ギャラリー&ミュージアムマップ 2017.2-3

私たちは、画廊や美術館を巡るひとが増えるにはどんな環境が必要か、考え続けています。
2008年創刊、毎月無料配布の情報冊子です。

新潟島とその周辺のギャラリー&ミュージアムマップ | gallery & Museum Schedule 2017.2-3

2017年2月17日(金)- 3月25日(土)

塩﨑 貞夫 展

3月2日thu―10日fri

vol.518

 砂丘館と2会場で開催する塩﨑貞夫展。
 3年前に亡くなった塩﨑の絵を、新潟の個展で見たとき、絵の匂いがすると思った。すこし甘いようだけれど、凛とした匂いだった。いい絵は匂いがする、と誰かが言ったけれど、本当にそうだ。絵柄としては痩せた女がもやのような空間に横たわる絵を、記憶するのみだったけれど、本人にはよくお会いした。新潟に来ると絵屋にも寄ってくれた。女のイメージが、古墳や塔や山や満開の桜やコスモスなどに変幻し、そのどれもが「死と鎮魂」のモチーフを奏で続けていたことを、昨秋ご遺族宅で残された遺作を通覧して感じた。
 その主題は画家個人にとって何だったのだろう。生きている寂しさと、死んでいる寂しさが、同じである空間を、画家は絵という大地に建築しようとしていたのだったかも知れない。そのひと続きの空間を歩きたい。生きる者と死せる者が視線を、ささやきをかわす空間の匂いを呼吸しながら。(企画 大倉 宏)

塩﨑貞夫(しおざき さだお)
1934年新潟県糸魚川市に生まれる。10代の頃療養生活を送る。56年国画会に初入選、以後毎年出品。63年国画会新人賞を受賞し会友となる。73年国画会を退会。77年~2005年文藝春秋画廊 (東京)で隔年で個展。97年アートギャラリー環 (東京)で個人コレクションによる清宮質文・塩﨑貞夫展。2007・08・09・10年 フォルム画廊(東京)で個展。04年~14年ギャラリー壹零參堂 (鎌倉)で隔年で個展。ほかアトリエ我廊(新潟)、たけうち画廊(新潟)、南青山画廊 (東京)、ギャラリー青雲 (東京)、ギャラリートータク (東海市)で個展。14年2月14日没。14・16年フォルム画廊で遺作展 が開催された。

塩﨑貞夫展_箸の墓古墳

PHOTO(上): 「矢田丘陵の辺り」
PHOTO(下): 「箸の墓古墳」 1985年 油彩/キャンバス 65.0×50.0cm

同時期開催
2.15[水]~3.20[月祝] 会場:砂丘館 詳細は裏面へ
3.4[土] ギャラリートーク 「レクイエムの画家」
3.3[金] セミナー「箸の墓と卑弥呼の時代」

藤原 祥 展

3月12日sun―20日mon,holiday

vol.519

 藤原祥の近作が田畑あきら子の絵に近接して見えるのは、私の目の中の偶然の現象だが、そこから、このうるわしい、豪奢な渾沌を前にする、心のありようということを思う。
 あきら子も、さかのぼれば村山槐多も、豪奢な絵や言葉を、かいこが美しい絹を吐くように生んだ。しかし彼らの現実は、生活は、豪奢ではなかった。その輝きは、彼らの人生の、際の、崖っぷちの向こうの空白からわいてきた。
 千葉で穏やかな生活を送るように見える藤原の心にも、崖があり、描くことは、きっとその先と向かいあうこと、戦い、生きることなのだ。
 絵のすさまじい、うねりときらめきに、そう感じる。(企画 大倉 宏)

藤原祥2017.3

藤原 祥(ふじわら しょう)
1950年島根県松江市生まれ。スペイン古典の内面の劇性表現に強く惹かれる。79年サン・フェルナンド国立美術学校 (スペイン/マドリード)卒業。77年タラベラ・デ・ラ・レイナ賞名誉賞受賞。個展は島根県立博物館、ギャラリーHera(ストックホルム)、ギャラリー睦 (千葉)、ニッチギャラリー (東京)等。新潟絵屋では2007年11月、08年9月、10年5月、12年3月に個展開催。

PHOTO(上): 「生きものの居る風景」
PHOTO(下): 「異境の花」2016年 ミクストメディア/和紙 105.0×102.0cm

梅田恭子展 –かごのなかから–

3月22日wed―30日thu

vol.520

 去年、砂丘館で展示した2003年の銅版画集『ツブノヒトツヒトツ』の制作時に、梅田恭子は「これはひそやかな抵抗です」と語ったという。そのことを思い出しながら、今年の個展に展示される絵を見ている。ツブは季刊誌『版画芸術』のために制作された100点以上の銅版画のこと、ヒトツヒトツはそれが手渡される世界、国家、集団、家族に生きるひとりひとりの、個、つまり『私』のことだった。なぜその、一人ひとりに、ツブは向けられなくてはならなかったのか。
 今回は、これまでの絵と一見、一転したかのような人の顔や手、葉や実や枝を描いた。素朴な素描のようだが、しみてくる絵だ。人がいい。そして手が。たったひとりの場所で、じかに触れてくるものとともに、いま生きている存在のヒトツヒトツを、確かめるように、画家は見つめている。
(大倉 宏)

梅田恭子

梅田恭子 (うめだ きょうこ)
1971年東京都生まれ。多摩美術大学美術学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業、96年同大学大学院美術研究科デザイン専攻修了。94年から個展を中心に、東京、新潟、名古屋、大阪、神戸、宇部などで作品展を開催。新潟絵屋では2010年3月、12年3月、14年11月、砂丘館で16年2月(北書店同時期)に個展開催。刊行物に銅版画集 『ツブノヒトツヒトツ』(言水制作室)がある。http://umedakyoko.com/wp

PHOTO(上): 「午睡 - leaf 3」
PHOTO(下): 「レモンを持つ右手」 2016年 色鉛筆・油彩/紙 38.5×28.5cm

ギャラリー&ミュージアムマップ 2017.1-2

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新潟島とその周辺のギャラリー&ミュージアムマップ | gallery & Museum Schedule 2017.1-2

2017年1月20日(金)- 2月25日(土)

華雪書展「鳥」

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10月6日thu―10日mon

ところ 
二宮家住宅 一号米蔵
新潟県北蒲原郡聖籠町蓮野1087・県道204号線沿

じかん
10/6・7 13:00〜20:00
10/8・9 10:00〜20:00
10/10  10:00〜18:00
10/10 ★18:30〜堀川久子踊ル

 豪農の館の米蔵内部の大空間に、書家・華雪(かせつ)の書「鳥」を展示する。会場となる米蔵のある二宮家の日本庭園に接し、かつてはその一部であった湖「弁天潟」は、白鳥の飛来地でもある。華雪は、この地でどんな「鳥」を書こうというのか―
 東日本大震災の日、華雪は東京で姿の見えないたくさんの鳥たちの声を聞いた。今も忘れられない、その「たくさんの鳥の声」。今回は、その声を、鳥を、かたちにすることを試みる。震災の記憶から発する書の「鳥」は、潟を訪れる渡り鳥、日々の生活で目にする鳥、「見る人」一人ひとりの異なる思いを喚起し、それぞれの鳥をめぐる記憶と結びついていくだろう。新潟の蒲原平野の過ぎ去った時を蔵する米蔵で、書を見つめ、鳥を、鳥の声を、歴史を、それぞれの何かと出会う場としたい。
 会期最終日の夜、これまでもこの米蔵で人々の記憶に残るパフォーマンスを行ってきた、新潟市在住のダンサー・堀川久子の公演を、書が展示された空間で開催する。
(大倉宏)

華雪(かせつ)

1975年京都府生まれ。新潟では2004年以来、ほぼ毎年展示を行い、近年を抜粋すると、10年「日」(エフスタイル)、13年「人とひと」(室礼/岩室温泉)、「動/物」(新潟絵屋)、14年「家を巡る」(新潟絵屋)、15年「由」などつながりが深い。刊行物に『石の遊び』(平凡社)、『書の棲処』(赤々舎)、『ATO 跡』(between the books)など。『コレクション 戦争×文学』(集英社)、『石原慎太郎の文学』(文藝春秋)、『木の戦い』 (詩:タリエシン/エクリ)をはじめ書籍の題字も多数手がける。「ただようまなびや 文学の学校」、〈字を書く〉ことを軸としたワークショップを各地で行い、華道家・舞踏家・詩人らとのコラボレーションも多い。水と土の芸術祭2012出品。みちのおくの芸術祭山形ビエンナーレ2016出品。東京都在住。http://www.kasetsu.info

華雪展 「鳥」

photo:「鳥」

照明:伊藤裕一
主催・イベント申込・お問合せ:認定NPO法人新潟絵屋

■同時期開催情報

・本展にリンクした内容で、別会場でも展覧会があります

10/2(日)~10(月・祝)華雪展「生活」
ところ 新潟絵屋
新潟市中央区上大川前通10-1864
025-222-6888

・そのほか

坂口安吾生誕110関連イベントで華雪作品をご覧いただけます
10/6(木)~10(月)華雪展「ある女―坂口安吾『白痴』より」
ところ 砂丘館(旧日本銀行新潟支店長役宅)の一室
新潟市中央区西大畑町5218-1 
025-222-2676

  

■関連イベント 

10/10(月・祝)18時30分~ 堀川久子踊ル

 
参加費1,000円 要申込 
info@niigata-eya.jp

堀川久子(ほりかわ ひさこ)
1955年新潟市生まれ。美学校・小杉武久音楽教場で即興音楽について学ぶ。即興する身体を求めて、78年舞踊家田中泯のワークショップを受けて以来、98年までその全活動を共に行う。98年より新潟市を拠点に、独舞、ワークショップなど、新潟とヨーロッパを往復しながら場所に生きる踊りを模索。地域の芸能、特に古い盆踊りを踊り訪ね紹介する仕事にも力を注ぐ。オペラ作品への出演、音楽家、美術家などとの協働作業も多い。2016年オスロでT・ホンジンガー構成の即興音楽劇『Proud Cloud』に参加、新潟では8月に独舞『風と熊と昨日』を踊った。華雪との共演は、二宮家米蔵、新潟絵屋、砂丘館、水と土の芸術祭2012(写真)などで行ってきた。

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寄付がつくる展覧会
本展開催にあたり、個人や団体からのご協賛(寄付)を募集中。

個人 一口 3,000円~
法人 一口10,000円~

ご協賛の受付…
1.新潟絵屋にて 
2.本展会期中に二宮家米蔵にて 
3.専用払込票 新潟絵屋および二宮家米蔵でご用意しております

新潟絵屋は2015年12月9日より認定NPO法人に認定されました。認定NPO法人への寄付は税制優遇が受けられます。
認定NPO法人とは?
 NPO法人のなかで、特に公益性の高い活動を行っているとみなされる法人に寄付を行う個人、法人に税制上の優遇を行い、寄付行為をうながすために作られた制度です。
■実質的なNPO(利益を本来の活動費に充てていく団体)として画廊活動を始めた新潟絵屋ですが、作品販売が経営の大きな基盤となっているかぎり、販売見込みにより、企画展活動が制限されるという現実に直面するなかで、販売行為により美術が生活につながっていくという重要性を一方で認識しつつ、より多様な表現を紹介していく場でありたいとの思いから、「認定NPO法人」となるべく努力を続けてきました。
 今回の華雪書展は、この認定NPO法人に認定されたことを記念し、展示にご支援をいただくことで、みなさまに税制優遇を体験・実感していただく機会にしたい考えております。
 
 個人から、認定NPO法人への寄付に対しては、つぎの減税措置があります。
 (寄付金−2,000円)×0.4=減税額  ※税額控除の場合
 たとえば、寄付会員としてすでに3,000円の寄付をして下さっている方は、本展支援のためにさらにもう一口3,000円寄付をしていただくと、確定申告により
 (3,000円+3,000円−2,000円)×0.4=1,600円
の還付が受けられます。税制優遇により、実際の寄付額(=寄付額−還付額)以上の寄付を行うことができます。
 
 歴史を刻んだ二宮家米蔵での華雪の書展は、この数年、私たちが作家とともに温めてきた企画でもあります。ご支援をお願いするとともに、ぜひ会場を訪れ、鑑賞をおたのしみいただければ幸いです。なお、寄付金総額が本展の必要経費を上回った場合、剰余金は他の企画展等の経費に活用させていただきます。どうぞよろしくお願い致します。
 2016.9.15 認定npo法人新潟絵屋代表 大倉宏

▶フライヤー
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池田 早季恵 「陶と苔展」

5月22日sun―30日mon

作家在廊予定日:5/22~30

vol.494

陶と苔展、タイトルからしてコラボレーションの体が想像できる今回。フットワークの軽い池田さんはここのところ様々な場所様々な人に接し、そこで起こる化学反応を楽しんでいる。歴史的建造物に自らの作品をリンクさせたり、新潟のまちの魅力や歴史を作品として作り上げたり、テーマや表現方法に様々な要素を取り入れている。コラボレーションというと互いの個性が鎬を削り緊張高まる化学反応を想像する方も少なくはないだろうが、今回のコラボ作品はむしろ「ほっこり」。陶と苔、共に土が共通だから一緒に丸めると予定調和になりそうなところだが、そうはならないところが池田さんの持ち味。卓上に置いて眺めていると、こころがゆるんでくる、そんな作品と巡り会える今回の個展。ほっこりほっこりのコラボレーションをどうぞお楽しみに。
(企画 伊藤純一)

池田早季恵(いけだ さきえ)
1980年生まれ。2002年新潟大学工学部卒業後、陶芸家の父・池田脩二に師事。04年石膏型による作陶を始める。06年佐渡博物館「佐渡のやきもの展」出品。08年イカラカラ(新潟市)にて器展、新潟絵屋では10年「陶の動物展」・12年「陶の縁起物展」、13年蔵織(新潟市)「陶雛展」開催。
http://www.jyounangama.info

盆栽 角谷絵里子 (かどや えりこ)
1980年生まれ。2011年盆栽木木として活動を始める。12年阿賀野町の山荘にて「森の中のふたり展」(陶はナナカマド・後藤奈々)、15年「MASUMOSS」の盆栽デザイナーとしてプロジェクトに参加。
http://www.bonsai-kiki.com