井田英夫 新作展

7月22日sat―30日sun

企画vol.532 作家在廊予定日:会期中毎日 ★夜間営業:7/22は21時まで営業

 

 去年7月の個展で新潟に戻った井田英夫は、個展後も、しばらく新潟にいて、また広島の呉の音戸に帰っていった。どちらに戻って、どちらに帰るのか。人の姿をしたわたり鳥は、今年も夏の新潟に来て、砂丘館と絵屋とギャラリーみつけの3カ所で個展をする。
 寝起きする布団と畳を描いた新作がいい。彼の傑作「走る粗大ゴミⅢ号」同様に、写真像からのゆがみが観察できる。井田はときに写真を参考にするらしいが、写真で描くのでなく、あくまで目で、ガラスではない肉の目で、見て描いている。人間の目が人間の生きる環境を見る。そのとてもシンプルなことが、美しい色の輝きを持つ絵の姿で、ここにある。
(企画 大倉 宏)

井田英夫(いだ ひでお)
1975年旧新津市生まれ。97年新潟デザイン専門学校卒。2000年モンセラート美術大学(アメリカ、マサチューセッツ州)卒業。ミンゴーギャラリー(マサチューセッツ州)で二人展。02・04・06・07・09・10・12・13・14・16年新潟絵屋、05年ギャラリーEMU-st(新潟)、11年久留米市一番街多目的ギャラリー、12年三方舎書斎ギャラリー(新潟)、15年天仁庵(広島)で個展開催。15年8月以降、広島県呉市音戸町に滞在。

同時期開催「ふだんを見つめる 井田英夫展」
2017年7月14日(金)〜8月27日(日)
会場 :砂丘館(新潟市中央区西大畑町5218-1)
9:00〜21:00/入場無料/月休
◆井田英夫ギャラリ―トーク
2017年7月22日(土)15:00~16:30
会場:砂丘館/聞き手:大倉宏/参加料:500円 

◆「井田英夫新作展」は巡回します!
2017年8月10日(木)〜23日(水)
会場 :ギャラリーみつけ(見附市昭和町2-4-1)
10:00〜22:00/入場無料/月休
◆井田英夫ギャラリ―トーク
2017年8月19日(土)14:00~15:00
会場:ギャラリ―みつけ 

井田英夫 新作展「布団」

PHOTO(下): 「布団」2016~17年 油彩/キャンバス 60.6×80.3cm

◆井田さんの絵が掲載された本が、7月2日に発売されます
田代草猫 句集「猫」発売

フジタヨウコ展

7月12日wed―20日thu

vol.531 作家在廊予定日: 7/12・16・17・20

 フジタヨウコは去年、村上の海に近い自宅の一角に穴窯(あながま)を築いた。10月の初の窯焚きを、見に行った。焚き口を開け薪を足すときに見える火に血がざわめいた。窯を囲む人々も、一様に気分が浮き立っていた。燃え盛る火にはふしぎな力がある。それは人が原始から受け継ぐ心中のなにかに働きかける。
開かれた厚い本に銀色の枯れ木の立つ作品は、その窯で焼かれた。表面は、薪の灰が融けた自然釉。火中に降る灰に濡れた平原のなだらかな起伏が美しい。
 見に行った時はまだ素焼き状態だったが、まるまる肥えた鳥が、猫や犬や渦の上に乗る、フジタらしい作品群も準備されていた。この人の造形は、幻想的なイメージに、どこか原始(初)の気配がある。
 その秘密は火にあるのかも知れない。(企画 大倉 宏)

フジタヨウコ (藤田 陽子)
1995年女子美術短期大学卒業。96年同専攻科修了。同年坂爪勝幸氏に師事。2000年新潟現代美術リレー展、08年越後の花鳥画展(農舞台/十日町市)、11年女子美術大学アートミュージアム「予期せざる出発」、16年アートスタジオDungeon「地下光学」(東京)出品。個展は、03・04年ギャルリー炎舎(新潟市)、05~10年(毎年)11・13・15年新潟絵屋、09年ギャラリーいなば(東京)、10年ギャラリーさやけ(新潟市)、12・14・16年ギャラリー彩(新発田市)など。09年長三賞、13年日本陶芸展入選。16年地元の村上市瀬波温泉にアトリエと教室、ショップを兼ねた「Toi 陶房」設立。

「失われた言葉と風景」2017年 陶 55.0×34.0×H25.0cm

PHOTO(下): 「失われた言葉と風景」2017年 陶 55.0×34.0×H25.0cm

木下 晋 展

7月2日sun―10日mon

vol.530 作家在廊予定日: 7/2・3・10 予定が変更になりました

 昨年の砂丘館での木下晋展では、パンダの絵本の原画を展示した。動物の母子の別れに、木下自身の体験が重なり、絵と絵本のリアリティとなっているのではないかと感じた。人を描くときも、有名無名にかかわらず、自分に興味のある人しか描かないという話が、ギャラリートークであった。
 皺のひだまで精密、細密に描く木下の鉛筆画の客観への偏執は、その対象が画家の主観の世界に巻き起こす感情のはげしさを、絵の底に放って、絵を破壊しない、保つための強固な壁としてあるのではないだろうか。
 絵本原画とともに展示された合掌図や、目をつぶる若い女性を描いた「風」などの大作の前に立つと、画家の個人的な感情が、リアリズムの船に乗って、他者である私の感情の浜にひそかに着岸し、動かされるのだった。 (企画 大倉 宏)

木下 晋 (きのした すすむ)
1947年富山県生まれ。70年新潟に転居。81年瞽女小林ハルに出会い、83年モデルに制作を開始。2005年桜井哲夫をモデルに制作開始。名古屋芸術大学特別客員教授、武蔵野美術大学客員教授、金沢美術工芸大学客員教授。紺綬褒章受章。ギャラリー、美術館での展覧会多数。著書に『ペンシルワーク 生の深い淵から』(里文出版)、『木下晋画文集 祈りの心』(求龍堂)、絵本に『熊猫的故事』(文・唐亚明/二十一世紀出版社)、『はじめての旅』(福音館書店)など。2017年横浜トリエンナーレに日本作家の一人として参加。

木下晋展「光へ」

PHOTO(上): 「美しき遵奉」2008年 
PHOTO(下): 「光へ」(モデル 桜井哲夫)2015年 鉛筆/紙 52.5×77.0cm