コロナショック 藤井芳則展

7/22[水]―30[木]

vol.594

 藤井芳則の創作にはいつも人をあっと言わせる意外性と、ほんのちょっと毒も含んだユーモア(笑い)がある。もうひとつの側面は、徹頭徹尾「手作り」する人間であること。その意味でこの「現代アーティスト」は職人でもある。「新型コロナウイルス騒動」の真っただ中に私たちはいて、気温が上がりマスクの下が鬱陶しくなってきた今、そんな彼が差し出すのは、鼻や口の周りをマスクをしたままで掻ける小型「孫の手」。黒檀製のそれらは、まるで自然とともに生きる人々が刻む生命力にあふれるプリミティブな呪具のようで、この魔術を使うためだけに、酷暑の日中にマスクをしていたくなりそうだ。(企画者:大倉 宏)

藤井芳則(ふじい よしのり)
1962年新潟市生まれ。美術家。個展、グループ展多数。2009年以降は弥彦野外アート、ふれ美(ふれて楽しむ美術館)、大地の芸術祭 雪アートプロジェクト、NIIGATA オフィスアートストリートなど、そのときどきで作家の個人的関心と場に応じた発想力で作品を制作する。近年は台湾での芸術祭「桃園地景藝術節」にも出品し活動の場を広げている。ワークショップに、影絵あそび「清五郎にすむ不思議な生物を作ろう」、(新潟市こども創造センター)、地域の文化を復活させた「白根子行進曲マスク作り」(白根学習館)、鬼の面作りとSPACE豆まき(ゆいぽーと)、環境問題をテーマにした「一條河」(桃園地景藝術節)など。

photo: Murai Isamu


▶ 藤井芳則ワークショップ
▶ 光る雪の中で ファッションショーを やってみよう!
▶ ちゃぽ柿ピー 藤井芳則
▶ 藤井芳則「カミモッコ」展

eya selection 絵屋セレクション

2020年6月16日新潟絵屋は20周年を迎えます

6/1[月]―21[日]

vol.592

 迷走を続けた春だった。
 4月5月に計画していた展示は全て延期。代わって絵屋のメンバーが愛蔵の絵を持ち寄って販売する「絵屋セレクション」も初日を開いただけで、緊急事態宣言の拡大を受け翌日から休廊に。休みは5月末まで延長となり、そして6月、新潟絵屋は20周年を迎えて、引き続き(と書くべきか…)20日間「絵屋セレクション」展を開く(予定…とただし書きの必要な時代となった)。
 この間の4月27日、2002年から絵屋で個展を続けてきた新潟生まれの画家井田英夫が44歳の若さで病で亡くなった。「見る人」が主体となって運営する画廊として誕生した新潟絵屋に、命を吹き込んでくれたのは、美術家たちだった。ことに年々新しくなっていく現在進行形の制作で、人々を引き寄せ、絵を見る経験の豊かさを教えてくれた井田さんのような存在あっての、この20年という時間だった。絵屋に関わってくれた全ての美術家に、あらためて、心からの感謝を伝えたい。7月には、遺作展となってしまったが、井田さんの未発表作を中心とした展示を開く(予定)。        (大倉宏)

出品作品:打木、相田諒二、浅野弥衛、小川俊充、隠岐安弘、華雪、佐藤哲三しんぞう、津田真帆、中尾昌吾、蓮池もも、松本健宏、緑川俊一、三芳悌吉、八木なぎさ、涌井欽也 ほか


会期中は、ショップコーナーもおたのしみに。齋藤伸絵さんの染織り作品と阿部信子さんの彫金・ジュエリー作品を特集する「NOBINOVI SELECT」や、ノート「momonote」(絵・蓮池もも)、里村洋子・著『柳水園ものがたり』など入荷しました。
緊張が続く日々の中で、ひととき、心休まる時間をお過ごしいただければ幸いです。

photo(上): Murai Isamu
右の写真は、「日暦」に寄り添うコジマトリョーシカ(阿部信子作品)


会場の様子

eya selection
eya selection
須永祥雍

上・須永祥雍「静かな音II」

打木
左・SHARAREH KHOSRAVANI(untitled)
右・打木「お供」

森敬子
上・森敬子「天使さん」売約済み

隠岐安弘
上・隠岐安弘「太陽と月と」

八木なぎさ
上・八木なぎさ「empty room」

蓮池もも
蓮池もも 上「文様57」・下「まどろみ眠り夢見目覚める」

蓮池もも

佐藤哲三
上・佐藤哲三「氷雨」

華雪
上・華雪「手」


上・松本健宏「白山の朝市で」

峰村リツ子
上・峰村リツ子「裸婦」売約済み

しんぞう
上・しんぞう「神の犬」

浅野弥衛
上・浅野弥衛「ブルーチェス」

相田諒二
上・相田諒二「message -A SCENE OF NIIGATA」

eya selection
小川俊充
上・小川俊充「再び海へ」

涌井欽也
上・涌井欽也

七里知子
上・七里知子「六つの霞、六つの雲、六つの星」売約済み

中尾昌吾
上・中尾昌吾「存在する」

良寛道人扇面
上・良寛道人扇面(印刷)

西村満
上・西村満「北の浜」

三芳悌吉

三芳悌吉

上・三芳悌吉「寄居浜あたり」

松本健宏

上・緑川俊一「かお」

eya selection
絵屋便 履歴
出品作品の多くは過去に新潟絵屋でご紹介した作品でした。
2000年開設時からの案内状「絵屋便」を見ながら、休廊明けを待ち遠しく思っています。
(4.19 井上美雪・記)

絵屋セレクション

6月開催予定
会期が変更になりました。
4/17[金]―5/31[日]

vol.592

 この6月で新潟絵屋は開廊20年を迎える。
 そんな時期になんとこんなことになろうとは……Covid-19という見えない魔が私たちの領域にまで波紋を広げ、4月5月に予定していた展示はすべて延期させていただくことになった。
 その間、絵屋は文字通り「絵屋」に、つまり絵および絵(や美術)にまつわるあれこれを商う店になる。
 和紙を張り替えたばかりの壁には、絵屋の運営に関わるメンバーたちがそれぞれの家の壁で対話してきた絵をもちより、販売(即売)する。さらにご縁のあった美術家のみなさんにお願いして、家にかけやすい大きさの絵も加えていく予定だ。はからずもこれは「絵のある家」の普及を願ってきた私たちの原点回帰でもある。
 多くの人にみてほしいとは書けないが、ひっそりした街を通って、画廊に来て、人とではなく、絵とマスクの上の目で語らってほしい。またできうることなら、その絵を持ち帰り、家に飾り、この強いられた「一人」の時代を、狭められた空間を、心の側に拡げてほしい。
 絵にはそのような力があると、私たちは信じている。 (大倉宏)

出品作品:佐藤哲三、SHARAREH KHOSRAVANI、しんぞう蓮池もも三芳悌吉 ほか


「絵屋セレクション」期間中は、この空間にさまざまな作家の作品を展示、即売します。
ショップコーナーは通常営業します。齋藤伸絵さんの染織り作品と、阿部信子さんの彫金・ジュエリー作品を特集する「NOBINOVI SELECT」や、新発売のノート「momonote」(絵・蓮池もも)もおたのしみに。
緊張が続く日々の中で、ひととき、心休まる時間をお過ごしいただければ幸いです。


このたび会期が変更になりましたが、臨時休廊期間(4/18〜5/31)に、本展出品作品をすこしずつ更新していきます。
お電話やメールでご予約いただくことも可能です。

eya selection
eya selection
須永祥雍

上・須永祥雍「静かな音II」

打木
左・SHARAREH KHOSRAVANI(untitled)
右・打木「お供」

森敬子
上・森敬子「天使さん」売約済み

隠岐安弘
上・隠岐安弘「太陽と月と」

八木なぎさ
上・八木なぎさ「empty room」

蓮池もも
蓮池もも 上「文様57」・下「まどろみ眠り夢見目覚める」

蓮池もも

佐藤哲三
上・佐藤哲三「氷雨」

華雪
上・華雪「手」


上・松本健宏「白山の朝市で」

峰村リツ子
上・峰村リツ子「裸婦」売約済み

しんぞう
上・しんぞう「神の犬」

浅野弥衛
上・浅野弥衛「ブルーチェス」

相田諒二
上・相田諒二「message -A SCENE OF NIIGATA」

eya selection
小川俊充
上・小川俊充「再び海へ」

涌井欽也
上・涌井欽也

七里知子
上・七里知子「六つの霞、六つの雲、六つの星」売約済み

中尾昌吾
上・中尾昌吾「存在する」

良寛道人扇面
上・良寛道人扇面(印刷)

西村満
上・西村満「北の浜」

三芳悌吉

三芳悌吉

上・三芳悌吉「寄居浜あたり」

松本健宏

上・緑川俊一「かお」

eya selection
絵屋便 履歴
出品作品の多くは過去に新潟絵屋でご紹介した作品でした。
2000年開設時からの案内状「絵屋便」を見ながら、休廊明けを待ち遠しく思っています。
(4.19 井上美雪・記)

吉冨ひろみ展 ー時の波打ちぎわでXIIー

新型コロナウイルス感染拡大を受け、「吉冨ひろみ展」は開催を延期することになりました。たのしみにしてくださっていたみなさまには大変申し訳ありません。開催時期はあらためてお知らせいたします。
2020年4月7日 新潟絵屋

5/22[金]―30[土]

Open Eya

 綿布にソフトパステルで描く。やわらかい布につつまれるような優しい印象が思い出される。(井上美雪)


前回の個展
吉冨ひろみ展 ― 時の波打ちぎわで Ⅹ ―

カテゴリー: art

菅野くに子展

新型コロナウイルス感染拡大を受け、「菅野くに子展」は開催を延期することになりました。たのしみにしてくださっていたみなさまには大変申し訳ありません。開催時期はあらためてお知らせいたします。
2020年4月6日 新潟絵屋

5/2[土]―15[金]

vol.593

 4年ぶりの展示。新潟のモチーフが登場した前回以降の新作をおたのしみに。 (企画 大倉 宏)


菅野 くに子 展

カテゴリー: art

戸田勝久展

新型コロナウイルス感染拡大を受け、「戸田勝久展」は開催を延期することになりました。たのしみにしてくださっていたみなさまには大変申し訳ありません。開催時期はあらためてお知らせいたします。
2020年4月6日 新潟絵屋

4/17[金]―30[木]

vol.593

 高橋由一など、明治時代初期の人たちは「西洋画」の学習にあたり、ほぼ同時に技術の伝わった写真も教科書にしたらしい。西洋画の特質を由一は「写真(真実を写すこと)」と呼び、それまでの日本の絵は、遊戯的であり、新興国家日本建設の役に立たないとしてしりぞけた。写真のような絵は、その後、写実と言い換えられるようになった。
 戸田勝久の絵は、写実というより、カメラアイのような描写ぶりからどこか「写真」的と言いたくなる。が、その内容はたいへん遊戯的で、かなうことなら高橋由一に見てもらいたい。シュルレアリスム風の内面探求とも、コンピューター処理された不思議な写真とも違う。「絵そらごと」という言葉が、一番近ぴったりとくる。
 「絵そらごと」の絵は、国家の、もっと平たくいえば世の中の役にはたたない。でもそれは、江戸期の絵にあった「余裕」を思い出させる。気候変動、コロナウィルス、経済不安…余裕がどんどん失われていく近代のどんづまりのような時期に、近代の外皮に前近代の空気をくるんだ、こうした絵を呼吸することが、私には必要だ。 (企画者:大倉 宏)

戸田勝久(とだ かつひさ)
1954年神戸市生まれ。アクリル画を井上直久氏、銅版画を山本六三氏、南画を津川蕃氏に学ぶ。83年大阪にて初の個展。以後、京阪神、東京、パリの画廊で作品を発表する。木版画、銅版画、水彩画、アクリル画で「書物の旅」をテーマに描く。エッセイ集『書物の旅』(2008年水仁舎刊)、画集『旅の調べ』(2019年刊)など。

PHOTO:「あなたへ」 アクリル/キャンバス 41.0×41.0cm


関連イベント

ギャラリートーク

4/17[金]18:30

戸田勝久+聞き手:大倉宏(本展企画者/美術評論家)会場:新潟絵屋展示室/参加費:500円(要予約申込)新潟絵屋へ電話またはメールでお申込みください。
tel.025-222-6888
info@niigata-eya.jp

*これまでに装釘した書物も展示し、画集『旅の調べ』と装釘集『書物の庭』をお取り扱いいたします。


戸田勝久展

PHOTO: 「Andante」 アクリル/キャンバス 72.7×72.7cm

戸田勝久展

PHOTO: 「海の響き」 水彩/紙 12.0×12.0cm

戸田勝久展

PHOTO: 「いつかの散歩道」 アクリル/キャンバス 41.0×41.0cm

戸田勝久

PHOTO: 「春星巡行図」 墨/キャンバス 41.0×41.0cm

カテゴリー: art