山下誠一 写真展

3/2[土]―10[日]

vol.565

 山下さんの言葉。
〈ヨセミテの風景を見ながら何かが足りないと感じていました。それは「湿度」です。アメリカに居ながら、日本の風景のイメージが湧く浮かびました。湿度を表現する、水をテーマにするとそれは必要不可欠だと思いました。大型の台風が来ると旅行し、大雪が降ったら出掛ける。〉
 妙義山、東尋坊、各地の滝など、山下さんのこれらの「湿度写真」は、浮世絵の名所絵をちょっと思わせるところがある。また暗部に目を近づけると、墨で描いたとしか思えない斑点があったりする。どうして、これが水墨画でないのか。あるいは水墨画家こそ、写真の目を先取りした人々だったのか。絵と写真の境界が湿度に溶け、にじみ、消えていく不思議に、呆然となる。
砂丘館の特別展示(2/1-17)の一部出品作と未展示作品を紹介する。
(企画 大倉 宏)

山下誠一(やました せいいち)
1951年生まれ。81年から業界紙の写真部に在籍し、99年フリーカメラマンとして独立。2005頃年からデジタル写真に興味を持ち、08年「水の呼吸」を「ギャラリーバウハウス」(東京・お茶の水)、11年「Water Breath」を「エプソンイメージングギャラリーエプサイト」(東京・新宿)、19年2月砂丘館(新潟)で開催。

PHOTO(上): 「妙義山」2009年 全てインクジェット 出雲民藝三椏和紙

山下誠一_能登半島

「石川県・能登半島」2008

山下誠一_茨城県_袋田の滝

「茨城県・袋田の滝」2011

山下誠一_群馬県_妙義山

「群馬県・妙義山」2007

山下誠一_山梨県_昇仙峡

「山梨県・昇仙峡」2007


関連イベント

特別展示 山下誠一写真展「水の呼吸」

砂丘館(旧日本銀行新潟支店長役宅)
2/1[金]―17[日] 9:00―21:00(ただし2/13-17は18:00閉館)
休館日:月曜日(祝日の場合翌日)
新潟市中央区西大畑町5218-1 025-222-2676

新潟絵屋とふたつの指定管理施設

新潟絵屋は大正時代の日本家屋を改装し2000年6月にオープンしました。
 それ以外に、2005年から新潟市の古いお屋敷を活用した芸術文化施設「砂丘館」の指定管理者となり、自主事業の企画運営を担当しています。主に芸術や生活文化を紹介し、絵屋では開催できない規模の大きな展示やコンサート、ダンス、朗読、演劇、伝統芸能の上演、講座なども行っています。
 2016年には、新潟県見附市にある旧法務局の2階建て建築物を活用した「ギャラリーみつけ」の指定管理もはじめました。1階は絵屋の展示室と同じくらいの展示室が2つあり、2階フロアは壁面最大約100mの大空間です。複数のスクリーンがあるシネコンのように多様な作品展と出会え、創作体験の機会も盛んに企画しています。
 砂丘館やギャラリーみつけへも、ぜひ足をお運びください。
どちらの施設も、貸室をご利用いただくこともできますので、詳しくはお問い合わせください。
*ともに株式会社新潟ビルサービスとの共同企業体で運営

しんぞう展 「呪いと笑いの日々」
3/14[木]―30[土] 会場:ギャラリーみつけ

絵に会いに 野中光正・藤原祥・森敬子展

2/17[日]―28[木]

vol.568

作家在廊予定日:野中 2/19・20、藤原 2/17、森 2/19

 インターネット時代。絵も画像で見ることが増えた。私自身もそうだ。でも、画像でしか絵に接しないとしたら、絵の〈絵らしさ〉が、画像を通さずに見るときに感じられる魅力が、気付かれなくなってしまう。
 紹介する三人、野中光正、藤原 祥、森敬子の絵は、その三様の世界は、なによりもそういう魅力にこそ、満ちている。画像でも印刷でもなく、絵を、画廊で、じかに見てほしい。今やパソコンでも絵が描ける時代だけれど、紙や布という「支持体」、 手に握られる筆というモノ、そして絵の具という物質が、人の体に、心に、衝突する。彗星が惑星にぶつかるように—その一瞬のすさまじい光輝が、画像でも、印刷物でもない、絵の前に立つと伝わってくるだろう。画廊は、そういう経験に会うために開かれている。(企画 大倉宏)

野中光正(のなか みつまさ)
1949年東京都生まれ。67年に絵画を、73年に木版画を始める。89年新潟県高柳町に移住、紙漉を学ぶ。91年東京に戻り以後、ゆーじん画廊、ギャラリーアビアント、ギャラリー枝香庵、高志の生紙工房ギャラリー、画廊Full Moon、砂丘館、新潟絵屋などで個展。

藤原祥(ふじわら しょう)
1950年島根県松江市生まれ。スペイン古典の内面の劇性表現に強く惹かれる。79年サン・フェルナンド国立美術学校卒業。島根県立博物館、ギャラリーHera(ストックホルム)、NICHE GALLERY(銀座)等で個展、新潟絵屋で2007・08・10・12・17年個展開催。

森敬子(もり けいこ)
1947年兵庫県生まれ。70~99年まで二科展出品。銀座プランタン、池袋三越、並樹画廊、ギャラリー汲美、柏わたくし美術館、ギャラリーテムズ、ギャラリーゴトウ、ギャラリーアビアント、ギャラリーf分の1等で個展、新潟絵屋で07・08・10・12・14年個展開催。

野中光正 「181214」

藤原祥 「異境の花」

森敬子 「夢をみたよ」

野中光正181115

PHOTO(上から):
森 敬子 「ぜんまいをとりに」2017年 水彩/紙 76.0×57.0cm
野中光正 「181214」2018年 顔料・膠/門出和紙 60.8×45.6cm
藤原 祥 「風景について」2017年 ミクストメディア/和紙・木材 75.0×78.0cm
藤原 祥 「異境の花」連作 2018年 14.0×8.8cm
森 敬子 「夢をみたよ」2017年 水彩/紙 76.0×57.0cm
野中光正 「181115」2018年 顔料・膠/門出和紙 60.8×45.6cm


八木なぎさ展

2月2日sat―13日wed

vol.567
作家在廊予定日:2/2・3・9・10

 八木なぎさの世界は両義的だ。近作はことに。開くことと、閉じることが同時に起こる。右手と左手が互いを掴み、押す、あるいは引くように。少なからぬ作品が、合わせ鏡の構造をとっているのも、そのあらわれだろう。合わせ鏡は無限の開放が、無限の閉鎖を意味する。そのような緊張がますます高まり、その静止感は、一層深まってきた。
 唐突だが「平和」とは、しかし、そういうものかも知れないと感じる。平らで和やかな水面、水鳥が憩う世界は、無限と言っていい諸力の相克と、拮抗の上に、静止しているのだ。人の心もまた同じ。橋、流れ、くぼみ、湿地…八木の目は、手は、身体は、はそのようなドラマチックな平和の空間を、光景を、鳥瞰し、掘削していく。(企画 大倉宏)

八木なぎさ(やぎ なぎさ)
1961年横浜市生まれ。個展は94年シロタ画廊(銀座)、97・99年三木ギャラリー(銀座)、2000年木の葉画廊(神田)、08・13・16・18年 NICHE GALLERY(銀座)、12・14年新潟絵屋など。97年トリエンナーレ97’(ポーランド)、04年 「日本の版画展」(グラバド国際美術館/アルゼンチン)、「現代版画 技術と表現」(黒部市美術館/富山)、06年 「ART Shanghai2006」(上海)、07年 「15th International Triennial of Graphic Arts, Sofia」(ブルガリア)、10年 「今日の版画・10」(南魚沼市立今泉博物館/新潟)などに出品。

八木なぎさ展

PHOTO(上から)
作品:「night and day」2018年 リトグラフ/紙 28.0×38.0cm
作品:「marsh(湿地)」2018年 リトグラフ/紙 43.0×56.0cm
作品:「Bridges」 2018年 リトグラフ/紙 15.3×111.0cm

→前回の個展


関連イベント

2/11(祝・月) リトグラフのワークショップ

講座「アルミ版を使ったリトグラフを作ろう」

●会場:新潟市美術館・実習室(新潟市中央区西大畑町5191-9)
●講師:八木なぎさ(画家・版画家・女子美術大学短期大学部教授)
●定員:20名 
●ご用意いただくもの:下絵、筆記用具 *汚れてもよい服装でご参加ください
●参加方法:事前申込制・材料費3千円を事前に新潟絵屋にてお支払いください。
●主催者・お申込先:認定NPO法人新潟絵屋
TEL. 025-222-6888
info@niigata-eya.jp

講座 「アルミ版を使ったリトグラフを作ろう」

今回は一版単色刷りです

「木版画」や「銅版画」という言葉から版に用いる材料が「木」や「銅」であることを連想できるように、石版画は18世紀末に誕生した「石」を版材に使う印刷技法です。
 石版画の技法を発明、開発したゼネフェルダーは自身の戯曲を印刷するため、化学の知識を駆使して生涯を石版術に捧げました。現在リトグラフの技法として使われているほとんどのアイディアは、ゼネフェルダーの時代に彼が考え出したものであり、彼がその発明を特許を取り世界に広げたために、印刷の技法も発展し現在に至ります。
 今回は、アルミ版を使ったリトグラフの制作を通して、描くことがそのまま版画になる不思議な興奮と喜びを感じていただけたら・・と思います。 (レジュメより)

作業工程

1. 絵を描く(あらかじめ15×21cm以内の下絵をご用意ください)
2. 版に下絵を写す
3. 版に描画する リトグラフ用の画材(ダーマトグラフ、ボールペン、解墨など)を使って版に描画し、アラビヤゴムを塗ります
4. 専用の材料で画材を溶かす
5. 専用の材料を塗る
6. 版を水洗いしながらインクをつける。アラビヤゴムが水に溶けて、描画した絵がうっすら浮き上がってきます
7. 紙をのせて刷る
8. 完成(写真)

上原木呂展

1/17[木]―30[水]

◎1/26[土]14:00―パフォーマンス開催急遽決定!

niigata eya exhibition 566

エチゴビールをはじめた頃の上原木呂さんは、とてもスマートな、颯爽とした感じがあった。もっとも、そう感じたのはこちらの方で、木呂さん自身の中には、もっと土俗的で、すさぶる力が、当時からうごめいていたのだろう。社会的な役割を離れ、表現行為に没頭するようになった上原木呂が、近年生み出し続けるものは、チミー(魑魅)一族にせよ、rabbi一族にせよ、南無観世音にせよ、こんにゃく絵画や畳フロッタージュにせよ、やぶれかぶれの剛力ともいうべきものが炸裂する感がある。旧巻町に残る「のぞきからくり」のあるべき保存の形を語る熱い言葉を聞いたとき、その淵源は、きっとこの人の幼少年期にあるのではないかと思った。西洋のシュルレアリスムに触れ、新たな青年期の火を得、実業の世界を抜けて、いま人生のすべての時期が、ひとつに溶け、炎上している。 (企画・大倉宏)

上原木呂(うえはら きろ)
1948年巻町(現・新潟市西蒲区)生まれ。美術家、パフォーマー。69年東京芸大を中退。美学校博物細密画工房で立石鐵臣に師事。瀧口修造と知り合い強い影響を受ける。限定小冊子の制作、野外のハプニング等の活動の後、イタリアに渡り古典道化演技を学び、俳優、演出家として20ヶ国、300公演に関わる。88年帰国。作品制作は多産で多彩な展開。大きく分類して「水墨抽象」「色彩抽象」「キャンディ・ポップ」「シュルレアリスム」がある。https://uehara-kiro.jimdo.com

上原木呂

PHOTO(上): 「時の化石」
PHOTO(下): 「無題」「日課仏」「チミー一族」


関連イベント

上原木呂パフォーマンス
「音なひ」
紙による音と造形

26[土]14:00-

無料/予約不要 
パフォーマンス中も展示作品は見ていただけます。
◆会場:新潟絵屋展示室

七里知子 メゾチント作品展 @北書店画廊

12/3[月]-26[水]
会場:北書店画廊

 新潟絵屋での「七里知子 個展 -Reverberation-」(12/2~12)と同時期に、別会場で別技法による、七里さんのもうひとつの世界をご覧いただけます。数年前にも北書店でご紹介して、七里さんの銅版画が北書店の雰囲気とも合っていたのが印象的でした。油彩と版画、絵屋と北書店でぜひおたのしみください。

新潟絵屋での展示「七里知子 個展 -Reverberation-」と同時開催

PHOTO:「薬子の戯れ」 メゾチント/雁皮刷り 30×30cm


会場情報

北書店画廊

新潟市中央区医学町通2-10-1 ダイヤパレス医学町101月~金 10:00-20:00・土日祝12:00- 会期中の休み:12/16(日)

蓮池もも展<前期>

〈前期〉12/14[金]―24[振休・月]
〈後期〉2019 1/5[土]―14[祝・月]

niigata eya exhibition 565

 今年集中的に制作された蓮池もものマトリョーシカの連作と、それに並行し、また先立って制作された絵を展示する。
テーマは母子。近年の作同様に、画家の実人生が映る作品群だ。「母子」はひとつの幸福の形だが、物語における母子には、別れ、相克、離反などさまざまなドラマが描かれてきた。絵は、実人生の、現在の実感と、過去と未来の物語的時間軸の彼方に浮かぶ、波浪やうねりをも遠く響かせている。
 そのドラマの波を、シンプルな形式にたたみこんだようなマトリョーシカは、素朴で、愛らしい外観のうちに、昔話のような深みを、感じさせている。蓮池もものマトリョーシカ。新潟絵屋がいろいろな画家に依頼してきたシリーズの延長とはいえ、これもひとつの、思いがけないドラマだ。
 年末と新年にかけての展示の、半ばで、作品の入れ替えを行う予定です。ぜひ二度、ご来廊下さい。(企画・大倉宏)

蓮池もも(はすいけ もも)
1983年新潟市生まれ。2006年fullmoon upstairs、07・08・09・10・11年画廊Full Moon、12年砂丘館で個展。新潟絵屋では10・12~17年毎年個展、15・16年ギャラリー島田にて個展開催。12~14年『絵屋便』表紙絵を連載する。加茂の白茅俳句会が季刊発行する『白茅』で「森の奥 湖の底」(画とエッセイ)を連載中。十日町市在住。

これまでの個展
2017年
2016年
2015年
2012年砂丘館

蓮池もも

蓮池もも

PHOTO(上): 「マトリョーシカ」2018年 アクリルガッシュ/木 高さ(最大)10.8(中間)8.6(最小)5.6cm

蓮池もも

PHOTO: 2018年 アクリルガッシュ/シナベニヤパネル 24.1×41.0cm


後期につづく

蓮池もも展〈後期〉

2019 1/5[土]-14[祝・月] ※作品が入れ替わります