蓮池もも展<前期>

〈前期〉12/14[金]―24[振休・月]
〈後期〉2019 1/5[土]―14[祝・月]

niigata eya exhibition 565

 今年集中的に制作された蓮池もものマトリョーシカの連作と、それに並行し、また先立って制作された絵を展示する。
テーマは母子。近年の作同様に、画家の実人生が映る作品群だ。「母子」はひとつの幸福の形だが、物語における母子には、別れ、相克、離反などさまざまなドラマが描かれてきた。絵は、実人生の、現在の実感と、過去と未来の物語的時間軸の彼方に浮かぶ、波浪やうねりをも遠く響かせている。
 そのドラマの波を、シンプルな形式にたたみこんだようなマトリョーシカは、素朴で、愛らしい外観のうちに、昔話のような深みを、感じさせている。蓮池もものマトリョーシカ。新潟絵屋がいろいろな画家に依頼してきたシリーズの延長とはいえ、これもひとつの、思いがけないドラマだ。
 年末と新年にかけての展示の、半ばで、作品の入れ替えを行う予定です。ぜひ二度、ご来廊下さい。(企画・大倉宏)

蓮池もも(はすいけ もも)
1983年新潟市生まれ。2006年fullmoon upstairs、07・08・09・10・11年画廊Full Moon、12年砂丘館で個展。新潟絵屋では10・12~17年毎年個展、15・16年ギャラリー島田にて個展開催。12~14年『絵屋便』表紙絵を連載する。加茂の白茅俳句会が季刊発行する『白茅』で「森の奥 湖の底」(画とエッセイ)を連載中。十日町市在住。

これまでの個展
2017年
2016年
2015年
2012年砂丘館

蓮池もも

蓮池もも

PHOTO(上): 「マトリョーシカ」2018年 アクリルガッシュ/木 高さ(最大)10.8(中間)8.6(最小)5.6cm

蓮池もも

PHOTO: 2018年 アクリルガッシュ/シナベニヤパネル 24.1×41.0cm


後期につづく

蓮池もも展〈後期〉

2019 1/5[土]-14[祝・月] ※作品が入れ替わります

七里知子個展 -Reverberation-

12/2[日]―12[水]

niigata eya exhibition 564

 むかし、大学の色彩学の授業で「孔色(こうしょく)」という言葉を教えられた。
 孔にのぞく青空のように、物体に付いた色ではない色、と習った。ふつうの色は物に付いている。抽象絵画でさえ、画布や画紙というモノに固着している。近年の経験では、パソコンが立ち上がる直前の、液晶画面に浮かぶ単色が、孔色に近いような気がする。
 七里知子の絵の美しい色も、綿布というモノに付いているのだけれど、向かい合うと、なぜか孔色を感じる。そこに映る色彩の起伏は、空や雲や水面のそれを思わせるが、輪郭を画面の外に押しやることで、全体が孔色化し、空や雲や水のモノ性から、色が解かれている。液晶画面の単調からはるかに遠い豊かさが、モノと空間の二分からも、画像のイリュージョンからも区別されて、呼吸するように輝いている。 (企画 大倉 宏)

七里知子(しちり ともこ)
京都造形芸術大学美術工芸学科洋画(現・油画)コース卒業。同大学院芸術表現専攻修士課程修了。06・07・09・11・12・13・14年Gallery MIYASHITA(札幌)、16年アートスペース虹(京都)、新潟絵屋にて油彩作品の個展。恵文社一乗寺店、kit、ちせ(京都)、ポポタム(東京)や北書店にてメゾチントによる小品を発表。tomoko-shichiri.main.jp

七里知子

七里知子

七里知子

七里知子

七里知子

PHOTOいずれも:「Like all the same」2018年
白亜・シルバーホワイト・油彩パネルに綿布 15.8×22.8cm

同時期開催

12/3[月]-26[水]
会場:北書店画廊

 新潟絵屋での「七里知子 個展 -Reverberation-」(12/2~12)と同時期に、別会場で別技法による、七里さんのもうひとつの世界をご覧いただけます。数年前にも北書店でご紹介して、七里さんの銅版画が北書店の雰囲気とも合っていたのが印象的でした。油彩と版画、絵屋と北書店でぜひおたのしみください。


会場情報

北書店画廊

新潟市中央区医学町通2-10-1 ダイヤパレス医学町101月~金 10:00-20:00・土日祝12:00- 会期中の休み:12/16(日)


これまで

2016年の個展の様子
2015年北書店画廊「七里知子 メゾチント作品展 Yukar」
2014年の個展「風景の行間」の様子
2014年北書店画廊

梅野 亮 展

11/17[土]―30[金]

niigata eya exhibition vol.563
11:00―18:00(最終日―17:00)

作家在廊予定日◆11/17・18・24・30

 人の華やかさは持って生まれたもの(性格)と生い立ち(環境)の化合物かもしれない。
 梅野亮の父隆はコレクターで、長野県東御市にある梅野記念絵画館はそのコレクションを礎に生まれた。美術の世間で忘れられかけた物故者の絵の輝きを見出し「発掘」するのを喜びとした人でもあった。若い長男が絵を描き、注目された頃、「早世していれば高く評価された(のに)」と言ったという話を、新潟に来た亮さんから直に聞いたとき、彼の育った環境の一端を感じたものだ。
 亮はその後長く絵を離れるが、60を越えてふたたび描きはじめる。そうして生まれた絵を紹介する。線に、色に、どうあってもにじんでくる華やかさは、たぶん天性のものであって、画家はその光を、自らの食として生きようとしている。
 華やかさと遠い私たちの画廊と通じ合うものが、この人の絵に、生き方に、芽生えようとしている。 (企画・大倉宏)

梅野亮 (うめの まこと)
1952年福岡県八女市生まれ。10歳より油絵を始める。73年美術留学のため渡仏。その後、会社経 営などのため絵画活動を休止していた時期がある。9 8 年梅野記念絵画館設立。近年は、ギャラリー上田、ギャラリーゴトウ(銀座)などでの個展のほか、フランス、ドイツ、香港など国外での発表もし、精力的に制作している。


関連イベント

ギャラリートーク 11/24[土] 18:00-19:00

ゲスト:梅野亮/聞き手:大倉宏
参加料500円/予約不要/会場:新潟絵屋展示室

梅野亮2016
梅野亮2016_
梅野亮2018

PHOTO(上から): 「 街 」 2011年 水彩/ダンボール 7×7cm
「街を歩く-月」 2016年 鉛筆・パステル・定着液・熱処理 /紙 56×40cm
「街を歩く-月」 2016年 鉛筆・パステル・定着液・熱処理/紙 40×29cm
「円の記憶と線の法則」 2017年 鉛筆・定着液・熱処理/紙 40×56cm

Open eya vol.7さにれに展 SunnyRain

11/2[金]―10[土]

Open eya vol.7
11:00—18:00(最終日―17:00)

 これまで舞台や映画を制作してきたサニーレインによる絵屋を使った展覧会。
 それは、亡き女優Sへのlove letter。

映像・写真 梨本諦嗚
インスタレーション Yocco
技術テクニカル 宮野和真
さにれに展
さにれに展


ギャラリー&ミュージアムマップ 10/20~11/25 2018

展覧会を見に行こう!
2008年創刊、毎月無料配布の展覧会情報紙です。

新潟島とその周辺のギャラリー&ミュージアムマップ | gallery & Museum Schedule 2018.10-11

2018年10月20日(土)- 2018年11月25日(日)

ギャラリー&ミュージアムマップ 2018年10-11月号

チラシのダウンロード(PDF)

STACK-BOARDさんで11/25に開催されます「ピコいち in STACK-BOARD」(体験・実演あり/11:00〜17:00)について、配布中の掲載紙で誤記がありました。
11/23と記載があるのは、正しくは11/25です。
お詫びして訂正申し上げます。

ギャラリー&ミュージアムマップ 2018年10-11月号

チラシのダウンロード(PDF)

新潟島とその周辺
ギャラリーミュージアムマップ
配布場所のご案内

中央区 aigallery、ニカイギャラリー、BOOKS f3、STACK-BOARD、アートギャラリー万代島、ギャラリー長美堂、メディアシップ、kaede+fullmoon、hickory03travelers、蔵織・コンチェルト・西堀ゆきわ、にいがた銀花、医学町ビル、新潟美術学園、あらきギャラリー、羊画廊、新潟絵屋、万代島美術館、敦井美術館、新潟市美術館、砂丘館、NSG美術館、安吾風の館、篠田桃紅作品館、北方文化博物館新潟分館、新津記念館、あさひまち展示館、旧齋藤家別邸、旧小澤家住宅、みなとぴあ、知足美術館、新潟駅観光案内所、きさらぎギャラリー、なり、五徳屋十兵衛、花きりん、クロスパル、シネ・ウインド、三宮商店、ナガイ画材、北書店、器、SWAN、パルム、山浦珈琲、涼蔵、ぽるとカーブドッチ、竹野、ノ縞屋、新潟県民会館、吉川酒店、新潟デザイン専門学校、市民活動支援センター、ホテル日航新潟、りゅーとぴあ、NHK文化センター、峰村醸造直売店、今代司酒造、新潟大学駅南キャンパスときめいと、絵画教室ウニアトリエ、新潟県立生涯学習推進センター、新潟NPO協会、栄楽亭、エフスタイル、日和山五合目、i media専門学校、アートホテル新潟

北区 楓画廊、てんゆう花、nico、ビュー福島潟
東区 巻菱湖時代記念館
南区 SHIRONE PRESSO
江南区 小さな美術館季、エムスタジオ、北方文化博物館
秋葉区 やまぼうし、三方舎、VUCA、新潟市新津美術館
西区 雪梁舎美術館、ギャラリー潟道、こんぺいとう
西蒲区 浜つばき、ギャラリー野衣、いわむろや

新発田市 清水園、草舟(菅谷)  
村上市 Toi陶房(瀬波温泉)
柏崎市 游文舎、gallery tanne(谷根)
長岡市 県立近代美術館、長岡造形大、栃尾美術館
見附市 ギャラリーみつけ
燕市 燕市産業史料館、ツバメコーヒー  
三条市 D+5 ART、三条ものづくり学校
栃尾市 栃尾市美術館
弥彦村 弥彦の丘美術館

甲斐啓二郎、前田和也写真展 『いとなみと影法師』

写真 甲斐啓二郎「Shrove Tuesday」

niigata eya exhibition 562

10/17[水]―30[火]

作家在廊予定日:甲斐啓二郎10/27〜29 前田和也10/20.21.27.28

 写真には、記録して伝えるという根源的な力があるが、写真作家の視座は、ただこの特色の上に乗っているわけではない。写真表現の多様性は、この下支えの基盤に、どのような次元の表現を盛り付けるかという、作家の存在をかけた戦いから生まれている。それは、ある意味で人間存在の証明でもあるはずだ。意識するしないにかかわらず作家は、常に自己を選び取るのだ。つまり見続けるのである。それがいとなみ。そして、この二人の作家は、ヒトのいとなみの根幹にある情念をすくいあげ続ける。静けさの中、喧騒の最中にも、二人は自己を溶かし込む。観えてくるぞ。なんと物や景色までが、ひそひそ、がやがや、わいわいと蠢いている。静謐な日常に連なる、沸き立つような祭りの日々。そんな単純な構図ではない、ふるふると単振動を永遠につづける、ヒトの影法師が見え隠れしている。 企画・石井仁志(20世紀メディア評論・メディアプロデューサー)

甲斐啓二郎
1974年福岡県生まれ。97年日本大学理工学部卒業。2002年東京綜合写真専門学校卒業。塩竃フォトフェスティバル2016 写真賞特別賞、第28回写真の会賞受賞など。TOTEM POLE PHOTO GALLERY(新宿区四谷)の運営メンバーのひとり。 写真集に『Shrove Tuesday』(2013年)、『手負いの熊/Wounded Bears』(2016年)がある。http://keijirokai.com/

前田和也
1983年新潟県新発田市生まれ。2005年新潟デザイン専門学校卒業。2003年より始まった写真家渡辺さとるが主宰する写真講座ワークショップ2Bを2011年に受講。世界の若手写真家による優れた作品をコレクションする「清里フォトアートミュージアムヤング・ポートフォリオ」2016年コレクション作家。

 

ギャラリートーク

10/27[土] 18:00-18:45

ゲスト:甲斐啓二郎・前田和也・石井仁志/案内人:大倉宏 参加料500円/予約不要/会場:新潟絵屋展示室
終了後、企画者石井仁志の写真講座もございます


関連イベント 石井仁志写真講座

●「実践写真鑑賞講座」
10/19[金]18:00—19:30
講師:石井仁志
参加料3,000円/定員10名/要申込(新潟絵屋へ)
甲斐、前田両氏の写真の魅力、二人展の意義、展示のコンセプト、企画進行、キュレーションの道筋や実行の注意などを解説します。より深い鑑賞、その面白さに迫ります。

●「写真鑑賞 一枚の写真」
10/27[土]19:00—20:30
講師:石井仁志
参加料3,000円/定員10名/要申込(新潟絵屋へ)
両氏の出品作品から一枚づつ選んで徹底解説。鑑賞のポイントや作品理解への道筋、写真の魅力を存分に味わいつくす術とは。ここが鍵という鑑賞視座の構築を語ります。*当日は18:00からギャラリートーク もあります。

企画 石井仁志
1955年宮城県仙台市生まれ。近現代文化史研究、中島健蔵研究、音楽、写真、映像、文学と幅の広い評論活動を展開。元早稲田大学エクステンションセンター講師。清里フォトアートミュージアムのヤングポートフォリオ、新潟大学地域映像アーカイブを支援協力。東京都写真美術館「生誕百年中島健蔵展」2003年監修、『占領期雑誌資料大系大衆文化編全5巻』(岩波書店/2009)編集・執筆。新潟で企画に携わった主な展覧会:2011年細江英公人間写真展「気骨」、2013年 友長勇介 下平竜矢写真展「粒子の景色」、内野雅文写真展「とどまらぬ長き旅の…」、 2014年会田法行 渡辺英明写真展「青き球へ」、2015年有元伸也写真展、西村陽一郎写真展「光の詩(うた)」、2016年 ミーヨン写真展「Alone Together」

甲斐啓二郎
(上)甲斐啓二郎「骨の髄/Down to the Bone」
甲斐啓二郎
(上)甲斐啓二郎「骨の髄/Down to the Bone」
前田和也
(上)前田和也「サンヨーサンヨ」
前田和也
(上)前田和也「サンヨーサンヨ」
前田和也
(上)前田和也「あこがれはいつも遠く」