中島 佳秀 展

4月2日sat―10日sun

vol.489

作家在廊予定日:4/2・3・9・10

 中島佳秀が突然絵を描き始めたのが、7年前。動物のイメージの生命感が忘れ難い。2010年から3年続けて絵屋で展示をして、5年、間があいた。
 久しぶりに見た新作は動物の像から、遠のいていた。鉛筆の削りかすを、紙の上から飛散させ、定着したという。紙に顔を近づけ、動かすと、目が指先になって、毎朝カミソリを当てる前に触るひげの「ぞりぞり感」が降ってきた。毛の感触である。遠のいたのではなくて、逆に至近距離に、毛肌にまで近づいたのだ。ぞりぞり感が目で見るひげではないひげだとすると、中島のこれらの絵は見える動物ではない動物――動くものとの接触である。(企画 大倉 宏)

中島佳秀(なかじま よしひで)
1975年京都市生まれ。都市計画・建築を学んだ後、独学で平面の制作を始める。2008年より個展を中心に平面作品の発表を行う。現在東京都在住。 http://www.yshdnkjm.com

▶みるものとよいところ 会場のようす

PHOTO: 「何かいた場所」2015年 ミクストメディア・紙 60.0×60.0cm

池田 早季恵 「陶と苔展」

5月22日sun―30日mon

作家在廊予定日:5/22~30

vol.494

陶と苔展、タイトルからしてコラボレーションの体が想像できる今回。フットワークの軽い池田さんはここのところ様々な場所様々な人に接し、そこで起こる化学反応を楽しんでいる。歴史的建造物に自らの作品をリンクさせたり、新潟のまちの魅力や歴史を作品として作り上げたり、テーマや表現方法に様々な要素を取り入れている。コラボレーションというと互いの個性が鎬を削り緊張高まる化学反応を想像する方も少なくはないだろうが、今回のコラボ作品はむしろ「ほっこり」。陶と苔、共に土が共通だから一緒に丸めると予定調和になりそうなところだが、そうはならないところが池田さんの持ち味。卓上に置いて眺めていると、こころがゆるんでくる、そんな作品と巡り会える今回の個展。ほっこりほっこりのコラボレーションをどうぞお楽しみに。
(企画 伊藤純一)

池田早季恵(いけだ さきえ)
1980年生まれ。2002年新潟大学工学部卒業後、陶芸家の父・池田脩二に師事。04年石膏型による作陶を始める。06年佐渡博物館「佐渡のやきもの展」出品。08年イカラカラ(新潟市)にて器展、新潟絵屋では10年「陶の動物展」・12年「陶の縁起物展」、13年蔵織(新潟市)「陶雛展」開催。
http://www.jyounangama.info

盆栽 角谷絵里子 (かどや えりこ)
1980年生まれ。2011年盆栽木木として活動を始める。12年阿賀野町の山荘にて「森の中のふたり展」(陶はナナカマド・後藤奈々)、15年「MASUMOSS」の盆栽デザイナーとしてプロジェクトに参加。
http://www.bonsai-kiki.com

ギャラリーみつけ オープンその後

2階建ての旧法務局を改装した館内には、3つの展示空間と常設展示室、喫茶コーナーのラウンジ、美術工作や講座を行う部屋があります。

ギャラリーみつけ通信3つの展示空間は貸し出し利用もできます。新潟県の中心に位置するこの町で、人々の創作活動や発表のお手伝いもしていきたいと考えています。今後、ホームページや「ギャラリーみつけ通信」で活動を発信して行きます。

ギャラリーみつけ開館記念「池山阿有展」3/12(土)〜27(日)1階展示室・2階展示フロア

・作家ギャラリートーク 3/12(土)13:00〜

10:00〜21:00(入場受付20:30迄。3/12は記念式典のため11:00〜)

休館日:3/22 入場無料 駐車場完備 見附市昭和町2-4-1 0258-84-7755

https://www.gallery-mitsuke.com

Gallery staff
小見秀男(館長)新潟絵屋理事、元新潟県立近代美術館学芸課長
外山文彦(副館長、企画運営担当責任者)新潟絵屋企画委員、アトリエZen代表、美術作家
小沼智恵利(学芸員、事業企画担当)版画家

見附市が公募したギャラリーの指定管理者(2015.11~2018.3)に、新潟絵屋・新潟ビルサービス共同企業体が選出されました。
今後、さまざまな催しを開催していきます。
リーフレット 展覧会スケジュール面

写真・常設展示室 横山 操 「夕張炭鉱」写真・常設展示室 横山 操 「夕張炭鉱」(1958年)収蔵。

■ 新潟市こども創造センター×新潟絵屋 出前講座
ギャラリーみつけ開館記念ワークショップ「新聞紙でオリジナル動物を作ろう」
3/19(土)10:00〜12:00 
定員15名/講師:浅井俊一・小林美果(新潟市こども創造センター)
昨年は新潟市こども創造センターさんを会場に新潟絵屋の共同企画体験事業を4つ行ないましたが、今回は、こども創造センターさんで好評の体験を見附市に出前に。繊維産業の町・見附ならではの材料も用います。申込はギャラリーみつけへ(0258-84-7755)。

新聞紙でオリジナル動物を作ろう

中尾昌吾 展

 3月12日sat―20日sun

vol.487

 (未来の宗教は禅のようなものになるという話をどこかで聞いた覚えがあるが、科学、テクノロジーというものが根本的には自然の原理を見出そうとしているのであるということであり、仏教や禅がまたそれと同じことを追求しているのではないかと思える。未来のライフスタイルが意識的、或いは無意識であるにせよ禅というものに根差すのではないか。
 全ての問いは 「不識」に行き着く。問いを発するその瞬間私達は答えを逃す。達磨が発することのできる最終的な言葉が 「不識」であったのだろう。
 ただ在ること、存在として、人間として。
 私は問うということを止めるまで絵を描いてゆくのだろうと思う。(準企画 中尾昌吾)

中尾昌吾(なかお しょうご)
1965年兵庫県生まれ。2004年より日本画を描き始める。10・12・14年新潟絵屋で個展。これまでに 「深き淵より」「回帰」「存在する」のシリーズを発表。

▶みるものとよいところ 会場のようす

*新潟絵屋が企画会議で検討し、応援したい作家に対し、開催協力金をご負担いただいて開催するのが準企画です。

PHOTO: 「不識」2015年 墨・ロクタ紙 76.5.0×51.0cm

三瓶初美 展

 3月22日tue―30日wed

vol.488

 三瓶初美の絵を昨年見て、画面の質感に独特のものを感じた。しっとりとした気配も感じた。しばらくたって、夜ふけに、「柔らかな扉」という絵を見ていたら、池に小雨が落ちるような音が聞こえ、 絵具が濡れて見えた。
 ところが絵に目を近づけると表面はカサカサしていて、かわいている。近づいた分だけ、しめりけや音が遠ざかる。目を閉じるとそれは甦り、開けると、薄日に照らされたような色の地層がかきまぜられて、かすれたり、おぼろになったりして広がっている。こちらが動くと、絵のなかで見えない何かが動く。とらえがたい、生きものが棲んでいるかのようだ。
 絵屋の空間にそれが放たれて、どうなるか、楽しみだ。 (企画 大倉 宏)

三瓶初美(さんべ はつみ)
東京都生まれ。上野の森美術館大賞展、川の絵画大賞展(加古川)、風の芸術展(枕崎)、熊谷守一大賞展、上海アートフェアに出品。2013・15年ギャラリー島田deux(神戸)で個展。

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PHOTO: 「風を歩く」2015年 アクリル・キャンバス 22.7×16.0cm

小島ガラン日本画展

 3月2日wed―10日thu

vol.486

 小島我乱がこの数年描きためていたという山の絵を一堂に見て、時間を忘れた。まぎれもない山の絵なのだが、勝手が違う。山の絵であって山の絵でないような感覚を左見右見した。
 よく見る山の絵は風景だ。実際に山を遠望近望するときの空間の広がりがある。これらにはそれがなく、代わりに押し入れに入って戸を閉めたときのような、閉塞感と解放感を感じるのだ。どうしたことか。
 まるで襖の裏の闇のスクリーンに浮かびあがった幻覚の山を見るようで、特に影には異様な迫力を感じる。
 小島はこれらをすべて実際にその山まで出かけて描いたというのが、おもしろい。いいぞ、と思って、これらの絵で個展を開かせてもらうことにした。(企画 大倉 宏)

小島ガラン(こじま がらん)
1958年名古屋市生まれ。本名敏裕。中学進学を前に白士会の加藤正音先生に師事。白士会会友、中部清新美術会創立会員。82~83年イタリア留学。95・2001・11・15年名古屋丸栄デパート、96年東京銀座 「風童門」、2000年トミオカホワイト美術館ギャラリー、八海山地ビール館、01・03年北方文化博物館屋根裏ギャラリー、05年新潟市ジョイフル2ギャラリー、08年アートサロン環、新潟県立植物園、08・10年新潟絵屋、14・15年エムスタジオで個展。絵本に 『おとうさんといっしょ』(文・工藤直子/小学館)がある。新潟市在住。

▶みるものとよいところ 会場のようす

PHOTO: 「ユングフラウ ヴェンゲンより」2014年 顔料・紙 64.5×91.0cm