水野朝展

11/30[水]―12/13[火]

niigata eya exhibition 641

アクリル絵の具を使う時は
パジャマにかぎる

水野朝の最新詩集『空間』の詩の一節。

 この詩集の詩には、いわゆる詩的表現(隠喩とか暗喩とか)はまるでないが、なぜだろう、はっとさせられる率直なコトバが、春先のたけのこのようにニョキニョキつき出ている。その〈とがり〉に刺される感触が、なぜか心地いい。詩集に挿入されている色鉛筆の絵の色、線が感じさせる心地と同じだ。
 長年親しくしている名古屋画廊にご紹介いただいた画家・詩人の、新潟絵屋での初個展。(企画者:大倉宏)

水野 朝(みずの あさ)
1945年名古屋市生まれ。59年中村正義に師事。個展は、 68~73年日本画廊(東京)、81年マエダ画廊(名古屋)、82年「水野朝-素朴で原始的なフォーブの華」羽黒洞(東京)、96年「水野朝-ヒマラヤを画く-」ギャラリーHAM(名古屋)、05年「水野朝-描き続けるということ-」羽黒洞、17・21年名古屋画廊。75~79年東京展(東京都美術館)、17年「没後40年記念中村正義をめぐる画家たち」(名古屋市美術館)出品。詩集に『露を踏んでいく足元』(97年/花神社)、『空間』(21年/広瀬企画)など、自選作品集に『これがわたくし・朝』(13年)がある。
※詩集『空間』をお取り扱いいたします。


PHOTO: 1970年 油彩/キャンバス 53×45.5cm


PHOTO: 「2つの顔」1973年 岩絵の具/麻紙ボード 33.3×24.2cm


PHOTO:「仏様」1973年 油彩/キャンバス 53×45.5cm


PHOTO:「くり」1970年 岩絵の具/和紙パネル 38×45.5cm


鳥 雪 華雪展

11/15[火]―28[月]

niigata eya exhibition 640

作家在廊日:11/15〜23、26
篆刻受注会 11/30まで受付中!

 新潟絵屋での初個展のとき、京都生まれの華雪は「空が落ちてくる」という安吾の言葉を新潟で実感したと語った。それから18年、私たちは本当に印象的な展示の数々を見た。その奇跡を思い、落ちてくる空は華雪自身だったのかもしれないと感じる。空は、落ちながら、鳥になり、雪になった。
 鳥と雪にともにある四つの点。鳥のそれは足、雪のそれは雨粒だ。雨粒の脚を羽毛に匿して鳥はやってきた。かがやくその水の玉を雪に変えて、あるいは鳥自身がぬれた雪となって、私たちの土地に落ちてきた。候鳥のように飛来するこの人が置いていった、かたちと姿をもつ、ことばの数々もまた、そんな雪であり、鳥だったような気がする。
 晩秋の空からまた雪が、鳥が落ちてくる。(文:大倉宏/企画者:大倉宏・井上美雪)

華雪(かせつ)
1975年京都府生まれ。立命館大学文学部哲学科心理学専攻卒業。幼い頃に漢文学者・白川静の漢字字典に触れたことで漢字のなりたちや意味に興味を持ち、文字の成り立ちを綿密にリサーチし、現代の事象との交錯を漢字一文字として表現する作品づくりに取り組むほか、〈文字を使った表現の可能性を探る〉ことを主題に、国内外でワークショップを開催。最近の展覧会に「MIND TRAIL 奥大和 心のなかの美術館」(奈良)、「とある美術館の夏休み」(千葉市美術館)、「Flower of Life生命の花」(ヴァンジ彫刻庭園美術館)。刊行物に『ATO 跡』(between the books)、『書の棲処』(赤々舎)などがあり、『コレクション 戦争×文学』(集英社)伊集院静『羊の目』(文藝春秋)、円城塔『文字渦』(新潮社)をはじめ書籍の題字なども多く手掛ける。 instagram kasetsu_sho

PHOTO(上): 「雪」 約27×約8.5cm(写真は部分)


PHOTO: 「白い鳥 01」 2022年 27.2×24.2cm


PHOTO: 「白い鳥 03」 2022年 27.2×24.2cm


PHOTO: 「白い鳥 04」 2022年 27.2×24.2cm


PHOTO:「鳥影」 2022年 約80×約100cm


〈同時開催〉篆刻受注会


会期中に、オリジナル篆刻のオーダーを承ります。篆刻は、お手紙に添えたり、蔵書などお気に入りのものに捺したり、印鑑としてもお使いいただけます。お申し込みの際に、ご依頼くださる方の手書きの字を見せていただくことで、その字に似合う雰囲気のデザインを華雪さんに考えていただきます。下絵は数点提案し、そこからご相談を重ね、最終的なデザインを決定し、印材に刻みます。仕上がりまではやりとりの回数により、1ヶ月から2ヶ月ほどお時間をいただきます。

  • 料金:1cm四方・1文字~ 33,000円~(税込・桐箱付)
  • 「依頼書」を新潟絵屋またはホームページでダウンロードしていただき、お名前やご連絡先、刻む文字を直筆でご記入ください。
  • デザインについては、〈朱文・白文〉や〈枠有り・枠無し〉、石のかたち、サイズを選択します。そのほか、刻む文字にまつわる由来や思い入れなどのエピソードも自由にご記入ください。
  • 「依頼書」は新潟絵屋店頭でスタッフに直接お渡しいただくか、郵送も歓迎です。
  • 受付期間:2022.11.15〜30
  • ご予約制で見本や価格表をご案内いたします。

お問合せ(担当:井上美雪)
info@niigata-eya.jp
tel. 025-222-6888

依頼書ダウンロード


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〈兎〉篆刻

華雪

2023年は兎年。ご自身も兎年の華雪さんから、1点もののうさぎの印をいくつか彫っていただきます。限定数につき、店頭のみでのお取り扱いです。
写真の篆刻 
税込 35,200円 (桐箱付/2.5×1.8cm)

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万年カレンダー 日暦

新潟のブナ材「スノービーチ」スタンドに、月と日のカードをのせて使う日めくりカレンダー「日暦」。めくるごとに表情が変化する書と篆刻が一日を新鮮に彩ります。ギフトにもおすすめです。
書・篆刻:華雪
設置時サイズ:14.8×10.0×15.3cm
日カード(書31日)+月カード(篆刻12ヶ月)
新潟産ブナ材台座+アクリル背板
ギフトBOX入り
企画・制作・デザイン:dododo
発売:
株式会社博進堂
税込 3,960

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関連イベント

zoomによる

「鳥 雪 新潟 華雪展ギャラリートーク」

11/21[月]19:00―20:30終了しました

4年ぶりの個展を新潟絵屋で開催中の書家・華雪さんに今回の展示について、そして、新潟についてお話を伺います。 
お話:華雪/聞き手:井上美雪・大倉宏・上田浩子 (新潟絵屋運営委員)
申し込み不要/参加無料

参考資料
華雪さんと新潟のこれまで
索引集

<2004>
03月22日-30日 新潟絵屋「雲と仮面と、雨粒の鳥」

<2007>
07月12日-20日 新潟絵屋「上」
砂丘館同時開催「足もとのこと」

<2008>
11月12日-20日 新潟絵屋「刺心」

<2009>
05月 二宮家米蔵「刺心」
堀川久子踊ル
同年秋に再び公開 
06月02日-10日「刺心の跡」
北光社に巡回

<2010>
05月22日~06月20日
二宮家米蔵「劇」

堀川久子踊ル

11月3日-7日 エフスタイル「日」

<2011>
02月01日-03月21日
砂丘館 「まちなかの文学を歩く」関連展示
坂口綱男・華雪 安吾の「私」を歩く

02月18日-03月21日 砂丘館「華雪 点 栗田宏」
niigataeya.exblog.jp

03月02日-10日 新潟絵屋「十二」
niigataeya.exblog.jp
niigataeya.exblog.jp つづき

07月01日-30日 北書店
niigataeya.exblog.jp

<2012>
07月22日-30日新潟絵屋 華雪・中島佳秀二人展
niigataeya.exblog.jp

水と土の芸術祭「日/記」出品、ワークショップ(北方文化博物館新潟分館)、パフォーマンス「動・物」(かもめシアター)

<2013>
10月23日-11月06日 室礼-シツライ-「人とひと」展示とライブパフォーマンス、ワークショップ

08月06日-08日 新潟絵屋「華雪と絵屋の3日間」
ワークショップ「動・物を書く」、公開制作、堀川久子踊ル

<2014>
06月02日-10日 新潟絵屋「家を巡る」
niigataeya.exblog.jp
niigataeya.exblog.jp つづき
niigataeya.exblog.jp 続つづき

06月 ワークショップ「木」を書いて「森」をつくる(こども創造センター)

<2015>
10月02日-10日 新潟絵屋「由」
堀川久子踊ル
niigataeya.exblog.jp
niigataeya.exblog.jp

<2016>
10月02日-10日 新潟絵屋「生活」
niigataeya.exblog.jp

10月06日- 10日 二宮家米蔵「鳥」
niigataeya.exblog.jp
niigataeya.exblog.jp

砂丘館 坂口安吾生誕110 華雪展「ある女―坂口安吾『白痴』より」

<2017>
07月 新潟市美術館「北大路魯山人―美・食の巨人」関連イベント 書のワークショップ

09月12日-20日 新潟絵屋「顔」
niigataeya.exblog.jp
絵のある空間 TOLEDO 
万年カレンダー日暦 発売

<2018>
09月01日-11日 新潟絵屋「文学」
北書店巡回
ツバメコーヒー 公開制作と「場について」トークイベント

<2019>
07月02日-15日 新潟絵屋「合同船」竹俣勇壱(金工)・華雪(書)
砂丘館同時開催、お茶会

華雪による書と篆刻の講座『字がうまれたとき・書がうまれたとき』全6回

10月 
ワークショップ「木」を書いて「森」をつくる こどもプロジェクト2019(こども創造センター)


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過去の個展 
2004年
2007年
2008年
2009年
2011年
2014年
2015年
2016年
2017年
2018年
ワークショップ「木」を書いて「森」をつくる
華雪による書と篆刻の講座『字がうまれたとき・書がうまれたとき』第3期
華雪による書と篆刻の講座『字がうまれたとき・書がうまれたとき』最終回
華雪の篆刻受注会

安藤喜治写真展 「Stand Still #3 In my eyes」

11/5[土]―13[日]
Open eya exhibition

どこか遠くへ行くでもなく、安藤さんの目は、普通の毎日に劇的瞬間をみつける。
写真は、生活圏内で見つけたもの。毎日撮るけれど、撮りたいものはなくならない。今年の収穫をおたのしみに。


PHOTO:安藤喜治ブログ「Yoshi-Aの写真の楽しみ」 yoshipass.exblog.jp


関連記事
▶ ブログ「Yoshi-Aの写真の楽しみ」yoshipass.exblog.jp

▶ 安藤喜治写真展 「Stand Still #2 季節」
▶ 安藤喜治写真展 「Stand Still」
▶ 前々回個展会期中の作家のブログ

末松 由華利展ー砂の縁を歩くー

10/18[火]―31[月]

作家在廊日:10/30終日・10/31(-17:00)
niigata eya exhibition 639

 末松由華利の目は風景の構造をとらえるふしぎな触覚を持っている。
 新潟の、くもりがちな空、強風にさらされる松林、夕日を溶かしてひかる海。図様のようにも、抽象画のようにも見える横長の絵の前で、一挙に体験されるわけでは必ずしもないそれらが、清冽な色光に照らされた一体の構造体のように、具体的な感覚までともなってあらわれていた。昨年のゆいぽーとでの展示での記憶だ。
 その感覚はけれど、あわせて展示された自然の、場所のディテールのスケッチ風の色絵の数々が示すような小さい体験の積み重ねから析出されてきたのだろう。末松のどの抽象画にも、そんな現実や風景とのこまやかな交流の時間の厚みが基層にあるに違いない。だからシンプルなのに、風景のようにゆらぐ深い奥行きがある。(企画者:大倉宏)

末松由華利(すえまつ ゆかり)
埼玉県生まれ、大阪府育ち。2010年多摩美術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。近年の個展は、17年長野市芸術村「輪の中で考えたこと」(長野)、19年東京オペラシティアートギャラリー「projectN 76 末松由華利」、20年KURUM’ART contemporary「満ち欠けのあらまし」(東京)、21年ゆいぽーと「空と海を砂で分く」(新潟)、日本橋髙島屋「設える時」(東京)、22年日本橋三越本店「Visions of a Torn World」など。17年9-11月長野、2021年1-2月新潟、22年3月フィンランドにて滞在制作を行い発表。https://yukarisuematsu.wixsite.com/mysite

PHOTO(上):「雪ぐ03」2020年 アクリル・キャンバス 15.8×22.7cm

末松由華利展
PHOTO:「砂のかたち」2022年 アクリル/キャンバス 41.0×31.8cm

末松由華利展
PHOTO:「空と海を砂で分くのためのドローイング01」2021年 アクリル/紙 18.4×26.0cm


イは 佐佐木實展

10/4[火]―16[日]

作家在廊日:10/4.15.16 *10/15は13:30〜
niigata eya exhibition 638

  今回のテーマは、5、7年前の前回、前々回と同じ「イ」。
 夕陽の大手町で往来の人やビルが「イ」に見えたというステイトメント(言明)を読んで、それが強烈な、あるいはささいな体験だったかはともかく、ひどくなまなましい感覚だったのだろうと想像した。そのなまなましさが、今回のどの出品作にもある。
 新内、義太夫など日本の語り物では語尾の母音が揺らされて、イ~エ~とどこまでも伸ばされて続く。物語の意味がそこで断ち切れ、言葉のひだに隠された意味にも言葉にならない感覚が湧出して聴き手を揺らすのだが、延々書かれ、描かれてきた佐佐木の「イ」が感じさせるのは、そんな感覚に似ている。
 よろこびと苦痛を表裏に生きている、無数の個々の生の断面が、イ刀に伐られ、イに流れ、込み、出ている。(文:大倉宏/企画者:大倉宏・井上美雪)

佐佐木實(ささき みのる)
美術家。盛岡市生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程藝術学専攻修了(美学)。フランス国立社会科学高等研究院博士課程言語学専攻修了。博士(言語学)。二十代半ばに渡欧。パリでは言語学を学び、制作と学問の双方から言葉/文字を記す行為に向かいあった。 2006年帰国。11年岩手県美術選奨受賞。個展は11年盛久ギャラリー(盛岡)、 12年Cyg art gallery「書書葉葉」(盛岡)、13年OGU MAG「型ハメ 型モレ」(東京)、14年Gallery 彩園子「ヒ象る」(盛岡)、17年Cyg art gallery「イは人の象徴であるかもしれない」、21年G&S根雨「たましいのいろか」(大阪)など。新潟では11年に砂丘館、新潟絵屋、北書店画廊で個展、14・15・17年新潟絵屋で個展。
https://www.minorusasaki.com

PHOTO(上):「イイ」2021年 紙にパステル、インク 18.6×57.1×2.6cm

イは 佐佐木實展

PHOTO(上):「イ」2022年 紙に鉛筆、色鉛筆、木炭、パステル、インク、シール、磁石 20×19×3.2cm

イは 佐佐木實展
佐佐木實

「イ」2022年 布に色鉛筆、グワッシュ、紙、磁石 21.6×15.6×2.7cm

佐佐木實

PHOTO(上):「イ」2022年 紙に鉛筆、色鉛筆、木炭、パステル、インク、粘土、磁石 23.5×27.5×4.7cm

PHOTO(上):「イイ イイ イイ」2021年 紙に鉛筆、木炭、パステル、インク 60.8×18.8cm

(撮影:宮島径)

▶ 2017年 佐佐木 實 展 イ充つ㊁
▶ 2015年 佐佐木 實 展「イ充つ」


SHOP

佐佐木實 関連書籍

会期中、店頭ではサンプルをご覧いただけます。

佐佐木實 関連書籍
『イ充つ』
2015年以降継続している「イ充つ」のシリーズから14点の「イ」の図版+αを収録。
これもまた、本の形をした佐佐木實の作品です。
18.2×16.2cm/20ページ著者:佐佐木實/2021年発行
税込 1,500円

佐佐木實 関連書籍
『書書葉葉』
2012年10月、盛岡での個展の公式カタログ。「故郷を探して」「言葉」「生野菜」「ううううう…」など2011~12年に制作された22点の作品と1997年の大作1点を収録。
21.0×12.7cm/24ページ
企画・発行:Cyg art gallery/2012年発行
税込 1,200円

ワークショップ「墨絵をえがこう ―墨と水と?―」

講師:古田木綿子

9/11[日]13:30-15:00

古田木綿子さんは、自然との関わりを大切に、独自の技法で自然現象をキャッチして表現に変える作風です。今回は、「アワの現象」を取り入れ、刻々と変化する絵を観察し、墨絵を描くワークショップです。

新潟市こども創造センター・光と音のホール(新潟市中央区清五郎375-2)
■ 対象:5歳以上18歳以下の子(小学2年生以下は保護者同伴)
■ 参加料:1,000円/定員:各回15名(要申込)
■ 汚れてもよい服装で
■ 完成した絵は当日お持ち帰り
■ 参加お申し込み受付中
■ 申込先:新潟市こども創造センター TEL.025-281-3715(9:00~17:00)
※汚れてもよい服装で
※完成した絵は当日お持ち帰り

企画:新潟絵屋

「墨絵をえがこう  ―墨と水と?―」

古田木綿子(こだ ゆうこ)
1971年秋田県湯沢市生まれ。97年新潟大学教育学部美術科彫塑専攻中退。96年アートギャラリーJOY-1、2022年ARTギャラリーHAFUで個展。海や川でアートワークス遊びをしたことが作品制作の土台。ジャンベや歌唱など主に即興での音楽の活動も行う。 YouTube「Koda Yuko」チャンネル

古田木綿子


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古田木綿子・山口達己展

6/30[木]―7/13[水]

「自然」に魅せられた二人の新潟のアーティスト。彼らがその自然(水、雨、雪、風など)とともに制作した作品群を紹介する。

古田木綿子 いつくしみ
PHOTO: 古田木綿子「いつくしみ」2022年 顔料・樹脂/フォト光沢紙 12.7×17.8cm

古田木綿子 しばし、しばし
PHOTO: 古田木綿子「しばし、しばし」2022年 顔料・樹脂/わら半紙 25.7×36.4cm 

カテゴリー: art