後藤裕子展

8/17[月]―30[日]

vol.595

作家在廊日:8/22・23(予定)

 長岡から長野に転居した後藤裕子の新作の風景が、すばらしい。この人の身体が、質の違う自然空間に移動したことが、はっきり絵に出ている。主観的に構成されたように見える画面だが、この主観は、現実という風にやわらかく揺れる敏感さをもっている。
 風景は何億年をかけて形成された地形に、何万何千年単位で変成してきた植物相、水の流れなどの自然、人間の営む町や構造物、空気や、そこに降り注ぐ地球外からの光などでできているが、この人の目はそんな多様な風景の時間軸の井戸へ、つるべを投げ、色や筆の顫動や呼吸を汲み取ってくる。
 人間の時間と自然の時間というふたつの身体が、絵の中でふれ、はなれ、旋回し、踊っている。(大倉 宏)

後藤裕子(ごとう ひろこ)
1951年東京都生まれ。父に画集を祖母に油絵具箱を贈られる環境で育つ。美大を経て油彩画を組成と技法から学び直そうと仏留学し、帰国後は子育てや介護等家庭の中で過ごす。夫の赴任地新潟県長岡市で病院や施設に風景画を飾る機会があり、スケッチと構成画制作を始めた。2019年~長野県に移り住む。

PHOTO(上): 「尼飾」 2020年 油彩/紙 17.0×50.0cm

後藤裕子_遊水池3

PHOTO: 「遊水池」 2020年 油彩/紙 29.0×29.0cm

後藤裕子_月夜

PHOTO: 「月夜」 2020年 油彩/紙 28.5×28.5cm

後藤裕子_凍湖

PHOTO: 「凍湖」 2020年 油彩/紙 38.0×27.0cm


▶ 後藤裕子展

井田英夫 遺作展——音戸の素描を中心に

7/1[水]―20[月]

vol.593

 1年前の最後の個展では、画家の希望で会場に簡易なベッドをつくった。14日で500人もの人が来て、ほとんどの人が彼と話していった。井田さんは絵を描くのが好きだったが、絵を見る人と会うのも好きだった。生まれて初めて絵を買ったのが井田さんの絵だったという人も多い。画廊が描く人と見る人がこんなに対等で親密に関わる場所になったこと、これこそ新潟絵屋の無意識に求めてきたことだったと今にして気づく。
 井田さんがいない初めての個展では、彼が最後の5年を過ごした音戸の素描を紹介する。井田さんの絵の魅力は色彩だが、その色彩を輝かせる線の力を、彼はたくさんの素描で磨いていた。早すぎた晩年のこれらの素描には美しく、不器用ながら繊細だった彼の絵の底力が宿っている。(企画者:大倉 宏)

井田英夫遺作展
「2019.1/3」2020年 鉛筆/紙

井田英夫(いだ ひでお)
1975年旧新津市生まれ。97年新潟デザイン専門学校卒。99年モンセラート美術大学(アメリカ)卒業。ミンゴーギャラリー(マサチューセッツ州)で二人展。2002年より新潟絵屋、05年ギャラリーEMU-st(新潟)、11年久留米市一番街多目的ギャラリー、12年三方舎書斎ギャラリー(新潟)、15年天仁庵(広島)で個展開催。15年8月以降、広島県呉市音戸町に滞在。2017年は新潟絵屋で新作展を、砂丘館でこれまでを振り返る「ふだんを見つめる 井田英夫展」を開催。その後、新作はギャラリーみつけ(新潟)に巡回。2018年4月、三方舎書斎ギャラリーと新潟絵屋で有志の企画による「井田英夫支援展」が開催された。2020年4月27日逝去。facebook

井田英夫

上: 題不詳(滞在先の家にあった洗濯機)制作年明 木炭、コンテ、パステル/紙

上: 「2015-2016」2016年 木炭、コンテ/紙

井田英夫

上:「音戸の夜」2016年 木炭、コンテ/紙

井田英夫

上:「土間の上の窓から」2016年 コンテ/紙


本展はインターネットでも同時開催いたします。

井田英夫
作品のお求めは、お申込み制とさせていただきます。

〈受付期間〉*終了しました
新潟絵屋店頭・・7/1[水]—20[月]
インターネット・7/1[水]11:00—31[金]24:00

〈受付方法〉
1.新潟絵屋店頭にて
2.インターネット専用フォーム

〈販売〉
お申込み制とさせていただき、受付期間終了後に、ご購入者が決定します。ひとつの作品に対し、複数の方が同じ作品をご希望された場合は、厳正な抽選によりおひとりの方を決めさせていただきます。

〈抽選について〉
インターネット受付期間終了後に行います。結果のお問い合わせはご遠慮ください。
ご購入が確定した方には、8/11までにご連絡いたします。(残念ながらご購入いただけなかった場合はご連絡いたしません。ご了承ください。)

〈作品のお引き渡し〉
すべて9/1〜とさせていただきます。
新潟絵屋でお渡し、または発送となります。

〈通信販売〉
会期中にお申し込みがなかった作品は、8/15[土]から新潟絵屋の通信販売サイト「eyashop」にてお取り扱いがはじまり、先着順でお求めいただけます。(お渡しは9/1〜)

 


同時期開催 井田英夫遺作展
井田英夫遺作展 砂丘館

7/15[水]―8/23 8/30[日]→会期を延長しました
開館時間:9:00-21:00

会場:砂丘館
新潟市中央区西大畑町5218-1 tel.025-222-2676
休館日:月曜日(ただし8/10開館)、7/28、8/11
新潟の個人蔵作品を中心に代表作「音戸の夜」「布団」など約50点を展示。

■トークイベント
「井田英夫の思い出と絵を語る」
8/8[土]18:30-20:00
今井正人(井田英夫友人)・大倉宏(砂丘館館長)
会場:砂丘館 座敷・居間・茶の間 
定員:15名→10名に変更しました/参加料:500円
参加方法:砂丘館へ電話・ファックス・Eメールでお申し込みください。

*トークは動画配信しました。
井田英夫の貴重な生前の様子を撮った映像も紹介しました。引き続きご覧いただけます。

動画配信アドレス



画集刊行計画のお知らせ

井田英夫
7/1~新潟絵屋にて受付中
7/9〜インターネットにて受付開始


関連記事

2017年:井田英夫展、砂丘館 ギャラリートークの動画
2018年:井田英夫 巡回支援展
2019年:井田英夫展

井田英夫遺作展 @砂丘館

7/15[水]―8/23[日]

9:00-21:00 
休館日:月曜日(8/10開館)7/28、8/11
観覧無料
会場:砂丘館(旧日本銀行支店長役宅)新潟市中央区西大畑町5218-1 tel.025-222-2676

 7月1日から20日まで新潟絵屋で開催された「井田英夫 遺作展——音戸の素描を中心に」に続き、砂丘館では、個人蔵の作品で構成する遺作展がはじまりました。これまで井田さんの作品をコレクションしていただいた方々からお借りして実現しました。さまざまな年代の井田さんの絵をご覧いただけます。

井田英夫(いだ ひでお)
1975年旧新津市生まれ。97年新潟デザイン専門学校卒。99年モンセラート美術大学(アメリカ)卒業。ミンゴーギャラリー(マサチューセッツ州)で二人展。2002年より新潟絵屋、05年ギャラリーEMU-st(新潟)、11年久留米市一番街多目的ギャラリー、12年三方舎書斎ギャラリー(新潟)、15年天仁庵(広島)で個展開催。15年8月以降、広島県呉市音戸町に滞在。2017年は新潟絵屋で新作展を、砂丘館でこれまでを振り返る「ふだんを見つめる 井田英夫展」を開催。その後、新作はギャラリーみつけ(新潟)に巡回。2018年4月、三方舎書斎ギャラリーと新潟絵屋で有志の企画による「井田英夫支援展」が開催された。2020年4月27日逝去。facebook

PHOTO(上): 「音戸の夜」2016年 木炭、コンテ/紙


関連イベント

井田英夫の思い出と絵を語る

8/8[土]18:30-20:00
今井正人(井田英夫友人)・大倉宏(砂丘館館長)
会場:砂丘館 居間・座敷・茶の間
定員:15名/参加料500円/砂丘館へお申込みください
当日動画で配信予定です。URLは砂丘館ホームページで告知

『井田英夫画集』制作支援のお願い

新潟絵屋で、2002年以来発表してきた新潟出身の画家井田英夫(1975-2020)さんの画集制作のため、同郷の今井正人さんを代表に刊行委員会が発足しました。2022年完成を目標に、今年7月から制作資金を募っています。普段を見つめ続けた井田さんの絵の全体像を、充実した一冊にまとめるため、みなさまからのご支援をお願いいたします。

制作支援金 1万円/2万円/3万円/5万円/10万円

画集を一緒に作ってくださる協力者として画集1冊を進呈し、巻末にお名前を掲載させていただきます

画集予約+支援金 5,000 円

画集のご予約+ご支援として早期受領し、制作資金に活用させていただきます

寄付方法

1.新潟絵屋で直接受付中
2.郵便払込(専用伝票は新潟絵屋にございます)
3.インターネットでのご入金 https://idahideo.official.ec/

井田英夫画集刊行委員会
今井正人(代表)、井上美雪、大倉宏、大橋保隆、高橋徹
協力:認定NPO法人新潟絵屋、天仁庵、LIT


関連記事

▶ 2017年:井田英夫展、砂丘館
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▶ 2018年:井田英夫 巡回支援展
▶ 2019年:井田英夫展
▶ 井田英夫 遺作展

コロナショック 藤井芳則展

7/22[水]―30[木]

vol.594

 藤井芳則の創作にはいつも人をあっと言わせる意外性と、ほんのちょっと毒も含んだユーモア(笑い)がある。もうひとつの側面は、徹頭徹尾「手作り」する人間であること。その意味でこの「現代アーティスト」は職人でもある。「新型コロナウイルス騒動」の真っただ中に私たちはいて、気温が上がりマスクの下が鬱陶しくなってきた今、そんな彼が差し出すのは、鼻や口の周りをマスクをしたままで掻ける小型「孫の手」。黒檀製のそれらは、まるで自然とともに生きる人々が刻む生命力にあふれるプリミティブな呪具のようで、この魔術を使うためだけに、酷暑の日中にマスクをしていたくなりそうだ。(企画者:大倉 宏)

藤井芳則(ふじい よしのり)
1962年新潟市生まれ。美術家。個展、グループ展多数。2009年以降は弥彦野外アート、ふれ美(ふれて楽しむ美術館)、大地の芸術祭 雪アートプロジェクト、NIIGATA オフィスアートストリートなど、そのときどきで作家の個人的関心と場に応じた発想力で作品を制作する。近年は台湾での芸術祭「桃園地景藝術節」にも出品し活動の場を広げている。ワークショップに、影絵あそび「清五郎にすむ不思議な生物を作ろう」、(新潟市こども創造センター)、地域の文化を復活させた「白根子行進曲マスク作り」(白根学習館)、鬼の面作りとSPACE豆まき(ゆいぽーと)、環境問題をテーマにした「一條河」(桃園地景藝術節)など。

photo: Murai Isamu


▶ 藤井芳則ワークショップ
▶ 光る雪の中で ファッションショーを やってみよう!
▶ ちゃぽ柿ピー 藤井芳則
▶ 藤井芳則「カミモッコ」展

eya selection 絵屋セレクション

2020年6月16日新潟絵屋は20周年を迎えます

6/1[月]―21[日]

vol.592

 迷走を続けた春だった。
 4月5月に計画していた展示は全て延期。代わって絵屋のメンバーが愛蔵の絵を持ち寄って販売する「絵屋セレクション」も初日を開いただけで、緊急事態宣言の拡大を受け翌日から休廊に。休みは5月末まで延長となり、そして6月、新潟絵屋は20周年を迎えて、引き続き(と書くべきか…)20日間「絵屋セレクション」展を開く(予定…とただし書きの必要な時代となった)。
 この間の4月27日、2002年から絵屋で個展を続けてきた新潟生まれの画家井田英夫が44歳の若さで病で亡くなった。「見る人」が主体となって運営する画廊として誕生した新潟絵屋に、命を吹き込んでくれたのは、美術家たちだった。ことに年々新しくなっていく現在進行形の制作で、人々を引き寄せ、絵を見る経験の豊かさを教えてくれた井田さんのような存在あっての、この20年という時間だった。絵屋に関わってくれた全ての美術家に、あらためて、心からの感謝を伝えたい。7月には、遺作展となってしまったが、井田さんの未発表作を中心とした展示を開く(予定)。        (大倉宏)

出品作品:打木、相田諒二、浅野弥衛、小川俊充、隠岐安弘、華雪、佐藤哲三しんぞう、津田真帆、中尾昌吾、蓮池もも、松本健宏、緑川俊一、三芳悌吉、八木なぎさ、涌井欽也 ほか


会期中は、ショップコーナーもおたのしみに。齋藤伸絵さんの染織り作品と阿部信子さんの彫金・ジュエリー作品を特集する「NOBINOVI SELECT」や、ノート「momonote」(絵・蓮池もも)、里村洋子・著『柳水園ものがたり』など入荷しました。
緊張が続く日々の中で、ひととき、心休まる時間をお過ごしいただければ幸いです。

photo(上): Murai Isamu
右の写真は、「日暦」に寄り添うコジマトリョーシカ(阿部信子作品)


会場の様子

eya selection
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須永祥雍

上・須永祥雍「静かな音II」

打木
左・SHARAREH KHOSRAVANI(untitled)
右・打木「お供」

森敬子
上・森敬子「天使さん」売約済み

隠岐安弘
上・隠岐安弘「太陽と月と」

八木なぎさ
上・八木なぎさ「empty room」

蓮池もも
蓮池もも 上「文様57」・下「まどろみ眠り夢見目覚める」

蓮池もも

佐藤哲三
上・佐藤哲三「氷雨」

華雪
上・華雪「手」


上・松本健宏「白山の朝市で」

峰村リツ子
上・峰村リツ子「裸婦」売約済み

しんぞう
上・しんぞう「神の犬」

浅野弥衛
上・浅野弥衛「ブルーチェス」

相田諒二
上・相田諒二「message -A SCENE OF NIIGATA」

eya selection
小川俊充
上・小川俊充「再び海へ」

涌井欽也
上・涌井欽也

七里知子
上・七里知子「六つの霞、六つの雲、六つの星」売約済み

中尾昌吾
上・中尾昌吾「存在する」

良寛道人扇面
上・良寛道人扇面(印刷)

西村満
上・西村満「北の浜」

三芳悌吉

三芳悌吉

上・三芳悌吉「寄居浜あたり」

松本健宏

上・緑川俊一「かお」

eya selection
絵屋便 履歴
出品作品の多くは過去に新潟絵屋でご紹介した作品でした。
2000年開設時からの案内状「絵屋便」を見ながら、休廊明けを待ち遠しく思っています。
(4.19 井上美雪・記)

絵屋セレクション

6月開催予定
会期が変更になりました。
4/17[金]―5/31[日]

vol.592

 この6月で新潟絵屋は開廊20年を迎える。
 そんな時期になんとこんなことになろうとは……Covid-19という見えない魔が私たちの領域にまで波紋を広げ、4月5月に予定していた展示はすべて延期させていただくことになった。
 その間、絵屋は文字通り「絵屋」に、つまり絵および絵(や美術)にまつわるあれこれを商う店になる。
 和紙を張り替えたばかりの壁には、絵屋の運営に関わるメンバーたちがそれぞれの家の壁で対話してきた絵をもちより、販売(即売)する。さらにご縁のあった美術家のみなさんにお願いして、家にかけやすい大きさの絵も加えていく予定だ。はからずもこれは「絵のある家」の普及を願ってきた私たちの原点回帰でもある。
 多くの人にみてほしいとは書けないが、ひっそりした街を通って、画廊に来て、人とではなく、絵とマスクの上の目で語らってほしい。またできうることなら、その絵を持ち帰り、家に飾り、この強いられた「一人」の時代を、狭められた空間を、心の側に拡げてほしい。
 絵にはそのような力があると、私たちは信じている。 (大倉宏)

出品作品:佐藤哲三、SHARAREH KHOSRAVANI、しんぞう蓮池もも三芳悌吉 ほか


「絵屋セレクション」期間中は、この空間にさまざまな作家の作品を展示、即売します。
ショップコーナーは通常営業します。齋藤伸絵さんの染織り作品と、阿部信子さんの彫金・ジュエリー作品を特集する「NOBINOVI SELECT」や、新発売のノート「momonote」(絵・蓮池もも)もおたのしみに。
緊張が続く日々の中で、ひととき、心休まる時間をお過ごしいただければ幸いです。


このたび会期が変更になりましたが、臨時休廊期間(4/18〜5/31)に、本展出品作品をすこしずつ更新していきます。
お電話やメールでご予約いただくことも可能です。

eya selection
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須永祥雍

上・須永祥雍「静かな音II」

打木
左・SHARAREH KHOSRAVANI(untitled)
右・打木「お供」

森敬子
上・森敬子「天使さん」売約済み

隠岐安弘
上・隠岐安弘「太陽と月と」

八木なぎさ
上・八木なぎさ「empty room」

蓮池もも
蓮池もも 上「文様57」・下「まどろみ眠り夢見目覚める」

蓮池もも

佐藤哲三
上・佐藤哲三「氷雨」

華雪
上・華雪「手」


上・松本健宏「白山の朝市で」

峰村リツ子
上・峰村リツ子「裸婦」売約済み

しんぞう
上・しんぞう「神の犬」

浅野弥衛
上・浅野弥衛「ブルーチェス」

相田諒二
上・相田諒二「message -A SCENE OF NIIGATA」

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小川俊充
上・小川俊充「再び海へ」

涌井欽也
上・涌井欽也

七里知子
上・七里知子「六つの霞、六つの雲、六つの星」売約済み

中尾昌吾
上・中尾昌吾「存在する」

良寛道人扇面
上・良寛道人扇面(印刷)

西村満
上・西村満「北の浜」

三芳悌吉

三芳悌吉

上・三芳悌吉「寄居浜あたり」

松本健宏

上・緑川俊一「かお」

eya selection
絵屋便 履歴
出品作品の多くは過去に新潟絵屋でご紹介した作品でした。
2000年開設時からの案内状「絵屋便」を見ながら、休廊明けを待ち遠しく思っています。
(4.19 井上美雪・記)