華雪展 「生活」

10月2日sun―10日mon/holiday
vol. 506
作家在廊予定日: 10/2 ※10/9・10は二宮家米蔵に在廊予定

 日本人ということを、最近考える。日本とは、日本人とは何か、という問いではなく、逆にこの問いが仕掛けるしばりに、どうヒトが、抗えうるかということを。
 漢字は中国から伝わり、日本人のものになったと教えられる。この秋、新潟市の3カ所で展示をする華雪は、「鳥」(二宮家)と「豚」(砂丘館、安吾生誕110年祭展示)の字を選び、新潟絵屋では直前の山形での展示で書いた「女」にするか、どうか、迷っていると聞いた。中国と日本というクニをつらぬいてやって来たものと、ここ、2010年代の日本で向き合い、漢字を、字を、書くことが、ヒトとして立つこと、立ちうることである可能性を考えている。
 その書に惹かれて始まった12年の縁。いま、私はそのような意志の姿としての華雪の書に共感している。(企画 大倉 宏)

華 雪(かせつ)
1975年京都府生まれ。書家。92年より個展を中心にした活動を続ける。〈文字を使った表現の可能性を探る〉ことを主題に、国内外でワークショップを開催。舞踏家や華道家など、他分野の作家との共同制作も多数。刊行物に『石の遊び』(2003年平凡社)、『書の棲処』(06年赤々舎)、『ATO 跡』(09年between the books)ほか。『コレクション 戦争×文学』(集英社)、『木の戦い』(エクリ)をはじめ書籍の題字なども手がけている。「水と土の芸術祭2012」(新潟市)、「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2016」に参加。新潟では新潟絵屋、砂丘館、二宮家米蔵、エフスタイル、室礼などで展示を行ってきた。http://www.kasetsu.info

▶みるものとよいところ 会場のようす

PHOTO: 「土」2016年 墨/和紙 50.0×80.0cm

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

華雪展 「鳥」

■ 同時期開催 展覧会情報

10/6 thu ~10 mon/holiday
華雪書展 「鳥」
会場: 二宮家住宅 一号米蔵
(新潟県北蒲原郡聖籠町蓮野1087・県道204号線沿)
主催・イベント申込・お問合せ: 認定NPO法人新潟絵屋

10/6 thu ~10 mon/holiday
坂口安吾生誕110関連イベント 華雪展
「ある女―坂口安吾『白痴』より」
会場: 砂丘館 (旧日本銀行新潟支店長役宅)の一室
主催: 坂口安吾生誕祭実行委員会、砂丘館

華雪書展「鳥」

%e8%8f%af%e9%9b%aa%e9%b3%a5

10月6日thu―10日mon

ところ 
二宮家住宅 一号米蔵
新潟県北蒲原郡聖籠町蓮野1087・県道204号線沿

じかん
10/6・7 13:00〜20:00
10/8・9 10:00〜20:00
10/10  10:00〜18:00
10/10 ★18:30〜堀川久子踊ル

 豪農の館の米蔵内部の大空間に、書家・華雪(かせつ)の書「鳥」を展示する。会場となる米蔵のある二宮家の日本庭園に接し、かつてはその一部であった湖「弁天潟」は、白鳥の飛来地でもある。華雪は、この地でどんな「鳥」を書こうというのか―
 東日本大震災の日、華雪は東京で姿の見えないたくさんの鳥たちの声を聞いた。今も忘れられない、その「たくさんの鳥の声」。今回は、その声を、鳥を、かたちにすることを試みる。震災の記憶から発する書の「鳥」は、潟を訪れる渡り鳥、日々の生活で目にする鳥、「見る人」一人ひとりの異なる思いを喚起し、それぞれの鳥をめぐる記憶と結びついていくだろう。新潟の蒲原平野の過ぎ去った時を蔵する米蔵で、書を見つめ、鳥を、鳥の声を、歴史を、それぞれの何かと出会う場としたい。
 会期最終日の夜、これまでもこの米蔵で人々の記憶に残るパフォーマンスを行ってきた、新潟市在住のダンサー・堀川久子の公演を、書が展示された空間で開催する。
(大倉宏)

華雪(かせつ)

1975年京都府生まれ。新潟では2004年以来、ほぼ毎年展示を行い、近年を抜粋すると、10年「日」(エフスタイル)、13年「人とひと」(室礼/岩室温泉)、「動/物」(新潟絵屋)、14年「家を巡る」(新潟絵屋)、15年「由」などつながりが深い。刊行物に『石の遊び』(平凡社)、『書の棲処』(赤々舎)、『ATO 跡』(between the books)など。『コレクション 戦争×文学』(集英社)、『石原慎太郎の文学』(文藝春秋)、『木の戦い』 (詩:タリエシン/エクリ)をはじめ書籍の題字も多数手がける。「ただようまなびや 文学の学校」、〈字を書く〉ことを軸としたワークショップを各地で行い、華道家・舞踏家・詩人らとのコラボレーションも多い。水と土の芸術祭2012出品。みちのおくの芸術祭山形ビエンナーレ2016出品。東京都在住。http://www.kasetsu.info

華雪展 「鳥」

photo:「鳥」

照明:伊藤裕一
主催・イベント申込・お問合せ:認定NPO法人新潟絵屋

会場のようす
ブログ「みるものとよいところ」より
1
2

■同時期開催情報

・本展にリンクした内容で、別会場でも展覧会があります

10/2(日)~10(月・祝)華雪展「生活」
ところ 新潟絵屋
新潟市中央区上大川前通10-1864
025-222-6888

・そのほか

坂口安吾生誕110関連イベントで華雪作品をご覧いただけます
10/6(木)~10(月)華雪展「ある女―坂口安吾『白痴』より」
ところ 砂丘館(旧日本銀行新潟支店長役宅)の一室
新潟市中央区西大畑町5218-1 
025-222-2676

  


■関連イベント 

10/10(月・祝)18時30分~ 堀川久子踊ル

 
参加費1,000円 要申込 
info@niigata-eya.jp

堀川久子(ほりかわ ひさこ)
1955年新潟市生まれ。美学校・小杉武久音楽教場で即興音楽について学ぶ。即興する身体を求めて、78年舞踊家田中泯のワークショップを受けて以来、98年までその全活動を共に行う。98年より新潟市を拠点に、独舞、ワークショップなど、新潟とヨーロッパを往復しながら場所に生きる踊りを模索。地域の芸能、特に古い盆踊りを踊り訪ね紹介する仕事にも力を注ぐ。オペラ作品への出演、音楽家、美術家などとの協働作業も多い。2016年オスロでT・ホンジンガー構成の即興音楽劇『Proud Cloud』に参加、新潟では8月に独舞『風と熊と昨日』を踊った。華雪との共演は、二宮家米蔵、新潟絵屋、砂丘館、水と土の芸術祭2012(写真)などで行ってきた。

%e5%a0%80%e5%b7%9d%e4%b9%85%e5%ad%90%e3%81%8b%e3%82%82%e3%82%81%e3%82%b7%e3%82%a2%e3%82%bf%e3%83%bc

寄付がつくる展覧会
本展開催にあたり、個人や団体からのご協賛(寄付)を募集中。

個人 一口 3,000円~
法人 一口10,000円~

ご協賛の受付…
1.新潟絵屋にて 
2.本展会期中に二宮家米蔵にて 
3.専用払込票 新潟絵屋および二宮家米蔵でご用意しております

新潟絵屋は2015年12月9日より認定NPO法人に認定されました。認定NPO法人への寄付は税制優遇が受けられます。
認定NPO法人とは?
 NPO法人のなかで、特に公益性の高い活動を行っているとみなされる法人に寄付を行う個人、法人に税制上の優遇を行い、寄付行為をうながすために作られた制度です。
■実質的なNPO(利益を本来の活動費に充てていく団体)として画廊活動を始めた新潟絵屋ですが、作品販売が経営の大きな基盤となっているかぎり、販売見込みにより、企画展活動が制限されるという現実に直面するなかで、販売行為により美術が生活につながっていくという重要性を一方で認識しつつ、より多様な表現を紹介していく場でありたいとの思いから、「認定NPO法人」となるべく努力を続けてきました。
 今回の華雪書展は、この認定NPO法人に認定されたことを記念し、展示にご支援をいただくことで、みなさまに税制優遇を体験・実感していただく機会にしたい考えております。
 
 個人から、認定NPO法人への寄付に対しては、つぎの減税措置があります。
 (寄付金−2,000円)×0.4=減税額  ※税額控除の場合
 たとえば、寄付会員としてすでに3,000円の寄付をして下さっている方は、本展支援のためにさらにもう一口3,000円寄付をしていただくと、確定申告により
 (3,000円+3,000円−2,000円)×0.4=1,600円
の還付が受けられます。税制優遇により、実際の寄付額(=寄付額−還付額)以上の寄付を行うことができます。
 
 歴史を刻んだ二宮家米蔵での華雪の書展は、この数年、私たちが作家とともに温めてきた企画でもあります。ご支援をお願いするとともに、ぜひ会場を訪れ、鑑賞をおたのしみいただければ幸いです。なお、寄付金総額が本展の必要経費を上回った場合、剰余金は他の企画展等の経費に活用させていただきます。どうぞよろしくお願い致します。
 2016.9.15 認定npo法人新潟絵屋代表 大倉宏

▶フライヤー
2016kasetsu%e9%b3%a5

2016kasetsu%e9%b3%a52

カテゴリー: art

麻績 勝広 展

9月22日thu,holiday―30日fri

vol.505

 糸魚川市の姫川流域は表情豊かな石に恵まれているという。特にいろいろな縞模様が見られるところに特徴があるそうだ。お母さんをはじめ身内に糸魚川市特産の翡翠やメノウや観賞用の石を商ったり蒐集する人がいて麻績さんは幼いときから石に囲まれて育った。長じて絵の対象に迷ったとき、「そうだ、姫川の石があるじゃないか」と再発見して20年余りになる。
 なぜ石なのかと問われることも多い。そういうときはこれ以上に身近なものはないですからと、答えることにしている。絵解きは観る人それぞれに任せればよいということらしい。今では石は母のようなものと言う麻績さんは迫らず、滋味深く、柔らかな眼差しで石たちをみる。だからか、描かれた石はあまり堅そうにも重そうにも見えない。マットな絵肌で存在感、質感を超えて表現される。何も描かれない余白のような背景に姫川育ちの石たちだけが思い思いに座を占める。
 絵屋で石を鑑賞する「水石」を楽しみ、薀蓄を傾けて欲しい。(小見 秀男)

麻績勝広(おみ かつひろ)
1962年新潟県糸魚川市生まれ。86年新潟大学教育学部美術科卒業。88年新潟大学大学院教育学研究科美術教育 西洋画修了。2003~08年「にいがた写実集団」展出品。07年第84回春陽展奨励賞。同年第9回フィレンツェ賞展(雪梁舎美術館/新潟市)大賞受賞、それにより08年イタリアで2ヶ月間の絵画研修。08年第85回春陽展春陽会賞。09年「記憶のかたち」展(県立万代島美術館)。10年第87回春陽展奨励賞受賞、春陽会会員に。長岡市在住。

▶みるものとよいところ 会場のようす

photo:「石(ジャクレ)」2016年 油彩/キャンバス 37.9×45.5cm

カルベ アキシロ 展

9月12日mon―20日tue

vol.504

 今回の作品は我が家から周囲4kmの身近な自然の風景をモチーフに田んぼ・大峰山からの下りてくる川・山々・木々と四季折々の風景から生命を感じ、それらを絵にしました。
 これまで気がつかなかった身の回りの風景が、毎日周囲を歩くことで気がつきはじめた、自然の普遍的な構造や法則性について自分なりの発見があり、それを表面的な物ではなく本質を抽出するような絵を描いてみたいと挑戦しています。(カルベ アキシロ)

カルベ アキシロ(軽部 明代)
1952年東京都生まれ。昭和49年仕事の関係で新潟県胎内市(旧中条町)に赴任。いろいろな思いを自分なりに表現したくなり、52才の時に会社勤めの傍ら絵を描きはじめる。その後、新発田美術会に入会。現在は会社を定年退職し、新しい出会いや、先輩、仲間たちとの交流の中で刺激を受け日々絵の制作に励んでいます。新発田市在住。2013年9月新発田市市民ギャラリーにて初個展。15年9月自由美術初入選。

▶みるものとよいところ 会場のようす

photo:「胎動」2016年 油彩/麻布 パネル 41.0×31.8cm


新潟絵屋では、空間のレンタルを行っていません。いくらで借りれますか? と、実はよく聞かれます。準企画展は、新潟絵屋で作品を発表したいという意欲ある作家を応援するための個展方式です。こちらも空間の貸し出しということではなく個展を一緒に作って行くものです。ご興味がある方は新潟絵屋までお問い合わせ下さい。 担当:井上美雪

中島 世津子 展

9月2日fri―10日sat

vol.503

 中島世津子は描きに描いたことが、あるに違いない。練達という言葉が、紙を切るように、撫でるごとくに走る一本の線からも浮かんでくる。私が引かれるのは、偶然さえもあやつってしまえる程の素描の伎倆に、けれど微妙に、確乎として、あらがうものがあること。そのことを画家が懊悩しつつ、欲してもいるらしいこと。そう感じさせる、魅惑的なゆらぎ、不安定が、ことに水彩に、ガラス絵にきらめいていたことだった。ガラス絵での個展を最初にお願いすることにしたのはそのような「小勢」に、ひとりの見るものとして寄りそいたいと願ったからでもある。
中島を教えてくれたのは、昨年砂丘館で個展を開いた早川俊二で、早川夫妻と中島は数十年前、パリで出会った。昨秋この町に来て、新潟絵屋を見て、ふたりは今は三重の松坂市に住む旧友を思い出したのだった。(企画 大倉 宏)

中島世津子(なかしま せつこ)
1978年パリ エコール・デ・ボザール デッサン科卒業、80年同絵画科卒業。88年帰国後は、現代日本美術展、ビエンナーレまくらざき「風の芸術展」、「太陽のプロヴァンスにて日本展」、岡田文化財団パラミタミュージアムなどに出品し、2000~03年・15年アスクエア神田ギャラリーにて個展開催。12年作品集『中島世津子 素描』(用美社刊)刊行。 www.setsukonakashimadameme.com

▶みるものとよいところ 会場のようす

photo:「ハルカ」2016年 水彩/ガラス 16.0×22.0cm

BAKU 斉藤 写真展 時の向こうがわ

8月21日 sun ― 30日 tue

vol.502

作家在廊予定日:会期中毎日

 詩人の斎藤健一さんの企画でBAKU斉藤の写真展「アンコールの顔」を開催して7年になる。
 アンコール遺跡ではない写真展の話は、その会期中に、斉藤さんからあった。画像でそれらを見せられ、とまどったのは、同じ写真家の仕事とはすぐに飲み込めなかったせいで、7年はそれをこちらが、飲み込むために要した時間だったかもしれない。
 当惑は、BAKUのアンコール写真をリアリズムだと見たせいだった。世界中で展示されるそれらは、アンコールの像そのものの力で、見る者を印象づける。しかし実際に立体物を画廊で展示する経験を重ねると、立体の実力=そのものの力を、平面である写真に立ち上がらせる難しさの並大抵でないことが分かってくる。熱帯の森で、大きな足場を組み、大型カメラで野外の巨像を撮影する。それだけでも大変だが、しかしそれだけでは、巨像の力は伝えられない。そこで生きたのが、今回展示する写真などで、BAKUが時間をかけて蓄積した写真を作る、構成する経験だった。アンコールの像は、足場の上のカメラの背後に立つ、写真家のそのプリズムを通過して、そのものの力を、写真の中でもう一度、獲得したのだ。(企画 大倉 宏)

BAKU 斉藤(バク さいとう)
1948年新潟市生まれ。94~2005年日本国政府アンコール救済チームや他のミッションに参加、アンコール遺跡群の尊顔を撮りはじめる。06年カンボジア王国政府より「サハメトライ・トッパデット級勲章」を受章。2016年エコグローバルミュージアム(カンボジア・プレアヴィヒアにある博物館)にて常設展示。主な著書は『アンコールの神々-BAYON』(小学館)、『アンコールと生きる』(朝日新聞社)、『幻都バンティアイ・チュマールの神々』(梧桐書院)、 『カンボジアの宝石箱』(連合出版)、『初めてのアンコール』(草土文化出版)等。

▶みるものとよいところ 会場のようす

PHOTO: 「Visitants 1 (Accomplished was incident)」1986年 伊豆大島・裏砂漠 カラー

■ 8/21(日)18:00~ BAKU斉藤ギャラリートーク 聞き手:大倉宏 500円/予約不要