吾風の館、篠田桃紅作品館、北方文化博物館新潟分館、新津記念館、あさひまち展示館、旧齋藤家別邸、旧小澤家住宅、みなとぴあ、知足美術館、新潟駅観光案内所、きさらぎギャラリー、なり、五徳屋十兵衛、花きりん、クロスパル、シネ・ウインド、三宮商店、ナガイ画材、北書店、器、SWAN、パルム、山浦珈琲、涼蔵、ぽるとカーブドッチ、竹野、鳥の歌、ノ縞屋、新潟県民会館、吉川酒店、新潟デザイン専門学校、市民活動支援センター、ホテル日航新潟、りゅーとぴあ、NHK文化センター、峰村醸造直売店、今代司酒造、新潟大学駅南キャンパスときめいと、絵画教室ウニアトリエ、新潟県立生涯学習推進センター、新潟NPO協会、栄楽亭、エフスタイル、日和山五合目、i media専門学校、アートホテル新潟

北区 楓画廊、てんゆう花、nico、ビュー福島潟
東区 巻菱湖時代記念館
南区 SHIRONE PRESSO
江南区 小さな美術館季、エムスタジオ、北方文化博物館
秋葉区 やまぼうし、三方舎、VUCA、新潟市新津美術館
西区 雪梁舎美術館、ギャラリー潟道、こんぺいとう
西蒲区 浜つばき、ギャラリー野衣、いわむろや

新発田市 清水園、草舟(菅谷)  
村上市 Toi陶房(瀬波温泉)
柏崎市 游文舎、gallery tanne(谷根)
長岡市 県立近代美術館、長岡造形大、栃尾美術館
見附市 ギャラリーみつけ
燕市 燕市産業史料館、ツバメコーヒー  
三条市 D+5 ART、三条ものづくり学校
栃尾市 栃尾市美術館
弥彦村 弥彦の丘美術館

新田コージ展

PHOTO:「小品NO.175」2013年

8月17日fri―30日thu

vol.559

 岩手花巻の作家・新田コージさんを、彼の奥さんの故郷である新潟で初めて紹介出来ることを嬉しく思うのですが、それがこういう回顧展のような形になってしまったことは残念でなりません。
 私が東京新宿でやっていた画廊ポルトリブレで、彼の個展を初めて開催したのは2008年でした。今のような作品での東京での初個展でした。それが好評を博し、翌年は京橋で開催し、それから新宿と京橋で交互に開催するようになりました。
 彼の作品は、一見額のように見える廃材で作った枠の中に、絵の具や砂等、様々な素材を詰めて作るモノで、地面の一部のような感じもしますが、そこに鉄屑を埋め込むのが特徴です。これは、彼が以前生業としていた廃品回収の仕事で集まった鋏やノコギリや釘・ネジ等の古い鉄製品を、野晒しで積み上げた中から引っ張り出して埋め込むのだそうです。まだ一生分あると言っていましたが、一生の方が先に終わってしまいました。齢65、早過ぎる死でした。 (企画 平井勝正)

新田コージ(にった こーじ)
1952年花巻市生まれ。2006年以降湯本美術展示館・ギャラリーBun・萬鐵五郎記念館八丁土蔵ギャラリー(花巻)、諄子美術館(北上)、ギャラリーLavie・ギャラリー彩園子(盛岡)、あーとびる麦生(久慈)、ギャラリー尾形(福岡)、ポルトリブレ(新宿)、ギャラリーび~た(京橋)、江原画廊(銀座)などで個展開催。2012年度岩手県美術選奨受賞により、アートフェスタいわて(岩手県立美術館)出品。2018年3月逝去。

新田コージ展

PHOTO:「小品NO.117」2012年

新田コージ展

PHOTO:「小品NO.95」2010年

新田コージ展

PHOTO:「小品NO.199」2014年

新田コージ 展

夏は妖

PHOTO(上): 蓮池もも「あか136」2016年

8月2日thu―10日fri

vol.558

 昨年のこの時期は、バルセロナの画家カルメン・ラ・グリエガの妖気あふれる魅力的な絵を展示した。熊野古道を歩いた経験を持ち、日本の妖怪に興味を抱く彼女と、妖怪文化を新潟内外に発信する高橋郁丸(たかはしふみまる)との対談をお願いしたが、その時、妖怪の起源は「気配」だったと高橋が語ったのが印象的だった。百鬼夜行絵巻や水木しげるの漫画などのキャラクター化された妖怪の、根っこともいうべき、気配。それを生命=生き、うごめくものの存在の非直接的な感知ととらえてみれば、万物の動きが活発になる夏は、まさに気配の季節だ。
高橋郁丸の制作した妖(あやかし)たちの面とともに、同じ気配を母体に、さまざまな個人のフィルターを通過してあらわれるイメージたちが、真夏の新潟絵屋にやってくる。(企画 大倉宏・井上美雪)

出品作家

上原木呂
美術家、パフォーマー。 uehara-kiro.jimdo.com

加藤 啓
細密画描法による幻想絵画から出発し、インスタレーション、海辺で採集したモノたちで作られた人形オブジェへと変遷する。1991年よりオブジェ‐人形を操るパフォーマンスを始める。youtube 加藤啓/浦邊雅祥パフォーマンス

佐佐木 實
言語、意味、意識などを題材にしたドローイングを制作。「感」「イ」を出品。www.minorusasaki.com

高橋郁丸
絵、執筆、講演等で新潟の民俗学、郷土研究、伝承の普及を試みている。新潟妖怪研究所所長。

蓮池もも
近年は俳誌『白茅』で画とエッセイ「森の奥 湖の底」を連載。今回の出品作品は「あお/あか」シリーズより。

松本健宏
染色と人形を制作。「絵屋の神」を絵にしてくださったことも。前回の個展の様子

村井 勇
新潟絵屋を被写体とした連作「エヤノヨウカイタチ」を出品。前回の個展の様子

渡邊 博
今年2~3月「闇の明るさ 渡邊博展」が記憶に新しい。今回は1990年代の〈気配〉濃い油彩を展示。higenabesen.com

夏は妖 村井 勇

PHOTO: 村井 勇「ガイトウ」2010年 日が沈むころ外灯をつける。外灯は、明かりがともると妖怪度を増す。

夏は妖 加藤 啓

PHOTO: 加藤 啓「海の天使」2018年

夏は妖 佐佐木 實

PHOTO: 佐佐木 實「感」2014年

カルメン・ラ・グリエガ

PHOTO:お面・高橋郁丸 2017年8月新潟絵屋にて

新田コージ 展

8月17日fri―30日thu

vol.559

 新田コージは、岩手花巻の作家で、今年3月末に65歳で急逝したが、若い頃は各地を放浪していたようだ。その流浪の記憶と花巻の風土の痕跡とが、作家の中で堆積されて「出土」したのが彼の作品だと思う。(企画 平井勝正)

新田コージ(にった こーじ)
詳細はまたあらためて。

夏は妖

8月2日thu―10日fri

vol.558

 夏は怪談。怪といえば妖怪。妖はかの妖精の妖でもあります。日本の妖怪はもともとは「気配」から生まれたと言われます。妖の気配ただよう絵や面を、諸物のうごめく夏の気配の中で紹介します。(企画 大倉宏・井上美雪)

グループ展
出品作家:上原木呂(絵)、高橋郁丸(お面)、蓮池もも(絵)、村井勇(写真)、渡邊博(絵)ほか